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会社員は必見!戦略を立てるうえで重要な2要素

「うちの会社って戦略がないんだよな。」「あの人はいつも戦略性に欠けるんだよな。」など感じたことや聞いたことはありませんか。

“戦略”という言葉を気軽に使っていることは少なくないでしょう。
では、「戦略とは何ですか?」と問われてすぐに答えられる人はどれだけいるでしょうか。

戦略の定義を理解していない人は多くいます。
そこで今回は「戦略」について記述させていただきます。

まず、戦略とは戦争用語です。

戦争・闘争のはかりごと。戦争の総合的な準備・計画・運用の方策。

戦場で優位に立つための策略として使われ、勝利を最大限獲得する為の術策として使われました。それがビジネスでも役立つと考え、現代でも使われています。これはビジネスだけでなく、スポーツでも通じる話です。

戦略を語る上でよく比較されるのが“戦術”です。
戦術は「勝つための手段」として使われ、スポーツでいうと試合に勝つための方法・手段です。

戦術は単独でも成り立ちますが、その場しのぎで戦い続けても停滞時期が訪れます。長期的な視点(戦略)を持つことで効果的な戦術が発揮されます。

では、なぜ戦略を立てる必要があるのでしょうか。
それは目標を達成するためです。

目標とは、何かを成し遂げようとすることで、例えば「体重を減らしたい」「営業実績を上げたい」「Jリーグで優勝したい」などが目標になります。

戦略の定義

戦略の定義とは何でしょうか。

なぜ「戦略」で差がつくのか。―戦略思考でマーケティングは強くなる”の著者である音部さんいわく戦略とは下記の通りです。

「目標達成のために資源をどう利用するかの指針・方針」

目標はヴィジョン(理念)のもとにあり、戦略は目標を達成するための方針であるということです。

例:新規サッカーチームの場合
ヴィジョン(理念):サッカーを通して地域を活性化させたい

目標:Jリーグ参入を目指す

戦略:Jリーグ参入すためにすべきことを明確にする

行動

この場合、ヴィジョン達成の目標としては色々存在します。
Jリーグ参入でなくても育成チームとして地域貢献することもできますし、サッカーチームを支援する仕事でもできます。
つまり、目標が定まっていないと戦略は決められないわけです。

戦略の位置付けを把握しておくことが重要かと思います。
ここを理解できれば目標のない状態でいくら戦略を考えても時間を無駄にしていることが分かりますね。

戦略の2要素

結論から述べると戦略は“目的”と“資源”で構成されています。
いい目的を設定し、効果的な資源を活用することで目標達成に近づけます。

一般的に注目されるのが、他の誰もが考えつかないようなアイデアだったりして、資源については疎かにすることがほとんどです。

しかし、考えてみれば当たり前のことですが、無限にある資源はそうそうありません。「人材」「時間」「予算」「競合」「取引先」などあらゆる資源の存在を把握することで、具体的に何をすべきか決めることができるのです。

目的と資源はどちらも重要です。
どちらかが欠ける場合は、よい戦略とは呼べないでしょう。

[目的]

当たり前ですが、目的には2種類あります。
それは「いい目的である」か「いい目的ではない」かです。

「いい目的」とは下記を満たした場合に該当します。

・どこを目指すのか明確
・進捗の確認ができる
・目的達成のために結束できる

これは至極当然な話で、各書で同じようなことは取り上げています。
しかし、改めてこの部分は大事だと感じます。そして現場ではなかなか上手くいかない部分ですよね。

頭の良い人達は「それっぽい目的」をよく作ります。俗に言う絵に描いた餅です。
しかし、その後に進捗確認ができない、そもそもみんなが結束しないというのがよく聞く話ではないでしょうか。
残念な話ですが、このような目的は「いい目的ではない」といえます。

では、どうしたら「いい目的」ができるのでしょうか。

それが「SMAC」or「SAMRT」です。
どちらが良いということではなく、概念的な話になります。

[SMAC]

Specific(具体的)
Measurable(測定可能)
Achievable(達成可能)
Consistent(一貫性がある)

[SMART]

Specific(具体的)
Measurable(測定可能)
Achievable(達成可能)
Relevant(関連性がある)
Time-bound(期限設定)

マーケティングの仕事に関わっている人たちからしたら何も珍しくない話かもしれません。しかし、本当にこれを実行できていますか?意外にも理解しているけど、実行できていないという組織も珍しくないのではないでしょうか。

いざ、実務に活かせていないのはなぜでしょうか。
それは、「目的の再解釈」ができていないからです。

始めに決めた目的を変えることや間違っていたと認識をすることは、往々にして頭の良い人達は嫌がるはずです。なぜなら自分たちが優秀であると自負しているからです。

しかしながら、目的がズレているとみんなが感じれば結束するのは困難になります。そうならない為に再解釈は必要です。

1.思考について自問してみる
2.未来視点から考える
3.顧客に提供しているものについて自問してみる

逆に目的がズレていなければ、ほぼ目的は達成しているようなものです。

1.思考について自問してみる
方法は2つあります。
①なぜ?を5回繰り返す
②ある場合とない場合で違いがあるのか考える

なぜなぜ5回はトヨタ生産式でも使われていますが、根源的な理由を深堀りするには効果的です。
ある場合とない場合も大きな違いがなければ、それは不要なものとも判断できます。不要なものを排除するというのは目的設定において非常に重要なことになります。

2.未来視点から考えてみる
5年後の世界に自分をおいてみるという方法があります。

どうしても現時点から考えると、あらゆる束縛から視点が限定されることがあります。
そういう縛りを排除して未来視点から考えるというのは効果的です。

3.顧客に対して提供しているものについて自問してみる
本質を解釈するうえで大事です。

モノの売買でお金は動きますが、顧客はモノを買うことで得るなにか(経験や行為など)に価値を感じてお金を支払います。
それを再確認することで目的を再定義することもできます。

[資源]

次に資源について紹介します。
資源は4つに分けることができます。

・内部資源
・外部資源
・内部資源になりそうなもの
・外部資源になりそうなもの

内部資源
人材、製品技術、製品やサービス、資金や予算、営業力、製造技術、流通技術、ブランド、時間、人脈、知識、経験、過去のプラン

自己保有している資源です。
人材や設備など目で見て分かる資源から、ブランドや知識など定量化しにくい資源もあります。
「時間」は皆が平等である資源であるので、どれだけ有効に使えるかで競争力に影響します。

外部資源
代理店、メディア媒体、取引先、提携先

自己に関わる外部の資源です。
外部資源のコントロールは難しいですが、有効に活用することはできます。
一方で外部資源は内部資源に比べて早く増やすことができます。
イチから作り上げるより、既に形として成り立っているモノを使う方が早いのはイメージできますね。

内部資源になりそうなもの
ライバルとの違い、コアコンピタンス

イメージしにくい資源かもしれません。俗に言う「得意分野」になります。
競合と比較して上回りそうな資源のことを指して、他社が真似できない能力があればそれは強みとして差別化できます。

外部資源になりそうなもの
政府、業界団体、オピニオンリーダー、ユーザー、ライバルの活動

外部環境に近い位置づけになりますが、自己都合で物事は進みません。
政府が掲げる政策によっては追い風できるかもしれないし、逆風になるかもしれません。ライバルが新サービスを出すことによって市場が大きく変わることもあります。

資源の活用

4種類の資源を上手く活用することで、効果的な戦略が作れます。
ではどうやって活用するのでしょうか。その方法についてまとめてみます。

①資源の書き出し
各資源をすべて書き出してみましょう。
時間がかかるかもしれませんが、書き出しができれば後が楽になります。

②資源の相対的な特徴
書き出した各資源の特徴をまとめましょう。
これは特長ではなく、相対的にみた特徴です。

③特徴が強みを発揮する機会
それぞれの特徴が強みを発揮できるのはどういう機会なのか考えます。

④特徴が弱みになる機会
次は特徴が弱みになってしまう機会を考えます。

以上を完了すると各資源の整理ができます。

⑤各資源の目的に対しての効用
整理できたら「目的」との絡みます。
目的に対してどのような効用があるのか一つ一つまとめます。
そうすると目的達成に貢献できる資源が分かってきます。

⑥各資源間の相互作用
貢献する資源が分かったら、その資源たちがどのような作用をするのか考えます。相乗効果するケースもあれば相殺してしまうケースも出てくるかもしれません。

戦略の組み立て

戦略に必要な「目的」と「資源」の設定については述べました。
ではどのように組み立てて戦略を作ればよいのでしょうか。

その前にそもそも戦略の意義とは何でしょうか。
戦略に意義がなければ戦略なんて必要ないですよね。

しかし、戦略を立てることによって良いことは盛り沢山あります。

・成功率が上がる
・目的のよりよい達成が可能になる
・いい失敗で経験値を獲得しやすくなる
・再現性の確保
・パニックを防ぐ、一貫性を担保
・自損事故を防ぐ
・意思決定を助ける
・目的を共有できる
・摩擦を下げる
・権限委譲を助ける

逆に戦略を立てない場合、上記が起きる可能性がぐぐっと上がります。
では組み立てについて考えてみます。

[拡散的な思考法と収束的な思考法]

組み立てる上での考え方は大きく2つあります。
それが「拡散的な思考法」と「収束的な思考法」です。
拡散的な思考法はアイデアを出して概念を膨らませていく考え方で、収束的な思考法はアイデアをさまざなな基準で取捨選択して概念を凝縮していく考え方です。

この考え方はそれぞれ効果的な相性があります。

拡散的な思考法は、目的の再解釈や資源の再解釈と相性が良いです。
収束的な思考法は、戦略を組み立てるときに相性が良いです。
膨らめた目的と資源を取捨選択して組み立てていくイメージになります。

[選択と集中]

局地戦でよく使われるこの言葉は多くの人がご存知だと思います。

重要なのは量であり質は最終的な効用の量を決める。
この概念は古くからあり、いかに資源の数的有利な状況を作れるかが、戦略において重要になります。

孫子の兵法、ランチェスターの法則、パレートの法則

注意点は資源は有限であるということです。
全勢力を注ぎ込んで失敗してしまった場合は次の機会が訪れることはありません。
戦略とは良い失敗をして経験値を稼ぐ効果もあります。
経験値を稼いでも次に活かす資源がなければそれは無意味になります。
長期的な目線を持って考えることがこの場面においても重要です。

[複数の視点を持つ]

戦略を組み立てる上で、あらゆる角度からの視点は結束をもたらす上でも大切です。一つの視点から作り上げると偏りがちになります。複数の視点からみても良い場合は良い戦略と呼べるのではないでしょうか。

・フィルターをかける
・借りる
・想像する
・概念化し一般化する

フィルターをかける
あらゆるフィルターを駆使して視る方法です。
①他の学問領域を適用する②時間軸を変える③変数を探して変化させる、などあります。

借りる
コピーを作ったり、未来や過去の自分から視てみます。または競合の視点からもあります。

想像する
こうなった場合や、外部環境がこう変化した場合など、極端な状態を想像してみて大きなバイアスをかけた視点も大切になります。

概念化し一般化する
一般的になった場合の視点というのもあります。

正直、視点の話は難しいです。
すべてを完璧に実施することは難しいですが、できる限りの視点を持つのは大切です。

戦略の文章化

最後は文章化です。
文章化する理由は下記の通りです。

①全員が同一の解釈ができるものにする
②士気を高める
③都合の良い話にしない

良い戦略ができても実行する人たちに伝わらないと何の効果も得られません。また、文章化できないような戦略は良い戦略とは呼べないでしょう。

戦略の管理

戦略を伝える段階まで終えることができれば残すは戦略管理です。

管理上で重要なのが「数値化は明確」「フィードバック・ループの設定」になります。
数値化が上手にできていない場合は、進捗具合が不透明になります。これでは得られるものも分からず、何が原因で失ったのかも分かりません。そして数値化ができていたとしてもフィードバックをする習慣がないと結局は進捗具合を把握することができません。

基本的には一度決めた戦略を変更することはありません。
なぜならすべてはその戦略を軸に動いているので、コロコロ変わっては効果的な行動に移せないためです。

しかし戦略を変更しなければいけないときがあります。
それが「目的か資源に変更が出た場合」のみです。

目標が変われば目的も変わります。そうなれば戦略も変わります。資源は内部資源だけでなく外部資源も含めます。

外部資源に変化が起きれば戦略も変わります。このように目的と資源が戦略の軸となる要素であるので、ここの部分に変化が起きれば戦略も変更する必要があるということです。

さいごに

戦略は2つの要素を組み合わせることによってできることが分かりました。

戦略を勉強する上で参考になったのがこちらの本です。

P&Gで17年間、ダノンジャパン、ユニリーバ・ジャパン、日産自動車、資生堂などあらゆる領域でマーケティングに携わってきた、音部大輔さんが著者です。

私にとっての教科書のような本の一つです。
2000円以下で購入できますが、シンプルに理解できるので初心者にとっては良本だと思います。
ただし、具体的な戦略の作り方などは触れられていません。中級者〜上級者の人にとっては物足りない内容になるかもしれません。

戦略の定義ができたら、多くのことが理解しやすくなります。理解したことを行動に移して良い結果を出せるように頑張りましょう!

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