2021 極私的 本ベスト10
2021年は2020年以上に引きこもっていた。なので、どうしてもインプット過多。休日などは1日中、本を読んだり映画やドラマを見たりして過ごしていたような気がする。コロナめ。
そんな2021年に読んだ本は全部で103作品(うち漫画が34作品)。冊数では509冊。
年頭、「さとなおオープンラボ」の課題図書を立て続けに読み、さらに関連する書籍を読み広げて、思考がどっぷりマーケティング頭に。短期間に集中して特定分野の知識を入れ込むのって大事。一気に思考が深まる。
漫画も娘2号と一緒によく読んだ。スラムダンク(全31巻)やるろうに剣心(全28巻)の再読、鬼滅(全23巻)やら進撃の巨人(全34巻)やら。冊数がやたら増えてしまったのは漫画のせい。
というわけで、ランキングはこんな感じ。リンク先は著者インタビューや関連記事になってます。
(*今年も知人・友人の著書はランキングに含んでません)
1位 取材・執筆・推敲 書く人の教科書/古賀史健
とにかく圧倒された。「書く」という行為をここまで掘り下げ整理して、「書きたい」と思う全ての人たちに提示するのは容易ではない。「書くことはコンテンツをつくること」という冒頭のガイダンスからもうシビれる。何度も読み直す本。
2位 わたしのいないテーブルで/丸山正樹
「デフ・ヴォイス」シリーズ最新作。難聴者を家族(両親・兄)に持つ健聴者の主人公(CODAと呼ばれる)の物語。コロナ禍における新たなコミュニケーションの困難さを深く繊細に掘り下げて描く。書店員に広く支持されるのも納得。もっと広く読まれていい作品群。
3位 ザッポス伝説/トニー・シェイ
「さとなおオープンラボ」の課題図書から1冊だけ。ザッポスがつくりあげた靴の通販というビジネスは、単なるEC化ではなくファンベース施策として突出している。本書で語られるその進化の過程が秀逸。創業者トニー・シェイのブレない姿勢がオリジナリティ溢れる企業「文化」へ繋がる。持続可能性って「文化」にまで高められるかどうかだと思う。
↓リンク先は本書の続編「ザッポス伝説2.0」の記事。続編も当然面白い。
4位 ルックバック/藤本タツキ
読書メモを見ると、配信開始の翌日には読んでいるので(別に漫画フリークでもないのに)、当時どれだけ話題になったかがわかる(知らない人は全然知らんのだろうけど)。単行本にしてわずか1冊の短編(またセリフも極端に少ない)ながら、主人公たちの人生をとても雄弁に語っている。深読みさせる仕掛けも秀逸。大傑作。*本書の下敷きとされる短編「妹の姉」もとても良い作品(短編集22-26に収録)だが、そこから「ルックバック」への昇華がすごい。
5位 TIMELESS 石岡瑛子とその時代/河尻享一
本人著「私デザイン」を読んで大ファンになった石岡瑛子さん。作品が世に出るたびに圧倒されていた。亡くなられて10年近くが経過した今年、多くの関係者へ取材した本作がまた新たな瑛子像を描き出している。改めて、なんて魅力的な人だったのだろう。コロナで上京が叶わず昨年開催されていた「石岡瑛子展」を見ることができなかったのがなんとも悔しい。
6位 かげきしょうじょ!!(既刊11+1巻)/斉木久美子
宝塚(的なもの)には全く興味がない自分だが(20代に1度だけ東京公演をみたことがある程度)、この漫画で描かれる歌劇はとても魅力的だし、併せて描かれる歌舞伎との対比もユニーク。何より登場人物たちがとてもとても愛らしい。アニメ化もされてる作品を何を今更って感じだけど。
7位 日本が生んだ偉大なるイノベーター 小林一三/鹿島茂
その宝塚をも生み出した阪急・東宝グループ創業者・小林一三の伝記。戦後の人口増加社会に合わせて、新しいビジネスモを創り出し、また積み重ねていったことがよくわかる。人口減少時代においても、その未来に訪れる条件下での「暮らし」をイメージすることが大事なんだろう。
8位 大奥(全19巻)/よしながふみ
テレビドラマや映画版では豪華絢爛な歴史絵巻、というイメージだったけど(見てないのに)、原作はすんごい総合エンターテイメント作品だった。しかも”今年”完結するというこのタイムリーさはなんだ。コロナ、人口減、ジェンダーなど極めて現代的テーマがてんこ盛り。2読目、3読目と重ねるとより面白さが増していくように思う。
9位 すべての社会課題はビジネスで変えられる/田口一成
世で語られるSDGsがあまりに表層的でゲンナリしていたところに、まさに地に足のついたサスティナブルな取組として納得感の高い本書。本県にも縁がある著者の視点の広さ・確かさに唸る。本書をきっかけにビジネスとパブリックの曖昧な境界をより強く意識するようになった。
10位 マイノリティデザイン/澤田智洋
長男が全盲の障がいをもって生まれたことをきっかけに、さまざまな社会改革に取り組んでいる著者。帯にも書かれている「弱さを生かせる社会をつくろう」という視点が素晴らしい。多様性の本来的な意味を考えるきっかけにもなった。弱さが強さを引き出す。自分もそういう仕事をしていきたい。
2021年は(も?)あまり小説を読まない1年だった。読みたい本はあるのだけど。この年始はアンディ・ウィアーの新刊を読む予定なので、小説をモリモリと読み始めるきっかけになるといいなあ。
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