子どもは親を選べない
「子どもは親を選んで生まれてくる」という説がある。
事実かどうか、確かめるすべがなくて、非科学的なのはもちろんだが、それ以上に、つらい状況のもとに生まれてしまった子どもたちを傷つける言葉だと思う。
本当に、子どもが親を選んで生まれてくるのなら、虐待をする親のもとになど、生まれてくる子はいないだろう。戦争で爆弾が飛んでくるような時代・場所や、食べ物が得られないような時代・場所には生まれてこないだろう。
そういうと、「意識ではなく、無意識で選んでいる」と言われる。しかし、だとしたら、無意識にしろ、選んだのは子どもの責任なのだろうか?
親は、どんな子(性別や障害の有無、性格など)が生まれてくるかは、今のところ、ほぼ選べない。それでも、いつ、どこで、誰の子を産むか(あるいは産まないか)は選ぶことができる。欲しくてもできない場合はあるにしろ。
それに対して、子どもは親を選べない。どんな時代・場所に、どんな親のもとに生まれてくるのか、選ぶことはできない。「こんなところに生まれてきたくない」と思っても、かなわない。
子どもと親は非対称である。親になる(なろうとしている)人には、もっと自覚してほしい。子どもを産むことに対する責任を、よく考えたら産むことなんてできない、という人は、産まないでほしい。生まれてきて不幸になるくらいなら、生まれてこないほうがずっとましだと思う。
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