リーダーシップとマネジメントの違い
カイロスは、中小企業向けのアドバイザーが仕事です。社員がいきいき働く職場づくりをお手伝いしています。
仕事の一つとして、マネージャー研修などもお手伝いすることがあり、その中で「リーダーシップとマネジメントはどう違うのか?」と言う質問を受けることがあります。
僕は、30代ぐらいの若いバリバリのビジネスマンに、いろいろなお話をしたいと思っています。彼らがガンバってくれているんだから、少々ばかりの経験も加えて、お伝えできればなあ、と思っています。
で、冒頭の質問は、そういう人からお尋ねをいただくことが多いように感じています。初めてリーダーになったとか、後輩の指導をしなくてはいけなくなったとか、管理職という立場になったけど、年上の部下がいてどうしていいかわからない、とか、そんな話の流れの中で出てくることが多いのかなあ、と思います。
説明の仕方にはいろいろあって、ドラッガーだのカッツェンバーグだのコトラーだの、いろんな人がいろんな風に説明してくれていて、それはそれで「そうなんだ」と思うけれど、実務の現場で使えるかと言われると、使えたり使えなかったりするように思います。
それで何かいいものはないかしらと、あれこれ考えたり、本を探してみたりしたのですが、生産性出版が出している「リーダーシップ アメリカ海軍士官候補生読本」というのがあって、この中の説明が、割かし、いんじゃないか、と思っています。
海軍さんの理屈
この本の中で、アメリカ海軍の士官にはやることが2つあって、アドミニストレーションとリーダーシップだ、と言う風に書いてあります。
アドミニストレーションというのはいろいろな意味があって、なかなか日本語としてピッタリくる感じがないんだけど、この場合は「統合的運用」ぐらいの感じかなあ、と受け取っています。
アドミニストレーションの中には3つの要素があって、コントロールとダイレクション、それにマネジメントがあるとしています。コントロールは制御すること、ダイレクションは方向付けること。海軍さんだから船ですね。船はエンジンとか舵とか、いろいろな設備を制御して、艦長さんが「こっちへ進め」ということで進んでいく、と。
マネジメントは管理だと。アドミニストレーションの統合的運用とどう違うのと思いません?
それであっちこっちのページを行ったり来たりしてみると(別にいいんですが、この本、教科書がもとだから、読みにくい。お勧めしません。笑)
どうやらマネジメントの対象は経営資源なんだということが言いたいみたい。
経営資源は「人、モノ、カネ」
だいたいリーダーシップとマネジメントの違いが問題になるのは、人が相手の時。
そうか、マネジメントの対象は、経営資源としての人か。わかったような気がしました。経営資源としての「人」なら、人数とその能力水準が直接的な管理要素だ。100人で動く軍艦に70人しか人がいなければ、確かにその船は戦場に出かけられない。
だったらリーダーシップはどうなんだろう。
これもあっちこっち読んでみると、艦長さんになる士官は普段から水兵さんたちとの関係を構築しておきなさい、親しき中にも礼儀ありだよ、などと、そんな風な意図で書かれているところがいっぱいある。
つまりリーダーシップの対象は、「感情を持った生きている人間」としての水兵さんだと言いたいらしい。
それぞれが相手にしている対象から考えればいいのか、なるほど、と思った。
使い分ける
アメリカ海軍士官候補生読本的に解釈すれば、リーダーシップとマネジメントの違いは以下のように説明できるのではないだろうか。
マネジメントの対象は経営資源としての人。だから数と能力が問題になる。この場合、人に気持ちがあるかどうかは関係ない。経営資源だから、当方が一方的にワンウエイで評価し使えばいい。マネージャーにはそういう割り切りも必要だよね。足りないものは足りない。ない袖は振れない。
リーダーシップの対象は、感情を持った生きた存在としての人。
リーダーシップがやるべきことは「関係性の強化」。だから普段からの2ウエイでのコミュニケーションが必要になる。
艦長さんをやろうと思ったら、普段から良好な人間関係を作るように心を砕いておかないと「いざという時、動いてくれないよ」と書いてある。
そりゃ、そうだ。誰だってイヤな奴から「命を張れ」とか言われてもやりたくないよね。ムリッ!とか思うよね。
コロナ明けで思うこと
緊急事態宣言が明けて、「会社に出てこい」が増えたらしい。
必要なら出ていかないといけないのは働く方もわかっている。しかし「上司のオレサマが出てきているんだから、オマイらも出て来いよお」みたいな同調圧力ってどうよ、
こういう人は人を見る時、マネジメントの対象としてしか見てないんだろうなあ、リーダーシップをやってこなかったんだろうなあ。と思う。
こういうこと言う人の組織って、割合、沈む可能性の高い船なんだろうなあ…。というのが読後感。
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