白トラ弐18 テレパシーによる五感情報伝達
2019年ごろだったか、上高地近くの農家の息子、仮にA君。同席した50代半ばの女性Bさん。
A君の農家メシの話を聞いていたときのこと。
A君実家では、白いご飯にキナ粉をかけて食べるのだそうだ。
「キナ粉?ご飯に?大豆をすりつぶしたヤツ?」
「そうです」
「キナ粉をご飯にかけて‥美味しいの?」
『全く持ってそんな食べ方???何言ってんの?』だった。
A君は何とかして味のイメージを伝えたかったようだ。
「キナ粉の‥あの、甘い感じの‥粉っぽくない‥ほのかに甘い‥」
次の瞬間、白へびの頭というか舌というか顎(あご)というか喉というか‥とにかくA君が言う世にも不思議な『キナ粉かけごはん』を食べた時、鼻を抜けるほんのりと甘いしっとりとした、程よくあつあつの食感がありありと感じ取れた。
同時にどんなモノであるか、写真か映像でカラーでそのイメージが頭に突如として浮かび上がった。
白へびは思わず隣にいたBさんの顔を見た。
Bさんもハッとした表情を浮かべてこの白へびを見た。
「Bさん、今‥伝わって来たでしょ?」
「白へびさんも来た?」
「味わいと一緒に」
両目をまん丸に見開き小刻みにうなずくBさん。大変興奮した様子だ。
「これがテレパシーってやつ?」
テレパシーは一対一に限らないようで、一対複数が行けるみたいだ。
『二人に伝えたい』というA君の思い・意思が根底にあったがゆえのことだろうか。
つづく
■白トラ弐 バックナンバー 一覧