メッセンジャー再び⑤
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これ辞書じゃん!
想像していた本とはまるでかけ離れた表紙デザイン。辞書のような厚み、そして重量。
「(ハッ・・笑)コレなん!!」
(館内では小声もしくは心の声)
全部で10冊近くあるだろうか?
これは、こんなに沢山一日で読み切れない。僕のスピードじゃ。
火の鳥の適当な並びの左端に目が行く。すると『火の鳥・未来編』が目に留まる。そういえば友人が『未来編』ってワードを言ってたと思い出す。とりあえず、『未来編』を手に取り席に着く。
席があるのだ、じっくりと読み込めるように本棚の邪魔にならない所に沢山の席があるのだ。どうぞ長居して行ってくださいと言わんばかりに。
元々入館料がそこそこするのでありがたいことだ。大人は900円だったか・・。一日で全部読む気で来た僕には一日分の入館料900円は正直割高に感じた。火の鳥が一冊800~900円くらいするみたいだからだ。
近くの席に早速座る。
火の鳥は文字数がとにかく多い。小学校時代、国語の教科書を読む練習の宿題を一切やってこなかった僕は読むスピードが遅い。大人になってから本を読むようになり、30代でようやく一年間に20~30冊読むような経験をしたようなくらい読まなかった。それでも、本を腰を据えて読むことで、色んな事が分かるようになるという素晴らしい経験をしていた。読むことの良さを知っていたのだ。おまけに頭もよくなっていった。
火の鳥は、じっくり腰を据えて慌てずに読む本・・なのだと思って、先を急がず読み進めた。
・・と、空気の流れが目に触る。
何だか集中できない。仕方ないので、席をちょこっと移動する。・・と、今度は予期せぬ光りが邪魔をする。
どうするか・・、結局元の席に戻る。空調の風が当たりやすい席だったので、館内で脱いだ上着を着たり、持っていた目薬で目を潤したり、お水をちょいちょい飲みながら・・それで環境の影響がまぁまぁ気にならなくなった。
が、しばらく読み進めるとそんなことも関係なくどっぷり世界観にのめり込んでしまう。気が付いたら昼を回っていた。これぞ保江先生のいう『中今(なかいま)』というやつなのだろう。
さて、
これから『火の鳥・未来編』を読む人の楽しみを奪わないよう、詳しい内容は伏せるが、大変センシティブで先進的な内容だった。まさに『今』、この時代に人々が誘導されかかっているムーンショット計画に通ずる内容そのものだった。手塚治虫って、けっこう前に新しい世界に旅立った人なはず。にしてもこのストーリーは!
人は、肉体とそれ専用の魂が共振してこそ地球の人なはずだ。グレイみたいな、只の生物ロボットにしてはならない。
随分とそれてしまいそうなのでここでもどす。
つづく
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