「結論から話す」ことができない理由とは?
新刊出来! 2023/12/19に、「エンジニアが知っておきたい 思考の整理術」が刊行日されましたので、本の内容を少しずつ紹介しています!
本日は第5章 「報告」系文書を整理するときのパターン 内、「結論から話すことができない理由とは?」の一部です。
「結論から話してくれ」という要求は、報告ベタな人が上司から指摘される要改善事項のトップにくるのではないでしょうか。これはビジネスコミュニケーション教育のイロハとも言うべき考え方なので、たいていは新入社員教育などで教えられますが、実行するのは難しいものです。例として、次のような状況があったとします。この話の結論を一言にまとめることはできるでしょうか?
さて、上司に電話がつながったら、何と報告しますか? ダメな報告の典型例は、「このところ深夜残業が続いて疲れていて……」と、時系列的に原因にさかのぼって話すことです。これは今すぐ対応が必要なことではありません。この話の場合、上司に真っ先に伝えるべきなのは「交通事故にあってしまい、今日の仕事の現場に行けない」ということです。これなら2秒で伝えられますし、その直後にあなたが気を失ったとしても、上司は最も重要な情報を理解して対応できます。もちろん、この「真っ先に伝えるべきこと」は、相手が違えば変わります(図5-2)。救護者が相手ならば、「ケガがあって歩けない」、したがって「救急車を呼んでほしい」と言うべきですし、会社の人事総務部門が相手ならば、「深夜残業が続いて睡眠不足」に着目して「労務管理を改善してほしい」と言うこともありそうです(もちろん、事故の現場から言うことではないので、事態が収束してからですが)。その他、自分自身が考えるべきこともあります。
こう考えると、結論は相手によって違うことになります。そして、もう1つ言えるのは、結論は行動につながる一言だということです。「救急車を呼んでほしい」は相手の行動、「安全に気を使おう」は自分の行動という違いはありますが、いずれにしても何らかの行動を提案しています。 (……続く)
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