あんたになんか分からない。Part1
きっかけは、
ずっと撮り続けてくれているカメラマンさん達のために展示をしようと決めたことだ。
そして、わざわざ見に来てくれた人に何か還元できないかを考えた。
最後に自分への挑戦として、自分が比較的得意な分野で全然関係のない分野を助けられないかを考えた。
今回は初めての個展となるが、純粋な写真以外にこの3つの視点を交えながら色々考えて取り組んだので記録していきたい。
わざわざ見にきてくれた人の心を動かしたい、いや、えぐりたい。そこに1番重きを置いた。
ー心を動かす
メインは写真になるが、人の心を少し動かすのに写真だけである必要はない。
むしろ些細な体験の刺激による相互作用により深く記憶に刻まれる。その為にはギャラリーに入る前、見ている最中、そして出た後の行動に流れを作れるように街とギャラリーを設定した。
アクセスが良い上に、パッと目につく外観と築101年目の歴史のある建物。ギャラリーは地下と3階にある部屋にしたので、わざわざ地下に降りたり3階に上がる為に階段を登らないといけない。けれども、階段が美しいからわざと登らせるのだ。
一階にはこれまた歴史のある美味しいオムライス屋さんがある。お腹がすけばここで満たされる。ギャラリーを立ち去った後は散歩でも、軽く撮影でもしようかと思うだろう。少し歩くと川にたどり着く。北浜-中之島はそのあと風景画を撮るのでもポートレートを撮るのにも向いている。季節的には丁度薔薇が咲いているので、モデルが遊びに来た場合は撮影をして帰れる。
遠くからわざわざ観光ついでに来るかもしれない。
電車で少し移動すれば大阪城でも梅田でも難波でもすぐ辿り着く。
私が大好きな街なので、それを楽しんでもらえたらと思う。
人がわざわざ見にくる、というのはとてもありがたい事だ。見にいくのに自分の時間を使うのだから。もしかしたら、写真界隈と全然関係のない人達が興味本位で来てくれるかもしれない。
見にいくのにちょっとした勇気と労力がかかる。だからこそわざわざ来てくれた人に、少しでも
「あ、来て良かったも。ラッキー。」
そう思ってもらえるように来てくれた人が使えそうなプレゼントを考えた。
基本的に見にくるのは写真界隈の人達だろう。
写真での表現ばかりをみているのなら、たまには違う世界線での表現をみるのも大事だ。きっと少し驚くと思う。予想外という差異もまた、刺激の一種だ。それを面白いと思ってもらえる方向に転ぶことを願う。
ーお世話になった人達に感謝を伝えたい
5年という歳月をどう捉えるかは人によるが、一般的にポートレートモデルは1~2年で辞める事が多い。そう思うと本当に長いこと写真をやってきた。
荒れた思春期から少し落ち着いた大人になるまで。
私をきっかけに写真を撮り始めた人、撮り続けた人、撮らない時期はあるものの写真を辞めなかった人、試行錯誤しながら撮り続けている人、葛藤しながらも撮り続けている人、いい意味で昔と何も変わらない人、躊躇し迷いながらも挑戦することにした人。
今回参加する方達は展示会に初めて参加する方ばかりだ。初めて、というのはストレス負荷が大きい。テーマを決めて撮影するという撮影スタイル、撮った写真を人にみせ評価されるストレスや、印刷も初めてでそれぞれ調べながら取り組んだだろう。
余計なお世話で上から目線かもしれないが、無理矢理巻き込んで一歩踏み出してもらう。
それが私からの今までありがとうという形だ。
ー他の人の為に出来ることはないか
恵まれている環境のおかげと積み重ねたもののお陰で、展示会をひらいたり人を集めたりするのは私にとってはそこまで難しくはない。
せっかく人が集まる機会を何かに活かせたらなと思い、自分は絵が好きなのでアーティスト何人かに声をかけた。
この世界で結局1番注目されやすいのは、「かわいい」だ。それ以外はどれだけ凄くても、注目されにくいが故に結果が出にくい節がある。
絵を描き続けるのは難しい事だ。
私は描いて欲しい。すぐには結果が出なくても描き続けて欲しい。もっというなら、辞めないでほしい。
遊び心のある自由な表現者が豊かな文化を創るのだから。そういう思いを込めて、今回は縁のあるアーティスト何人かに声をかけた。
そしてもう一つ、今回は和装でお世話になっている愛和服さんに企画を持ち込んだ。
一年前自分がやりたい事の一つとして、伝統を残すために何らかの形で貢献すると書いた。こんな形で叶えるとは思わなかったが、今回の個展では多くの人に和装を着てもらえるきっかけづくりを盛り込んだ。
これは今後の話になるが意外と場所も企業相手でも交渉出来る事が分かった。
イベントの運営と広義で見ると人を集める能力があれば、場所を選び地域活性化の為に何かに取り組んだりも出来るなと思った。今後色々やってみたいなと思う。
今回は写真以外での視点、考えた事について記録した。次の記事では写真、作品にどう向き合ったか書こうと思う。