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老人と海・読書ログ

「老人と海」 ヘミングウェイ  1952年

⚠︎ネタバレ含む感想

鮫が近づいた時点で、なんとなく察しがついて放心状態で通常はさっさと諦めてしまいそうなところを、老人は最後の最後までもてる限りの抵抗をしたあたり気高くて結構好きなんだけど、それは敵でありながら友と認めた存在の死を守るためだったのかなと思った。

最後がめっちゃ好き。皮肉が効いてる。
ヘミングウェイは最後のあのシーンを書くために、この船旅をここまでドラマチックに書いたのではないかと疑ってしまったよね。

誰かに見限られることもあるし、闘った挙句最後には何も残らないことがある。そして、しまいには価値を知らない人が適当に評価を下すこともある。
けど自分が懸命に最後まで闘い抗った事実、誰にも知られない物語だけど、それは安らかに眠りにつくために自分の中でとても大切な事なのだと。

小説は小説なので深読みし過ぎず普通に読めばいいのだけど、自分がこの小説を通して書かれていない行間を読むなら感想はこんな感じかな。


面白いは普通に面白いけど、なんでヘミングウェイがこんなに評価されてるか調べてみたら、ヘミングウェイは従来の小説の書き方を大きく変えたのだと。
というのも、ジャーナリストでもあったヘミングウェイは事実と感情を分けて書くことをずっとしていたので、それが小説の書き方にも影響を及ぼしている。何を書き、何を書かないかの取捨選択が徹底されていて、しかもそのセンスがずば抜けている。何を想像させるかの肉づけは読者に委ねることができるくらい、小説をシンプルに骨格だけで完成させている美しさがある。

好きな文

Man is not made for defeat.
A man can be destroyed but not defeated.

↪︎だが、人間、負けるようにはできてねえ。ぶちのめされたって負けることはねえ。

ーしかし老人は海とは女のようなものだと思っていた。大きな好意を寄せてくれるのかくれないのかどっちかだ。もし海が荒っぽいことや、ひねくれたことをするとしたら、女だからとしか思えない。

ー負けてしまえば気楽なものだ。こんなに気楽だとは思わなかった。さて、何に負けたのか。

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