子どもとトトロをみて ふと思う
今年の、いや今年もテレビでトトロをやっていたので、
子どもが喜ぶかなと思い録画した。
どうかな。
1歳くらいではまだ意味がわからないかなと。
思ったのは無駄な心配だった。
結果、子どもは喜んだ。
相当な喜びようだった。
しかし、絵柄が楽しいだけで理解できているのかなと。
思ったのもやはり無駄な心配だった。
2回目、3回目と同じシーンで喜ぶ。
メイが初めて出くわした小トトロを追いかけるシーンだ。
ちゃんと理解できてるようだ。
ジブリはすごい。
私がトトロを見たのは小6か中1だったか。
その時も親がテレビでやっていたのを途中からでも録画してくれた。
結果、途中から見ても相当面白かった。
楽しいし、可愛いし、最後の方は胸の奥が熱くなるような感覚もあり。
素晴らしい作品だ。
それからは、他のジブリの作品も見た。
どの作品もとても面白いがトトロが一番好きだった。
30代後半くらいから魔女の宅急便にグッとくる時代が到来したが、
今、子どもとトトロを見て、
子どもが何度も喜ぶ姿を見て、
やはりトトロが一番好きだと強く思う。
子どもと一緒にトトロを見ていると、
今までになかった感覚を何度も体験した。
細かいところを言えばキリがないが、特に強い印象を持ったのが、
映画のクライマックス、メイがとうもろこしを持って
一人で病院へ駆け出すシーン。
いつも強くて優しい頼れる姉のサツキが、お母さんが心配になって泣いているところを見てしまい、駆け出すシーン。
そして道を間違えてしまい、日が暮れる中、お地蔵様が並んでいる場所に腰をかけ、しょんぼりしているシーン。
疲れ果てて涙も出ないメイ。
もうたまらない。
ものすごくたまらない気分になる。
胸が締め付けられる。
ただただメイが痛ましい。
娘さんがいる親の方、わかっていただけるだろうか。
メイを我が子に重ねて見てしまうのだ。
そして気づいた。
昔はおそらくサツキ目線で見ていた。
サツキに感情移入していたのだろう。
しかし子どもがいる今、完全にメイ目線でトトロを見ていた。
メイに思い切り感情移入していたのだ。
初めてトトロを見てから、何十年経つだろうか。
何回トトロを見てきただろうか。
そして現在、子どものおかげで、また新しい感覚でトトロを楽しめた。
いや、子供よりも楽しんでいたのかもしれない。
夏に初めてトトロを見たうちの子どもは、
暮れが押し迫る今もトトロを見ている。
お気に入りのシーンもいっぱい増えた。
子育ての中、トトロには本当にお世話になっている。
何十年か前に、トトロを見た父。
私たち姉弟が喜ぶだろうと、途中からでもベータで録画してくれた。
その父は今月はじめに旅立った。
私の親が私に見せてくれたように、
私も子どもにトトロを見せた。
いつかこの子も自分の子どもにトトロを見せるかな。