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七色祐太の自己紹介・怪奇と現実逃避の足跡
みなさんこんにちは。
七色祐太と申します。
昭和の終わりに寒村で産湯を使い、日々現実逃避に励みながら、怪奇・戦前文化・ジャズなどの研究をしております。
かつてはいくつかの雑誌にホラー映画や怪奇漫画やジャズに関する文章を書いていたのですが、それらの雑誌も、あるものは自然消滅し、あるものは不祥事で潰れ、気がつけば「出所したら組が無くなっていた人」のような破目になりましたので、今では気楽な隠居の立場で日々怪奇道の精進に励んでおります。
早く言えば暇してます。
しかしここ最近、周りの友人たちが次々と「note」なるものを始めたというではありませんか。そこで遅ればせながら、しんじんるいも すなる のーとといふものを いんきよも してみむとて することにしたわけです。
初回は自己紹介ということで、私がこれまで書いた本の紹介をしてみたいと思いますので、のんびりとお読み下さい。
作品紹介
『脱力ホラー映画の世界』
(2012年初版・2013年復刻・2017年再復刻・2023年令和の大復刻・1200円)
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私が無職だった頃に書いたデビュー作にして、発売から12年を経ても復刻版が売れ続けるロングセラーです。見終わってもどうしていいのかよく分からない、微妙で脱力なホラー映画をイラスト付きで100本紹介。初版は全頁自宅コピーのものを金具で綴じて300円で売っていましたが、小麦の価格高騰などの影響で、令和復刻版では1200円と驚きのインフレ率を達成しています。
私はこれまで無職だった期間が何度もありますが、この本を書いた頃はかなり長い人生の夏休みを過ごしていたので、こうした映画を見る時間が山ほどありました。人生の谷間で握手して微笑み合うような寂しい作品ばかりを選んでいるため、面白いかどうかなど最初から基準になっていませんが、一般的な意味で面白い映画は1本も入っていないと思います。
文学フリマの会場で、この本をいわゆる「楽しいB級ホラー映画」の紹介本と勘違いして立ち読みし、無言で去っていく人が多いのも、明るい表紙や文体の裏から滲み出る、とてつもなく暗い何かを直感的に感じ取ってしまうからかもしれません。
『西洋見世物小屋映画の世界』
(2015年初版・2021年復刻・1000円)
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![](https://assets.st-note.com/img/1726593668-PC1AFvf4WMlQrwVUotz29TBx.png?width=1200)
『脱力ホラー映画の世界』に続く、2冊目の映画本です。
私は怪奇な文化や戦前的な暗い世界が好きなため、その手のブツの極北である「見世物小屋」も大好きなのですが、そんな見世物小屋が作中に出てくる映画ばかりを50本紹介した本です。日本の見世物小屋はまた別の流れがあるため、この本では「西洋の見世物小屋=サイドショー」だけをテーマに取り上げました。
往時のサイドショーの記録映像はあまり多く残っていませんが、ドキュメンタリー、ホラー映画、サーカス映画などで意外とその姿を目にすることに気づき、それらを片っ端から見れば、今はなき怪しい世界の全体像を追体験できるのではないかという思いつきだけで、突っ走って書いたものです。
この企てが成功したかどうかは微妙ですが、とりあえず、この本自体も一種の見世物小屋として歴史の闇に消えていく運命にあることだけは、作者としてなかなか嬉しいものがあります。
『限界集落人物伝』
(2017年初版・800円)
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私が少年時代を過ごした山奥の限界集落。そこに生きていた、あまりに強烈すぎる村人たちの思い出を綴ったエッセイ集です。他人の食べかけのアイスクリームが木のスプーンを刺したまま再冷凍されている商店、イタズラ電話で「今晩抱きに行く」と言われたのを本気にし、数十匹の猫たちを見捨てて隣家へ逃亡した猫屋敷のばばあ、自営業者なのに生涯一度も帳簿をつけなかった私のじいさんなど、全部で10(9人と1匹)のエピソードと、コラムを収録。登場人物と村の名は仮名にしてありますが、すべて実話であり、さくらももこの出来損ないのような逸品となっています。文学フリマでも世代と性別を超えてよく売れる本で、本来なら私の顧客リストに絶対入らないような、上品な老婆が買い求めに来たこともありました。
私は自分の作品の中でも、この本に一番愛着があります。当時は単なるキワモノだと思っていた人々が、大人になった今思い出してみると、ただの道化師ではなかったことに気づいて切なくなったり、書いている最中にも色々と感じるものがありました。今では大半が故人となってしまった無名の人々の、小さな人生の記録をしみじみと味わっていただければ幸いです。
『化物屋敷 〜七色祐太怪談集〜』
(2019年初版・800円)
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私のオリジナル怪談小説10本を収めた作品集にして、一部の店からは委託販売を拒否された問題作。あまりにアクが強すぎて売れないと思われたのでしょうが、その予想は見事的中。『死霊の盆踊り』で「僕の小説はホラー以外売れない」と嘆いていた三流作家をさらに下回る、超スローペースな売れ行きです。
『脱力ホラー映画の世界』から数年後、また無職の時期があり、毎日暇にまかせて書き溜めていた怪談小説を、後にまとめて本にしたものです。そうした事情から、楽して儲けたいという呑気な現実逃避が作品の随所にちらちら顔を出しておりますが、人格と創作の合一化を真に達成している崇高な作者の姿は、まさに芸術家の鑑であると言えましょう。
「稲生物怪録」などの古典物へのオマージュから、BL怪談、妖怪派遣会社まで、雑多でカラフルな内容で、「怪奇と笑いの変態ワールドへようこそ!!」なぞと漫☆画太郎みたいなコピーが似合う気もしますが、交感神経の一切を死滅させ副交感神経100パーセントで書き進められた言いようのないのっぺり感は、『脱力ホラー映画の世界』から数年を経ても、作者の感覚が1ミリも進歩していないことを教えてくれます。
番外編 『三流怪奇・見世物 創刊号』
(2012年初版・2023年オンデマンド限定復刻)
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2012年に新宿ビデオマーケットで販売され、わずか3冊のみを売り上げた伝説の手作りコピー雑誌。「創刊号」となっていますが、2号以降はもちろん存在しません。販売後は作者でさえほとんど内容を忘れていましたが、2023年に、引っ越しダンボール箱の底から当時の原稿を奇跡的に発見。どうにかして読んでみたいという物好きな方が以前からちらほらいたため、予約者限定で復刻販売されました。こうした複雑な経緯により、現在この雑誌を所有しているのは全国で8人にまで増加しています。
雑誌自体を1つの見世物小屋とすることを意識したため、三流ホラー映画監督の紹介や八幡の藪知らず探訪記、1曲の録音も現存しない戦前ジャズメンの解説など、記事の内容も雑多なもの。巻末にはオリジナル怪奇漫画も収録されていますが、漫画なのに左から右に読んでいくというアナーキーな作りです。
今見れば逆に、当時よく3冊も売れたものだと驚きます。
以上が私の単著となります。作品としてはこの他にも川勝徳重氏との共著『グロテスク怪奇』があり、「別冊映画秘宝『悪趣味ビデオ聖書』」「TRASH-UP!!」「架空」「蝸牛」などにも寄稿がありますので、物好きな方は探してみて下さいね。
作品購入方法
私の本は、『三流怪奇・見世物』を除き、以下のお店で購入することが可能です。お店によって置いてある本とない本がありますので、購入希望の方はお店の通販サイトをチェックしたり、店舗に問い合わせたりしてみて下さい。
また、私からの直接通販も可能ですので、ご希望の方は私のX(Twitter)アカウントに、リプライもしくはDMをお送り下さい。
続いて、著作以外の活動紹介です。
ブログ「七色日日新聞」
気づけば10年以上も続いているご長寿ブログ。映画論、漫画論、ジャズ論、『限界集落人物伝』に通じる思い出話など、もはや自分でもわけが分からない、玉石混淆、雑多な万華鏡的文章の見世物小屋ですが、味気ない現実世界に疲れた時は、どうぞお気軽に暖簾をくぐってみて下さい。
七色祐太YouTube
そしてなんと、私のYouTubeチャンネルというハイカラなものもあります。
著作の紹介や、お盆に決行した一人百物語の様子など、見ると寂しくなる映像を終わった滑舌とセットでお楽しみ下さい。
『脱力ホラー映画の世界』で紹介した作品を、あらためて動画でじっくり解説するシリーズ、その名もズバリ「脱力ホラー映画の世界」もやっておりますので、文字よりビジュアルで楽しみたい方は、こちらをご覧下さいませ。
とまあ、最後に物書きとしてのプライドゼロの発言をしたところで、今回は終わりにしたいと思います。
それでは、また次回お会いしましょう。