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自分でできる決算分析② ゆうちょ銀行(減収・増益、でも営業活動によるキャッシュフローは赤字)

 会社自身やマスコミが公表する決算数値は、損益計算書の情報が中心です。でも、損益計算書以外の、包括利益計算書やキャッシュフロー計算書情報も掲載されています。それらを見れば会社の別の姿が見えてきます。
 本稿では,財務諸表の数値を使って自分で会社の経営分析ができるよう,経営指標の比率や数字が何を示すかを学ぶことができます。分かりやすく書かれていますが,決して内容が初歩的なものに留まるわけではありません。 
 本稿で身につけた知識だけで充分,自分で企業を分析し,診断することができます。 
 ゆうちょ銀行の2023年4月1日から2023年6月30日と2024年4月1日から2024年6月30日の第1四半期決算(決算短信)について分析します。ゆうちょ銀行の「決算短信」データの入手法は以下の通りです。

 「決算短信」の1ページの赤枠に損益計算書の主な項目が示されています。そして、その下には純資産合計が示されています。その後のページに貸借対照表、損益計算書そして包括利益計算書が掲載されています。

 まずは、損益計算書項目の一部と包括利益は以下の通りです。

 上3行が損益計算書項目です。会社自身やマスコミが公表する決算数値は通常、これらに限られます。「経常収益」は減っていますが、経常損益と四半期純損益は増えています。しかし、包括損益は黒字だったものが赤字になっています。
 損益計算書上の損益について売上高に対する比率で見た方が分かりやすいので、計算してみましょう。1行目の「経常収益」に対する2行目の「経常損益」の比率は以下の通りです。

 分母の「経常収益」が減り、分子の「経常損益」が増えているので、比率は上がっています。
 次に、「経常収益」に対する3行目の「四半期損益」の比率を見てみましょう。

 「売上収益」に対する「四半期損益」の比率も上がっています。
 ゆうちょ銀行の貸借対照表項目のうちの資産項目(有価証券)と純資産項目(その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ損益、純資産合計)は以下の通りです。

 「有価証券」の金額が3兆円以上増えています。しかし、「その他有価証券評価差額金」の増額は僅かです。また、「繰延ヘッジ損益」の赤字が4千億円以上増えています。純資産合計は、4千億円以上減っています。
 四半期包括損益については、下掲のように純資産合計に対する割合を見てみたいと思います。


 右の期間は、四半期包括損失の比率になるので、△を付けています。赤字になっただけでなく、比率でみてもその額が大きいことが分かります。
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