大学の国際化の第一歩②
管理人Oです。
今回の記事は、前回投稿の記事の続きで、紹介したGlobal Competence Certificateの学習コンテンツについて記します。詳細に記してしまうとプログラムを受ける楽しみが減ってしまうので、今回の内容はさわり程度の内容になっています。ご了承ください。
学習コンテンツ
1.Learning Style
自分と他者の学習傾向を学ぶことで、効果的に新たなセオリーを身につけるための準備ができる。4つの主要な学習傾向があり、グループワークでの意見交換を通して学ぶImaginative Learners、ケーススタディ・ロールプレイ・講義・読書から学ぶAnalytic Learners、フィールドワーク・課題解決型学習等で学ぶCommon-sense Learners、ハンズオン・クイズ・ピアティーチングを通して学ぶDynamic Learnersに分類される。
参考:Learning Styles: Types – National Extension Water Outreach Education
2.Who Am I !?
自己を形成する主要な要素として、文化的側面とアイデンティティーが挙げられる。ここでは、直接的なコミュニケーション/間接的なコミュニケーションを取る文化かどうか、何かしらヒエラルキーがある/人々の間はフラットな社会かどうか、ということに着目して文化的側面を考える。そうすることで他者のスタンスを理解することができる。
また、自分のアイデンティティーが何か考えることも、他者のアイデンティティーを意識する助けとなる。その手法として、考えうる自身の特徴を図に表すアイデンティティーフラワーを学んだ。
3.Leaving Your Comfort Zone
物事を効率的に学ぶためには、自身のコンフォートゾーンを出て、適度な緊張をもたらすラーニングゾーンに身を置くことが大事。緊張が大きすぎると、学習効率に多大な悪影響を及ぼすパニックゾーンに陥ってしまう。良い状態で学び続けるためには、友達・家族に助けを求める、ノートに感情を書き記す、散歩の時間を取るなど、自分なりにパニックゾーンを回避するためのストレス発散方法を確立することが重要である。
4.Observe Your Context
あるアイデンティティーを共通にするアイデンティティー・グループに対して、それぞれ特徴を知るための意識を学んだ。学ぶ手法としては、身の回りで発見した共通の文化的特徴を持つ集団について、自分がその特徴を文化的特徴と捉えた理由や、その集団に属する人々との関わりについてディスカッションを行う形式だった。
5.Stereotypes & Generalizations
私たちが無意識に持ってしまう固定概念(Stereotypes)と、特徴を捉え共通項をまとめる一般化(Generalization)を学んだ。一般的に、Stereotypesは他者に対して不公平なジャッジを行うことを指し、Generalizationは異なる文化の人と会う時には役立つこともある、と言われている。これらを意識することで、誠実さをもって異文化間コミュニケーションを行うことができる。
6.Empathy & Active Listening
他者の気持ちになって物事を考えるための、共感(Empathy)と傾聴(Active Listening)について学んだ。Active Listeningとは、単に他者の言っていることを聞くだけではなく、感情の起伏や話すトーン、ボディランゲージまで含めて話を聴く技術を意味している。
7.When Differences Collide
他者と関わる中で、それぞれの行動の違いが衝突し、対立してしまうことがある。対立が起こった際、どのようにしてその行動の違いが生じるかを理解するためのモデルとして、CSP modelを学んだ。
CSP modelは、文化レベルで違いが生じるという意味のCulture、その行動が求められる状況によって違いが生じるという意味のSituation、そして、年齢・経験・社会的身分によってい違いが生じるという意味のPersonの3つの要素から、行動の違いを理解できるよう設計されている。
8.DIVE - Suspending Judgment
瞬時に物事を判断し、Stereotypesや、他者に対して即座にネガティブな印象を抱いてしまうことを避ける手法として、DIVEという技術を学んだ。DIVEとは、4つの動詞の頭文字で、起こった事象をありのままに表現するDescribe、その事象を自分なりに解釈するInterpret、その事象について自分が知らないことがあるかなど情報の正確性を考えるVerify、そして、これらの段階を経て起こった事象について評価・判断を下すEvaluateを体系化したものである。
DIVEを行うことで、様々な物事に対して、誤った判断を下してしまうことを避けられる可能性が高まる。
9.Cultural Value Dimensions
Cultural Value Dimensionsは、自分と他者の違いを文化的背景から推察する助けとなる一般化された概念を指す。例えば、一人で行動することの多い文化と集団で行動することの多い文化(Individualism ⇔ Collectivism)という尺度、身分の違いを大事にする文化と平等を大事にする文化(Hierarchy ⇔ Egalitarianism)という尺度、はっきりと感情を表現する文化とそうでない文化(Emotionally Expressive ⇔ Emotionally Restrained)という尺度を用いることで、自分と他者のコミュニケーションを特徴を掴むことができると学んだ。
10.Communication Styles
コミュニケーションの取り方をざっくりと分類すると、より具体的な表現でのコミュニケーションを得意とするLow Context、より抽象的な表現でのコミュニケーションを得意とするHigh Contextの2つのコミュニケーションスタイルに分類できる。これらコミュニケーションスタイルの違いをまず理解し、他者との会話の中でコミュニケーションの取り方を工夫することにより、効果的に相互に理解することを可能とする。
11.Dealing With Conflict
コミュニケーションを取る中で、他者と対立する場面ももちろんある。コミュニケーションスタイルと感情表現の2つの軸で、対立の種類を4つに分類することができる。
12.Polarized Societies
社会的な課題の中には、人々の対立を極めてしまい、二極化に陥ることもある。これをPolarizationという。Polarizationを避けるために、各人の協働の範囲を広げることが重要である。このためには、置かれている状況はゼロサムで捉えられるものではなく、複数の状況が考えられることを理解し、物事の解決に向け行動して実験すること、そして、その社会的な課題に対して自分は無関係だと思わず、当事であると自覚することが必要不可欠である。
13.Spiritual Diversity
個人が人生の意味・目的を見出す方法のことをSpiritualityと表現することができる。最たる例として宗教が考えられるが、人それぞれに信じるものに違いがあり、その多様性をSpiritual Diversityと呼ぶ。人々の信じるものの違いを知覚することで、異文化間コミュニケーションの質を高めることができる。
14.Understanding Inequality
社会には格差(Inequality)があることを理解し、その格差に基づいた価値観・行動の違いを意識することが、異文化間コミュニケーションのうえで重要となる。多文化共生社会の中では、高い割合を占め意思決定等において強い影響力を持つ中心的な集団(Mainstream)と、影響力が弱く中心から離れた周辺に位置する団体(Margin)が存在する(例えば、健常者や障がい者など)。
しばしば、MainstreamからMarginに対する不当な扱いが起こる可能性があり、これが差別(Discrimination)となることを理解しないといけない。
15.Microaggressions
意図的か無意識かは問わず、他者を傷つけてしまう言動をMicroagressionsと言い、その性質を理解することによって、他者に対して思慮深く、また、自分に対するMicroagressionへの適切な対処を取るよう行動できるようになる。
16.Power & Privilege
社会の中では、様々な要因から、特定の集団間で、権力・特権(Power & Privilege)が不均衡となっていることがある。例えば、経済的に恵まれた家庭に産まれると、そうでない家庭と比べて、受けられる教育の幅に差が生じる可能性がある。属する集団によっては、影響力の大小や行動の範囲に差があることを認識することは、異文化間コミュニケーションを実践するうえで重要である。
17.Coping Strategies
これまでのコンテンツで取り扱ったように、物事を学ぶ際には自身のコンフォートゾーンから出て、効率良く知識・技術を吸収できるラーニングゾーンに身を置くことが求められる。そのためには、不安やストレスが大きくなってしまうパニックゾーンに陥らないように手立てを考えることも大事になってくる。ここでは、自分がパニックゾーンに陥ってしまっても、ストレスを押さえ、ラーニングゾーンに留めるための自分なりの手法(Coping Strategies)を学んだ。
普段、自分が不安やストレスを感じた際に心を落ち着かせるために取る行動を考え、参加者と共有・ディスカッションをすることで、自分が平常心を保つために最適な行動は何かを知ることができた。
(ちなみに、私は、何かに詰まってパニックになってしまったら、一定期間そのことを考えないように時間を置き、散歩やランニングに出かけリフレッシュすることが自分に最適だと気付きました。)
18.21st Century Skills
21世紀に必要なスキルは何か、考える機会を得た。このモジュールでは、教科として教えられるような計測可能なHard Skillと、人と人との交流の際に活きるSoft Skillについて理解を深めた。
Soft Skillの例としては、次のようなスキルが挙げられていた。
創造力(Creativity)
高度課題解決能力(Complex Problem Solving)
協働力(Collaboration)
批判的思考力(Critical Thinking)
etc…
19.Taking Action
Global Competence Certificateを通して、まず自己理解を深め、各モジュールでは様々なケーススタディ・ディスカッションを通じて自身の知見を広め、さらには人々の違いから生じる影響について学ぶことができた。最後のモジュールでは、これらの学習内容を踏まえて自分がどのように行動するか、また、地球上の課題に対して当事者意識をもって行動することができるActive Global Citizenになれたか考える機会を得た。
以上、簡単ではありますが、私が学んだ内容を記事にまとめて共有させていただきました。これを踏まえて、次回の投稿では大学の国際化を進める第一歩について考察、所感を述べたいと思います。
今回もお読みいただきありがとうございました。
【管理人O】