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バンドマンはベンチャー企業に学べ!両方経験したぼくから言えること

こんにちは。海保けんたろー(株式会社ワールドスケープ代表/ドラマー)です。

今日の話は、バンド活動で生計を立てたい、売れたい、と思っている方へのメッセージです。
「楽しいからやってるだけ」「趣味でいい」
という方には該当しませんので、そこだけご了承ください。

ベンチャー企業とバンドは似ている

ぼくは高校生の頃から、絶対に売れたいと思いながらバンド活動をしてきました。

それなりに良いところまでは行ったものの、結局売れることはできませんでした。

29歳で株式会社ワールドスケープを起業し、ベンチャー企業の経営者になりました。
今はその会社をうまくいかせるために日々頑張っています。

バンドマンから経営者という経歴をたどる中でぼくが度々思っているのは
「ベンチャー企業をやるのとバンドをやるのはとても似ている」
ということです。

類似点

典型的なITベンチャーと仮定すると、プログラミングができる人がいて、デザインができる人がいて、営業ができる人がいて…
それぞれのスキルを合わせて1つの商品やサービスを作ります。

そしてそれを宣伝し、誰かにお金を払ってもらう。
稼いだお金を再投資して商品を改良したり、より大きく宣伝したり。
それを繰り返しながら大きなビジネスにしていきます。
大きなビジネスになることで、その商品やサービスの価値が最大化され、世の中が良くなります。

バンドも全く同じで、歌が上手い人、楽器が弾ける人、曲が作れる人…それぞれが集まって音源やライブという商品を作り上げます。
その商品を宣伝してファンを増やしお金を稼ぎ、再投資していきます。
それを繰り返して多くのファンがつけば、その音楽で生み出される幸福が最大化していきます。

数人のスペシャリストで商品を作りそれを宣伝してお金を稼ぐ。
それを通して世の中をより良く、幸せにしていく。
商業的成功を目指すバンドは、もはやベンチャー企業と呼んでしまっても良いのではないかと思うくらい似ています。

大きな違いが2つ

しかし同時に、大きく違うと感じる点があることも事実です。

まず実感としてあるのは、生計が立つようになる確率がバンドの方がずっと低いということです。

この原因は大きく2つに集約されると思って考えております。

1つは「お金やビジネスについて考えていなさすぎる」点、
もう1つは「変化を避けすぎている」という点です。

逆に言えばこの2点さえ解決すれば、バンドマンが音楽活動で生計が立てられる可能性はぐっと上がると思ってます。
ひとつずつ解説していきますね。

お金やビジネスについて考えていなさすぎる

ベンチャーを起業する人たちはみんながみんなお金目当てだと思っている人もいるかもしれませんが、
案外そういう人ばかりではありません。

世の中にこういうものがあって欲しい、こういうサービスを提供したい、
そういう思いで起業している方もたくさんいます。

しかしそういう形であっても、起業家は多くの場合お金を稼ぐことの重要性を知っています

そのためこういう商品を作りたいと考えると同時に、
「どこでどうやってお金を儲けるのか」
「いくらかかっていくら入ってくるのか」
「しっかり利益が出るためにはどうすれば良いのか」
そういうことを大抵考えています。

それに対し、多くのバンドマンは本当にこの辺が苦手です。

いうまでもなくスタジオ練習するにもCDを作るにもミュージックビデオを作るにもお金がかかります。

そのためのお金を音楽活動で稼ぐことができなければ、アルバイトという名の音楽と関係のない時間消費をするしかありません。
音楽に関係ない時間を使っている人と音楽だけに集中している人ではどちらが成功しやすいとは一目瞭然です。

だからこそ「音楽活動でお金を儲ける」という事はしっかり考えるべきテーマです。
現にここをしっかり考えることができているアーティストの方が音楽で生計が立っています。

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変化を避けすぎている

バンドの方が成功率が低いもう一つの理由は「変化を避けすぎている」という点です。

ベンチャー企業の多くは、思い描いていた通りに商品が売れなかった場合、迅速に方向転換をします。
(これは pivot/ピボット と呼ばれています)

それは元々やろうとしていたことをあきらめるということではなく、アプローチの方法・見せ方・やり方の部分で「別ルートにチャレンジする」ということです。

全く別の名前の少し違う機能を持ったアプリを作ってみたり、
一般ユーザーに向けて販売しようとしていたものを企業向けの商品に作り替えてみたり。

そうやって短期間にいくつものチャレンジをし正解にぶち当たるまで変化を続けます。
実際そうやって何度目かのチャレンジで成功した企業はたくさんあります。

しかしバンド界隈はそういったクイックな変化やリニューアルを良しとしない空気感があります。
初志貫徹で長く続けることがカッコいい、という世界観があります。

変化することで今いる少人数のファンが離れるのを恐れていたり、
周りのミュージシャンから「あいつら何がしたいのか」と思われることを恐れていたりします。

しかし冷静に考えてみてください。

「きっとこのメンバーでこの音楽をやればいける」と思って立ち上げたバンドが、
1年2年必死に活動したのに全然ファンが増えていなかったり業界人から何の声もかかっていないのであれば、
それは高確率で3年後も5年後も状況が変わる事はありません

絶対にありえないとまでは言いませんが、成功確率で考えるならメンバーを組み直したり、バンド名や楽曲をリニューアルしたり、今までと全く違う活動方法をするなりして、次の仮説を検証するべきです。

「そんなことはない。あのバンドだってあのバンドだってずっと変わらないスタイルを貫いて売れたんだ」と言いたくなりますか?

もちろんそういったバンドがいることをぼくも知っています。
しかしそのバンドの向こう側に100倍1000倍の「貫いた結果、売れなかったバンド」がいるということに気づいてください。
彼らがもっといろんなスタイルに挑戦していたら、売れていたかもしれないのです。

ぼくは今の会社でアーティスト支援という仕事をしている中で「実は音楽活動で生計を立てると言うのはそこまで難しいことではない」と思い始めています。

ただしそのためにはしっかりと自分の音楽を磨き続ける努力や研究に加えて「お金やビジネスのことをしっかり考える」と言う条件が付きます。

もしあなたが活動に行き詰まりを感じているバンドマンであるなら、気まぐれにベンチャー企業の経営者などをTwitterでフォローしてみるのも面白いかもしれません。
彼らから良いところを吸収し、あなたの音楽活動がより充実したものになることを願っております。

海保けんたろーより。

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当記事は「海保けんたろーの思考集積場」の過去記事を加筆修正したものです。

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