在宅酸素療法についてご存じですか?【適応と基準】
あなたは「在宅酸素療法」という言葉を聞いたことがありますか。新型コロナウィルスの流行により、自宅待機を必要とされた方にも、必要な場合、この在宅酸素療法を行っているケースについても、メディアでは取り上げられていました。この記事では、在宅酸素療法がどのような方に適応されるのか、その基準についてまとめています。
在宅酸素療法とはどんな治療を指すのか?
ここで、最初に「在宅酸素療法」とは何なのかということについてご紹介します。
肺に慢性的な疾患を持った方や、なんらかの理由で、身体に酸素を運ぶことができない状態にある方に対し、濃い濃度の酸素を身体に(血液中に)取り入れてもらう治療を「酸素療法」と言います。
一定の酸素量を身体に保つことができない場合、入院中だけでなく、自宅でも酸素療法を必要とすることもあります。
その場合に、酸素療法を自宅で(在宅で)行うことを「在宅酸素療法」と言います。英語では「Home Oxygen Therapy」と言い、その頭文字をとって、医療の現場では、在宅酸素療法のことをHOT(ホット)とも呼びます。
在宅酸素療法の目的はなんでしょうか
酸素療法の一番の目的は、体が必要としている酸素を補うことです。
肺は、呼吸をすることで、酸素を多く含んだ空気を体内に取り込み、二酸化炭素を吐いて体外に出す働きを持っています。
しかし、肺がなんらかの理由で病気になって、交換の機能が十分に果たせない場合、全身のあらゆる、臓器や細胞に必要な酸素が不足することとなります。
その場合、酸素の濃度が低下するため、補充をしてあげる必要がでてきます。酸素が不足し、不足した状態が続くことで、脳などの重要な臓器に、大変な負担がかかり、機能の低下が危ぶまれます。
また、脳卒中や心不全といった合併症を生じてしまうこともあります。その結果、生命維持に影響し、寿命を縮めてしまいます。
医師は、肺に病気がある人に対し、酸素の量を決め、必要分の酸素を充填できるように治療を行います。
鼻のチューブから酸素が通り、吸入を行います。
私たちが、自然に呼吸している場合、普段すっている空気の中に酸素は、約21%含まれています。
しかし、肺になんらかの病気を抱えている場合は、その濃度の酸素では、必要量を取り込むことができず、不足してしまうのです。
そのため、酸素療法では、21%より濃い濃度の酸素を吸うことになります。
どんな時に、在宅酸素療法の適応となるのか?基準は?
在宅酸素療法は、どのような場合に適応となるのでしょうか。
様々な疾患が存在しますが、おもに症状から見ていくと、肺、もしくは心臓に、高度機能障害を抱えている方に対し、在宅でも酸素療法を行います。
主に、呼吸機能に関係する臓器である、肺や心臓が慢性的な障害を抱えると、臓器としての機能が低下してしまうため、在宅酸素療法が必要となります。
具体的な疾患としては、高度慢性呼吸不全例、肺高血圧症、慢性心不全、チアノーゼ型先天性心疾患および重度の群発頭痛などが挙げられます。
そのなかでも、慢性呼吸器性疾患(COPD)の患者が最も多く、肺線維症、間質性肺炎、肺結核後遺症と続きます。持っている方です。
具体的には高度慢性呼吸不全患者、肺高血圧患者、慢性心不全患者、チアノーゼ型先天性心疾患患者が挙げられます。
しかし、いずれの疾患を抱えていたとしても、呼肺や心臓が慢性的に障害されており、臓器の機能低下が一定の状態まで認められた場合に、在宅酸素療法が必要になることがあります。
重症でなければ、在宅酸素療法を必ずしも必要とするわけではありません。
在宅酸素の適応か否かを診るためには、医師によって、患者さんの動脈の採血を行い、酸素の圧を測ることや、酸素がどれだけ体内に取り込まれているかをテストする(酸素飽和度)評価を行います。
また、多少専門的にはなりますが、在宅酸素は社会保険が適用されるもので、次のような基準を満たしている場合に、適応となります。(*1)
在宅酸素療法を受けることで、患者さんに得られる効果
患者さん個々により、症状や疾患の程度により、在宅酸素療法を行うことによる効果の期待の程は異なります。
しかし、在宅酸素療法を行うことで、主に次のような効果を期待することができると言われています。
酸素療法を行うことで、いずれも、患者さんの生活の質(Quality of Life : クオリティーオブライフ)が改善したり、社会復帰を目指すことが期待できると言えます。
それだけ、体の中に酸素を取り入れると言うことは、生きていくうえで重要なことで、在宅酸素療法がいかに大切な在宅治療であるかということが、わかりますね。
まとめ
酸素療法は、体が必要としている酸素の量を補うための治療法で、肺や心臓の機能低下がみられ、慢性的に疾患を抱えている方に対し、適応となります。
この様な患者さんは、入院中以外にも、自宅で生活を行っていくためには、酸素療法が自宅でも必要となります。
自宅で行う酸素療法を「在宅酸素療法」と呼びます。
在宅酸素療法には、適応となる基準が存在し、医師の指示のもと行われます。
在宅酸素療法は、患者さんの生活の質を改善させるためにも、重要な治療と言えます。
参考サイト
独立行政法人 環境再生機構 【知識編】在宅酸素療法とは より URL