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認知症ケアに迷ったら観たい映画『ファーザー』:当事者視点から学ぶケアと心を軽くするヒント
介護の中でも、認知症ケアは難しいと感じる方も多いはず。
実際にこの業界で働いていると「認知症は苦手…」という介護スタッフをよく見かけます。
家族の認知症介護をされている方の場合は、大切な人が少しずつ変わっていく姿を見守るのは、辛さや戸惑い、苛立ちなど色んな感情を伴って、どうしたらいいのかわからなくなってしまいますよね。
少しでも良いケアをしたくて、
本人に寄り添ってあげたくて、
本を読んで勉強したりもするけど、なかなかうまくいかなかったり…。
そこで今回ご紹介したいのが認知症を題材にした映画「ファーザー」です。
この作品は認知症の当事者の視点で物語が進んでいき、認知症介護に携わる全ての方に深い気づきを与えてくれる作品です。
あらすじ
映画好きな方なら知っているであろう「filmarks」というアプリから、この映画のあらすじを引用すると、
“ロンドンで独り暮らしを送る81歳のアンソニーは記憶が薄れ始めていたが、娘のアンが手配する介護人を拒否していた。
そんな中、アンから新しい恋人とパリで暮らすと告げられショックを受ける。
だが、それが真実なら、アンソニーの自宅に突然現れ、アンと結婚して10年以上になると語る、この見知らぬ男は誰だ?
なぜ彼はここが自分とアンの家だと主張するのか?
ひょっとして財産を奪う気か?
そして、アンソニーのもう一人の娘、最愛のルーシはどこに消えたのか?現実と幻想の境界が崩れていく中、最後にアンソニーがたどり着いた<真実>とはーー?“
となっています。
おススメする理由
①認知症を疑似体験できる
僕がこの映画をおススメする最大の理由は
認知症の視点を知れること。
この映画、
観てみるとわかるのですが、話が全然読めないんですね。
初めて映画館で観たときは、ストーリーが全く分からなくて、頭の中が「???」状態でした。
でも終盤で、ハッと気づいたんです。
「まさにこれが認知症の方の世界なのか…」と。
認知症当事者である、主人公のアンソニーの視点でストーリーが進んでいくので、認知症の方が感じている不安定さや孤立感、頭の中のパニックなどを疑似体験できるんです。
この映画をみたときの「???」が、認知症の方が普段感じている世界で、
だとしたら日々の介護の中で起こる突拍子もない言動にも納得がいくといいますか、理解ができる…。
個人的な考えですが、認知症ケアにおいて最も大切で基本的なことって、「その人の立場になって考える」ことだと思うんです。
認知症の方に限らず、人と良好なコミュニケーションを築く上でもとっても大事なことですよね。
そんな当たり前のことが認知症の方と接する際にも何より大切で、
そんなことに改めて気付かされる作品です。
映画をみて浮かんだ「???」が、毎日のように続いたら、自分はどう感じるんだろう?
そんな風に考えたら、ケアの際にも少し心に余裕が持てるようになるかもしれません。
②介護者の苦悩に優しく寄り添うリアルな描写
もう一点のおすすめポイントは、
介護者の感情に寄り添ってくれる部分があるということ。
とくに家族の認知症介護を行っている方の場合は、
「大切に思っているし寄り添ってあげたいと思うんだけど、もう辛い」とか「どうしてこんなことになるの…?」という複雑な感情や自責に苦しむことも多いかと思います。
この映画の娘のアンも同じです。
父親への愛情を持ちながらも、自分の時間を犠牲にして介護に向き合い、苦しむ姿がリアルに描かれ、その姿に共感できる部分があるでしょう。
その共感は「自分だけじゃない」「みんなこうなんだな」という安心感に繋がり、心を少しラクにしてくれるかもしれません。
またアンの物語を通して「自分だけで全てを完璧にやらなくてもいい」と思えたり「いっぱいいっぱいになってしまった気持ちを誰かに共有したり、弱音を吐いてもいい」というメッセージが伝わってくる部分もあるでしょう。
まとめ:認知症ケアに役立つ気づきと心の安らぎ
映画「ファーザー」は認知症の疑似体験が出来る衝撃的作品です。
認知症介護は思うようにいかないことも多いとは思いますが、まずは当事者の視点に立って考えてみること。
それが結果的に、介護者の心の余裕にも繋がります。
認知症の現実が鋭く描かれつつも、
確かにある愛や絆もやんわりと感じることのできる映画「ファーザー」。
ぜひ忙しい毎日の中でも静かな時間を作って、観てみてください。
(「映画を観る」という行為自体も、心のケアに効果があると言われています!)
この映画を観ることで、あなたの介護に新たな気づきを与えるとともに、少しでも心が安らぎますように!