きっかけ1
私が介護衣類を作るきっかけになったのは、寝たきりの方の着替えをする場面で、その都度いろんな思いがあったからです。
その1つは着脱が簡単で安全な衣類がないと感じたからです。
当たり前のことですが、病院では一人の患者さんにゆっくりと関われる時間があるわけではなく、何人もの患者さんのお世話をしなくてはならない状況です。そのため着替えも素早く行わなくてはなりません。しかし、寝たきりの方の着替えは簡単なことではありません。手足の関節が固まって動かせない方や、皮膚が極端に弱くなっている方、点滴をしている方、着替えることが理解できず抵抗される方もいます。寝返りが出来ないような方も多く、ご本人の協力をえられないことがほとんどではないでしょうか。介助者は体を支えながら袖を通したり、ズボンをはかせたりしなければなりません。
このようなことから寝たきりの方には介護衣類が適しているように思えます。しかし、介護衣類でもこれはいいというものはほとんどありませんでした。多くはパジャマの前開きのボタンがマジックテープにかわったもの、ファスナーで着脱が出来るものなどです。ファスナーを使ったものは、人によっては適しているかもしれませんが、皮膚が極端に弱くなっている方にとっては、ファスナー自体がケガの原因になることもあります。例えば足の下にファスナーの金具が当たったまま時間が経つと、皮膚が赤くなり、時には褥瘡になったりもします。介護用パジャマもいいのですが、袖ぐりが狭く、ズボンは腰を上げなくてはならず、ケガをさせないように細心の注意を払いながら行う必要があります。また、腕から点滴をしている方も違う大変さがあります。それはまた今後お話をしてゆきたいと思います。
このように寝たきりの方の着替えは介助者にとって、肉体的、精神的な負担が大きいです。また、介助される方にとっては無理な姿勢をとることになり、痛みやストレスを感じることになります。
そんな状況でいつも思っていたのが、「もっと、安全で、簡単に着脱できるものがあれば、介助する人、介助される人も楽になれるのに・・・」と、いう思いでした。
いつの日かそんな介護衣類が世の中に出てくると期待してましたが、それは叶いませんでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。