それ正論?俺、正論嫌いなんだよね5
「なんで‥なんでそんなに簡単に、受け入れられる?飲み込める?この街の人間も、風鈴のヤツもそうだ。オレは‥オレは、てっぺん獲りに、お前を負かしに来たんだぞ!?オレにはできないね。」
…そもそもオレは、人を受け入れたことなんかない…
…だからこそ、一人で強くなることを目指した。ここへ来たのだって、てっぺんになって、自分で自分を認めたかったからだ…
…でも、てっぺんになるには、どうやら他人が必要で、他人を受け入れられないオレは‥オレには…
『WIND BREAKER』桜の言葉と脳内言葉です。
「自閉症(ASD)」の症状は、大きく分けて2つあります。
①社会的コミュニケーション障害
②反復的・繰り返しの行動パターン
特に、小学校からの学校生活や仕事、その後の人間関係等において、障壁となるのが①社会的コミュニケーション障害です。
社会活動に大きく関わっている脳の部位は「内側前頭前野」です。
コミュニケーションは、話し手がある情報を伝えた時に、聞き手がその情報に対し、一定の反応をする事で成り立ちます。
聞き手の反応が良ければ、話し手はもっと話したいという気持ちになります。
この時に「楽しそう」「つまらなそう」等の反応を、総合的に判断しているのが「内側前頭前野」です。
「内側前頭前野」は、相手の反応を総合的に判断していますが、その判断材料は、言葉だけではありません。
実は、言語情報以上に、視線や表情等の非言語情報が判断に大きく関わっています。
メラビアンの法則でも、人がコミュニケーションを取る時、視覚情報から55%・聴覚情報から38%・言語情報から7%という様に、90%以上を非言語情報から情報を得ていると定義されています。
「自閉症」の特性を持っている人達は「内側前頭前野」の非言語情報を処理する領域が少ししか働いていない事がfMRIにより証明されています。
「自閉症」の特性を持っている人は、非言語情報である視線や表情等を読み取りづらく、言葉や会話内容等の言語情報のみで、相手の反応を判断しています。
これにより①社会的コミュニケーション障害が生じ、所謂「空気が読めない言動」をしてしまうのです。
ただ朗報もあります。朗報と言って良いのかは判断に迷いますが‥。
あまり知られていませんが「自閉症」の症状は、年齢とともに緩和される事が経験的に実証されています。
この要因は、脳が年齢とともに発達し、特性も変化するからです。
脳の表面の神経細胞がある場所は「灰白質」と呼ばれています。
「灰白質」の体積は、生後徐々に体積を増やし、思春期にピークを迎え、その後徐々に減っていきます。
これに対し「自閉症」の人の脳は、生後1~2年の間に脳体積が急激に上昇するという特徴があります。
上記の脳の体積異常により「自閉症」の人の脳は、ある部分の体積が通常に発達した脳と比較し、大きかったり、小さかったりする事が起きています。
脳の体積異常を起こしている部位としては、「内側前頭前野」以外に「偏桃体」感情の処理・ストレス反応等に関わる)「紡錘状回」(顔の認知・視線処理等に関わる)「小脳」(行動や運動の調整等に関わる)等があります。
上記のような脳の体積異常が原因となり、対人コミュニケーションの機能低下を引き起こし、社会生活に影響を与えていると考えられています。
5・6歳までは「言葉が出てこない」「集団の中で過ごす事が出来ない」等の悩みを「自閉症」の子どもを持つ、親は持つ事が多いです。
10・11歳頃になると「空気が読めない」「異性との距離感が普通じゃない」等の悩みを「自閉症」の子どもを持つ、親は持つ事が多いです。
たとえば、小学校高学年になると、クラス内でも階級(ヒエラルキー)が生まれます。
『リアル』に習い、私はこれを「ランク」と表現しています。
誰に習ったわけでもないにも関わらず、通常の子どもはこの「ランク」を肌で感じ、自分に即した「ランク」らしい言動を取るようになっていきます。
「自閉症」の子どもは、これが理解出来ず、自分が「Dランク」にいるにも関わらず「Aランク」のクラスメイトに、ルールに即した行動を取るように等という注意をしてしまいます。
それも、校長先生の話が終わったらしっかり拍手をする様に等という、至極どうでもいい事に対して‥。
このような言動を続ける「自閉症」の子どもが、クラス内でどのようになっていくのかは想像に難くないと思います。
子どもの頃は「自閉症」の特性が強く出ていて、社会生活に支障をきたしていた人も、年齢を重ねていくと自分の特性を自分の環境に合わせて調整する事も可能になっていきます。
しかし、生じた結果の全てを「自閉症」の所為にするような言動を重ねている「自閉症」の特性を持つ人が多い事も現実です。
「自閉症だから、周囲が合わせて当たり前」という世界観を持ち、結果が出ない現状を常に他者や社会に向ける人と関わりたいと思いますか?
私は、関わりたくないと思います。
私自身、上記のような人と関わり、心が疲弊した経験が幾度もあります。
通常の学級に在籍する小学生の10,4%に「発達障害」の可能性があるとする現代社会。
これからは、癌・脳梗塞等ではなく「精神疾患」「発達障害」が国民病となっていく時代となります。
「発達障害」とどのように向き合っていくのかを、正論ではない表現方法で、話せる人と出逢える事を楽しみにしています。
「ちょっ‥ちょっと待ってください。桜さん。」
「さ‥桜さん、昨日オレのことダサくないって言ってくれたじゃないすか?オレのこと、ちゃんと見てくれたじゃないですか。」
「オレ、めちゃくちゃ嬉しかったです。」
「拳で対話できる条件、わかるか?」
「条件?」
「人と向き合うこと。知りたいと思うこと。お前には、それができた。だから、十亀と対話ができたんだ。」
「なんでもかんでも受け入れりゃいいってもんじゃない。でもな、受け入れるためには、まず向き合わなきゃいけないんだよ。」
「お前はそれができるヤツだし、受け入れたいとも思ってるように見える。それができれば、何にだってなれる。てっぺんにだってなれるさ。」
『WIND BREAKER』秋彦の言葉と梅宮と桜の会話、そして、梅宮の言葉です。