はいあがろう。負けたことがあるというのが、いつか大きな財産になる。
「で、どうだったんだよ?」
ーグランプリ獲ってプロになれよー
…清居の言葉を思い出して、じわりと背中に冷たい汗がにじんだ。贔屓目ではなく、清居はぐんぐん人気が出てきている。来期のドラマは安奈の主演で話題性抜群だし、清居は一気にブレイクするかもしれない。それにひきかえ自分はグランプリどころか、一次審査も通らなかったなんて言えない…
「ああ、駄目だったのか。」
…うつむいて黙り込んでいる姿から察したのだろう、観念してこくりとうなずいた。がっかりされる。あきれられる。愛想を尽かされる。怯える平良に、ふうんと清居が言った…
「いいじゃん。また次がんばれ。」
…のろのろと顔を挙げると、欠片も動じていない清居と目が合った…
「怒らないの?」
「なんで俺が怒るんだ?」
「清居の期待を裏切った。グランプリ獲ってプロになれって言ってくれたのに。」
「一回で獲れなんて誰が言った?」
「それは‥言ってないけど。」
「というか、一回も失敗したくないっておまえは何様だ。神か。」
…まさかと首を横に振った。それに神さまだって失敗する。自分と清居をカップリングさせるなどという、超ド級のうっかりミスをー…
「じゃあ気持ちを切り替えて次にいけ。俺だって初めて出たコンテストで入賞逃したし、今だってやりたいこと全部叶えているわけじゃない。」
『美しい彼』の一説です。
人生において、最も必要となる力は、何だと思いますか?
勇気でしょうか?愛でしょうか?努力でしょうか?
私は「失敗から立ち直る力」であると考えています。
これは、特に、子どもや子どもを育てる親に届けたいメッセージです。
人生は、順調に進む事の方が珍しいものです。
誰もが、失敗をしたり、裏切られたり、逆境に出くわしたりします。
しかし、日本の「洗脳教育」は正解を見つける=優秀な子であるという教育であるとともに、社会人経験のない「子ども大人」である視野の狭い教師が「外向性」「協調性」の高い、所謂日本人が想像する素直な生徒のみ贔屓して育てる為、その枠組みから飛び出すような才能溢れる子どもの才能開花が望めません。
これは私の持論ですが「教育」とは、失敗をさせる事であると考えています。
そして、親や教師が出来る事とは「失敗」は挑戦をした証である誇るべき事であるという世界観を子どもに持たせる事と、親や教師自身が様々な事に挑戦をし「失敗」を経験し、その姿を子どもに見せる事の2つであると思います。
「レジリエンス」という言葉を、聞いた事があるでしょうか?
「レジリエンス」とは、困難な状況から立ち直る力を意味します。
心理学の世界においては、人は、生まれつき「レジリエンス」を持っているとされています。
たとえば、歩行を考えてみましょう。
私達の多くは、特に考える事なく、当たり前のように歩いています。
しかし、1歳頃になるまで、私達は歩く事が出来なかったのです。
ハイハイから立ち上がりが出来るようになり、今度は歩こうとします。
勿論、上手くいかず、何度も何度も転びます。
その度に大声で泣く事を繰り返しますが、歩く事を諦める事なく、何度も何度も挑戦する事で、私達は歩行する事が出来るようになったのです。
「自閉症(ASD)」「鬱病」「統合失調症」等の原因の1位は「遺伝」です。
そして「レジリエンス」の能力にも「遺伝」が大きく関わります。
しかし「レジリエンス」は、経験や知識により、育てる事が出来ます。
そして、子どもの「レジリエンス」を育てる事が出来るのは、親です。
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