そして、誰もケアマネをやらなくなった5
良い人か‥それは‥その言い方は、僕はあまり好きじゃないんだ。だって、それって‥自分にとって都合の良い人のことをそう呼んでいるだけのような気がするから。」
「すべての人にとって、都合の良い人なんていないと思う。誰かの役に立っても、他の誰かにとっては、悪い人になっているかもしれないし‥だから、アニがこの話に乗ってくれなかったら‥アニは、僕にとって悪い人になるね‥。」
『進撃の巨人』アルミンの言葉です。
クイズです。
毎日訪問介護(ヘルパー)が入り、自分で出来たり家族がいるにも関わらず、掃除や洗濯・買物等をやって貰い、さらには、訪問診療(医師やそのサポートをする人数名が自宅に訪問するサービス)を利用し、それ以外にも、精神科や整形外科・眼科等複数の病院に掛かり、薬を貰いまくり、世間話しかしないのにも関わらず訪問看護を利用し、福祉用具貸与でベッドや車椅子を借り、通所介護(デイサービス)にも週2回行っているにも関わらず、お金を1円も払わなくて良い人は、誰でしょうか?
答えは、生活保護受給者です。
先日、介護保険の認定調査で伺った高齢者の夫が「日本は、我々下々に厳しい国だ。」等という主張を私に、ぶつけてきました。
流石に頭にきてしまい「日本程、下々に優しい国はありませんよ。」と私の主張をぶつけてしまいました。
良いか、悪いかは、別として、2008年に私がインドのカルカッタを旅した時、日本でいう生活保護受給者にあたるような人は、全てホームレスであり、道端で死んでいる人も複数いました。
インドを旅した後、私は、日本の社会保障制度の素晴らしさを実感しました。
だって、道端で死んでいる人もいなければ、生活保護を申請すればホームレスになる事もないのですから‥。
しかし、介護・福祉の仕事をするようになり、私の日本の社会保障制度に対する見方は、変わっていきました。
働く事が出来るにも関わらず「働く気はある」と嘘をつき続け、20代の頃から生活保護を受給し続けている人を、たくさん見てきました。
生活保護費が入ると、パチンコ店に駆け込む生活保護を受給し続ける人を、たくさん見てきました。
無料だからと、ヘルパーを毎日訪問させ必要以上の掃除を要求し、それは出来ないと説明すると激昂する生活保護を受給し続ける人を、たくさん見てきました。
勿論、生活保護が必要な人がいる事は、理解出来ます。
ただ、人は、1度楽を経験すると、その楽を、是が非でも、手放したくなるものです。
たとえば、精神疾患を持つ30代の生活保護受給者が、障害者枠で就職をし、人間関係に悩みながら10万円程度の給料を得て、生活保護を停止、若しくは一部停止されるよりも、就職をせず、家賃・生活費・医療費等を全て生活保護から受給し続けるという選択はある意味、合理的であるとも捉える事が出来ます。
私自身「相談支援専門員」として、上記のような「働いて、生活保護を卒業したい」という希望を持つ、生活保護を受給する障害者が働く為に使う障害福祉サービスである「就労移行支援」というサービスを利用出来るように手続きをし、サポートをする仕事もしています。
しかし、これまで、18人上記のような方の支援をしてきましたが、就職をし、生活保護受給を卒業する事が出来た人は、0人です。
私は、生活保護受給者でも、医療・介護サービスには、自己負担を発生させるべき。
生活保護受給には、期限を設ける。
さらに、生活保護受給者が、都心に住む必要はないと考えています。
そして、ここからが、闇の深い部分になります。
平均年齢が55歳である、所謂「おばちゃんケアマネ」は、上記のような疑問を持ちません。
勿論、年齢に関係なく、上記のような疑問を持たれている方も一定数いますが、ごく少数です。
そればかりか、サービスを使わせる事が、良いケアマネであると捉えていたりします。
確かに、サービスを提供する事で、その高齢者(利用者)の生活を支援していると錯覚してしまいます。
サービスを提供する事=ケアマネの仕事であると、勘違いをしている人が多いです。
ただ、介護保険サービスを利用しないと、ケアマネは報酬の請求が出来ないという介護保険の仕組み自体にも問題がありますが‥。
そして、高齢者や家族も、そのように自分たちの言う通りに動いてくれるケアマネを「良いケアマネ」であると評価します。
しかし、これは冒頭のアルミンの言葉の通り、自分にとって都合の良い人を、良い人と解釈しているだけです。
自分で、買物に行く事が出来る人に対して、ヘルパーが買物に行くような支援を提供する事が、良いケアマネなのでしょうか?
自分で、掃除が出来たり、家族が協力出来るにも関わらず、ヘルパーが掃除をするような支援を提供する事は、良いケアマネなのでしょうか?
1円もお金を払っていない生活保護受給者の要求を、笑顔で肯定し続ける事が、良いケアマネなのでしょうか?
基本的に、介護・福祉で働く人は「誰かの役に立ちたい」という思いを持っている人が、多いです。
心理学的に分析をすると、上記のような承認欲求を、高齢者の支援をする事で満たしていると捉える事が出来ます。
これが、私が、上記に挙げてきたようなミスマッチを生みます。
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