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ハートブレイク、懐メロディ。

「だって写真になっちゃえば、あたしが古くなるじゃない」

ラジオから椎名林檎のギブスが流れた。

不覚にも車の中で涙がこぼれそうになる。

聴いていた頃のいろいろな景色がニューシネマパラダイスの様に次々と浮かんでは消え、感情を引き裂いていく。

西川進の歌うようなギターの音まで記憶にしっかりと刻み付けられていたらしい。
あのファズの効いた轟音を一音違わずなぞることができる。
その音は歳を重ねた現在の継ぎはぎだらけの心臓を切り裂いていく。

そして、なんて狂おしい歌詞。

なんのことはない、あたしが古くなるもなにも、僕がずっと古いままだったわけだ。
20年も経つというのに。

音楽は危険だ。

匂いと同じで、記憶に直結している。
その頃に聴きすぎたのも悪かった。
映画よりも日常に近い位置にいる。

もう平常心を保つのは不可能だった。
コンビニに車を停め、少し休んだ。

煙草。

いろいろなことを覚えてはいるが、かつての自分の思考パターンの未熟さ、その根拠となる知識の如何に少なかったことか。
その結果が今という訳だけど、きっとこの今も
さらに20年後から見たら幼稚なのだろう。

今、正しい判断をしている自信はない。

椎名林檎が思い出させてくれた、ああすれば良かった、ああしなければ良かった、の連続。

僕はこれからも意図的に無視をして生きていく。
だから20年後、また何かの曲を聴いて同じ事を考える筈。

実のところこれは定期的に訪れるのだけど
以前はCoccoだったし、hitomiやHysteric Blueだったりした。

最近は新しい音楽をあまり聴いていないので、もしかしたら次の時代はなんとかなるかもしれない。

それはそれで寂しい気もするが、もう辛い思いをするのは嫌なのだ。

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あとギブスってギプスの間違いらくオフィシャル的にもそんなこと言ってるらしいけど、僕はこれは相手からのgivesだと勝手に解釈している。
He(She) gives xx to me.

I wanna be with you.

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