これが性悪説の人たちの頭の中の世界。誰かのせいにしないと、自分が受けた不利益がバランスされない。
本来、天災以外のすべてのトラブルの本当の原因というのは自分自信にあります。過失や無知、回避の努力や予見を怠ったことも含めて。他人のせいにするって子供の思想なんですよ。
そんなことは本当は自分でもわかっているのだけど、それを認めることはできないから架空の誰かに原因を肩代わりしてもらうしかないんです。
時々大きな会社がニュースを騒がせる、不正会計、損失飛ばしのスキームと同じですね。
その誰かというのは、架空の存在だったり、もしくは自分と全く縁のない存在だったり、そもそも人ですらない場合もあるんですけど。
会社や行政、システム、もしくは「習慣」というなにかが加害者として計上されていく。
こうして実体のない悪人の数が会計上の利子や手数料のようにどんどん増えていきます。
いつしかそれは概念と化して、肩書や組織、国というだけで憎しみの対象となって行く。
本当は何もされていないのに、きっと〇〇するだろう。当然××をするに決まってる、だってこいつらは自分に〇〇をした加害者じゃないか。と。
いつの間にか事実になってしまう。架空の根拠を元に新しい虚像の世界が組み立てられていく。
虚像。
これが性悪説の人たちの頭の中の世界です。
その悪意はふわふわと社会の中を電子のように浮遊していて、時々実体化することがあるんですよね。
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いつものサービスをやってもらえなかった
宅配便がいつもより遅かった
あの店は味が落ちた
パソコンが急に調子が悪い
人のせいにすることに慣れているので原因を自分に求めることは無い。
自分に対して最高のサービスをしないのは最低の会社だと本気で思ってる。
実のところ、ピークを避けてあと30分早くお店についていたら
不在票や通知のメールを見落としていなければ
空き容量や電源についての知識があれば
今までがたまたま偶然の特別が積み重なっていただけと知っていれば
回避できたのだけど、そんなことに気づくわけない。
自分の能力の低さ故、と万一自覚したとしても、それは親のせいで、友達のせいで、環境のせいで、お金がないせいで、
暇がなかったせいで、性別のせいで、時代のせいで、自分以外のだれかのせいであって、自分が悪いわけではない。
こうして自分のプライドを守った代わりに、仕立て上げられた新しい悪意がまたこの世に飛び出して行く。
種を蒔かずに果実が欲しい。
だってお客様は神様だから。
種は誰かが蒔いて水も肥料も収穫も、誰かがやってくれるものでしょう。
最高のサービスを無条件に無制限に受けるのが当然だ。
私は神様である。
最期は必ず「誰かが自分の為にやってくれなかったせい」という思考に帰結する。
冷静に考えると、こんな幼稚な思想もないのだけど。
歪んでしまった彼らにはもうわからないんですよね。
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あいつがもっとこう動けばって思ってても人生良くなるわけないです。
他人をコントロールする事はできませんし、そもそもこっちが勝手に期待して、それに応えられなかったからって失望するなんて勝手ですよね。
悲観的な意味ではなく、なんでも自分のせいにすると精神的にすごく楽だし、今後の為になるんですよ。
改善すべきは自分だけでいい。
自分は自分に文句言わないですしね。
自分が無知なせいで、その分野について知らないせいで、事前に調べなかったせいで、準備不足のせいで、残り時間を読み誤ったせいで、とか。
じゃあこれからどうすればいいかがはっきりしてる。
そうすれば人生はどんどん良くなりますよ。
不幸になる確率がどんどん減っていきます。
さっさと卒業しないと、死ぬまで自分以外の誰かを呪い続ける人生になってしまいますよ。
そうして積もり積もった悪意の負債が弾ける前に。
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あと、仕事やお店であまりにも丁寧な対応されると
感謝より先にああ、きっと普段から神様なお客様たちに揉まれすぎて、こうなってしまったかみたいな憐れみが先にでる。
この、時折見かける過剰な丁寧さは、架空の悪についた利子や悪意の電子がこの世に実体化した跡なのだろう。
直接観測することはできないが、その影響を確認することはできる。
おしまい。