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フジテレビがうらやましい
フジテレビがうらやましい。これは釣りではなく、新聞社に勤務する私の本心である。フジテレビは今まさに会社が大きく変わるチャンス、地殻変動が起きようとしているからだ。大株主のダルトンインベストメントが厳しい目を向けたことが、ひとつのきっかけとなっている。
変わりたくても変われない、老害おじいさんたちの吹き溜まりのような経営陣が、たいした仕事もしないのに、すさまじい高給をもらって居座ったまま。何年も売上高が右肩下がりであるにもかかわらず、打開策は見つかっていない。10年後のディザスター(悲惨な状況)は明白だ。
非上場、新聞社の歪み
新聞社が非上場であることが大きく関係していると思う。非上場であるがゆえ、ダルトンのようなアクティビストが株主として経営に参画してくることはない。「もっと効率的な金の使い方をしろ」「成長戦略を示せ」「事業に関係ない資産は売って株主還元しろ」などと言ってくる、いわゆるモノ言う株主がいないから、新聞社の経営陣は、いつまでも尻に火がつかないのである。
経営に厳しい目を注がれないから、報道機関にあるまじきモラルハザードもこれまで多発してきた。部数が伸びていたころはよかったが、近年は内部の空気は加速度的に澱んでいる。風通しの悪さや情実人事は横行し、紙面の質は日を追うごとに低下、部数減は止まらない。
メディアが上場すると、株主に言論を握られる可能性が生まれるから、創業家を中心に限られた株主が長い間会社を支配し続ける。その理屈はわかるし、実際どの新聞社も似たような構造だろう。それを否定するものではないが、非上場の会社では、倫理観の底が抜けたようなことがたびたび起こるのもまた事実である。
権力監視だ、ジャーナリズムだ、言論の独立だ、といえば聞こえは良いが、カネが入ってこなければ大上段に構えた新聞記者様の「ジャーナリズム」も機能しない。偉そうなことをいう前に、自分たちの将来にまずは目を向けたらどうか。このままいけば、紙の新聞が死ぬことなど、火を見るより明らかである。紙と心中する経営方針しか立てられないようでは、仮にアクティビストが株主だった場合、鼻で笑われるのがオチだ。
大した仕事せず、報酬19億円
京都新聞の創業家の大株主が、たいした仕事もしないのに30年以上にわたって計19億円もの報酬を会社から受け取っていたとして、5億円の返還を求められた裁判は、一審は会社側が勝訴したらしい。ここでも今話題の「第三者委員会」が活躍した。大株主に勤務実態がほとんどなかったと結論づけ、違法な支出だったと認定したことが大きな要因となったもようだ。
これが非上場の怖さである。フジテレビは親会社が上場していたから、ダルトンが株を買って、外の声を会社に届けることができた。新聞社にはまだその矛先が向いていないが、何かのきっかけでフジのようなことにならないとも限らない。実はひそかに、心の中でそうなることを願う自分がいるのもまた事実なのだが。
新聞のオールドメディアぶりも、なかなかすさまじいものがある。フジ騒動の最中、これは心にとどめておいてもらいたい。