海外転勤やることリスト①銀行口座・証券口座|ロンドン駐妻奮闘記
突如英国へ行くことになった夫婦の出国準備タスク体験談。査証取得成功により、ようやく本格的な準備に取り掛かり始めます。本記事では、長期海外滞在の際にはなるべく早く着手しておきたい、銀行口座・証券口座の処理に関して綴っていきます。個人的な体験談・反省になりますので、過度に参考にしすぎないようご注意ください。
いつやるべきなのか
銀行や証券会社によって時期はまちまちですが、個人的な所感としては、出国の1か月前くらいに開始することが理想のタイミングかと思います。
何をするべきなのか
大別して、目的は以下の2つ。
1.非居住者保持が問題ない状態にする(銀行口座、証券口座)
住所変更のイメージ。方針は各金融機関によりますが、非居住者の口座保持を認めない銀行もある模様。まあ、いつ日本に帰ってくるともわからない人の信用が低くなることも納得はできる。特に証券口座に関しては、一部サービスの利用は日本居住者に限られており、海外転勤がバレるとサービス停止になってしまう等、取り扱いが厳しいため、確実に実施しましょう。
2.海外からの操作を可能にする(銀行口座)
海外滞在中の収入が日本の銀行口座に振り込まれる場合、口座を海外から操作できるようにしておく必要があります。昨今、口座の操作はアプリが主流ですが、海外においてはそうしたアプリの動作が保証されていません。公式HPでの注意書きは大抵「海外ではアプリのダウンロードやアップデートができず、ご利用できない場合があります」というように、ワンチャンいけそうな感じで記載されていますが、本当に使用できません。振込を実施しようとすると、「サービスがご利用できない地域です」というエラーメッセージが表示されます。そのため、よりアナログなのかデジタルなのかよくわからない方法で出入金が行えるように、銀行側に申請する必要があります。
私個人が所有している口座は以下の通りでした。
三菱UFJ銀行
ゆうちょ銀行
SONY銀行
野村証券(つみたてNISA)
各社の海外移住者への方針はHPの「よくある質問」に記載されていますので、上記に記載がない場合でも、まずは公式HPの確認をお勧めします。
三菱UFJ銀行
メイン口座として使用していた三菱UFJ銀行。
当時はまだ自分が何を為すべきなのか理解していない若造だったため、窓口相談のために実店舗に赴きました。東京には数駅ごとに支店で溢れていますが、実家回りには全く支店が無く、電車を30分乗り駅近の支店へ。
どの銀行でも基本的に必要書類は大きく変わらないと思いますが、①届出印、②身分証明書、③海外渡航が証明できる文書、の3点セットは持参するようにしましょう。
窓口で相談すれば、詳細に説明してくれますが、大別すると、①三菱UFJダイレクト、②グローバルダイレクトサービス、③ワンタイムパスワードカードの発行の計3点に関して、決断を求められるはず。
三菱UFJダイレクト
インターネットバンキング即ち通帳やカード、ATMを利用しない、スマホ1台で完結する振込サービス。最近口座を開設した場合には最初から付属しているサービスのはず。出国3週間以上前の手続が推奨されている。インターネット上で手続が可能。
グローバルダイレクトサービス
以下、GDと呼ぶ。三菱UFJ銀行の日本円残高を、両替のうえで海外口座へ送金できるサービス。月額300円が掛かり、Wise等の両替サービスと比べ為替手数料が高いため利用しないことに決定。出国2週間以上前の来店が推奨。
ワンタイムパスワードカード
以下、OPカードと呼ぶ。インターネットバンキング利用時にメール・SMS送信等で実施する2段階認証を、アナログで実施するためのサービス。先述の通り、海外ではアプリ振込を利用できないため、このカード発行が必須。出国2週間以上前の手続が推奨されており、来店したとてその場で貰えるわけではなく後日自宅に郵送されてくるので、もう少し早く手続しても損はない。なお、インターネット上で手続は完了するため、GDを利用しない場合、来店の必要は無い。
ただし、アプリ振込と本カードは共存できないため、日本で振込をじゃんじゃん実施する予定がある場合には、カード申込だけ行い、起動・利用登録を直前に行うことがおすすめか。
外見は小型電卓、厚みが少しある。
反省点:夫、渡英1週間前に詰む
夫は推奨されている2週間を大幅に経過した1週間前に支店を訪問。「来週出国!?それはどうしようもないですね…」と言われ、ひとまずカード発行申込だけ実施。羽田空港から飛び立った当日の午後に、OPカードが実家に到着。
OPカードの利用開始に際しては、①マイページにログイン、②登録の電話番号への着信で起動コードを聞き取り、③OPカードにコードを入力、という手順が必要になります。OPカードと離れ離れになった夫、イギリスでの資金源を失い途方に暮れる8月の夏。海外旅行のために日本に残留していた私が、夫の実家を訪問、英国の夫と通話をしながら、カード利用登録を実施、一か月後の渡英の際にOPカードと共に海を渡りました。
大前提として、口座の手続は本人が実施すべきであり限りなく黒に近いグレーですし、たまたま夫婦で渡航のタイミングがずれていたこと、銀行に実家の固定電話番号を登録しておいたこと、そもそも実家に固定電話があったこと等、数々のラッキーを経て、どうにか切り抜けることができました。銀行の手続は早い方が良い。
ゆうちょ銀行
大学生から新卒社会人時代にアルバイトや給与の振込先として使用していたゆうちょ銀行。現在は、一部カードの引き落とし先に設定されているくらいの用途です。支店があらゆる場所にあるおかげで、実家に舞い戻った後でも徒歩5分足らずで窓口相談ができました。
ゆうちょ銀行の方針としては、HPと窓口で大きな差はなく、「基本的に解約」でした。一方で、日本に居住を続ける家族が使用する予定があることを説明したところ、「あまりお勧めはしていないのですが、その場合には、特段の手続無しで出国いただくことがよろしいかと思います」と丁寧に回答いただきました。カードや固定費の支払い、給与の振込先に登録していない場合には、解約してしまってもいいかもしれません。
三菱UFJと同様に、OPカードを発行することもできるようですが、発行手数料1,650円ということで、利用する気にはなりませんでした。
ソニー銀行
貯金用の口座でお金を動かす予定が無かったため、特段の手続は実施しませんでした。(本当は、連絡先登録等必要なようでした。)
外貨送金の利率が他行に比べてもよいため、出国前に余裕があれば、利用を検討してみてもいいかもしれません。あまり支店が存在しているイメージはありませんが、資料をインターネット上で請求のうえで、到着後記入、返送する流れのようです。OPカード(カード状ではなくトークンと呼称)の発行も必要となります。
野村證券(つみたてNISA口座)
海外居住者は、つみたてNISA等において新規売買をすることはできません。口座の維持に関しては、証券会社ごとの判断となっているようです。
法律上は非居住者のNISA口座保有は合法ですが各社の対応は任意。私の場合、将来の海外転勤の可能性を見据えて野村證券を利用していましたが、もし対応していない証券会社だったら、その怠慢に腹を立てていたに違いありません。
その一方で、現在非対応の証券会社も対応を変更する方針との報道がなされているので、今後、より海外転勤者に優しいサービスへと改良されていくかもしれません。ただ、既に解約を余儀なくされた人にとっては、もっと早くやってよ案件ではありますね…。
また、海外生活中株式買付してもバレないのでは?という淡い期待もありますが、住民票と紐づいている関係でバレる可能性が高いようです。危ない橋は渡らないに限ります。1年以上海外で生活する場合には、忘れずに手続をしましょう。
野村證券に関しては、以下のページに記載がありました。海外居住期間は、一般口座に金融資産を移し、帰国後に所定の手続を踏むことで、再度特定口座へと帰ってくるようです。NISA制度の利点を潰すことなくサービスを継続してくれるようです。
ネット支店だったため、電話で連絡。非居住期間、渡航場所等の詳細を伝えたところ、「必要な書類を速達で送付するため、記入のうえ返送してください」とのこと。出国1週間前に連絡する不届者にもご丁寧に対応いただきました。ご迷惑おかけしてスイマセン、、、💦
数日で書類が到着し、保有銘柄管理会社それぞれ宛てに、海外移住先、日本での代理連絡者の情報を登録する書類を記入、捺印のうえ、返送となりました。
おわりに
海外移住という初めての経験のなかで、「アレやらなきゃ!コレやらなきゃ!」と次々にタスクが出てくるので渡航直前は大忙しです。銀行口座に関しては移住先の資金源、証券口座に関してはサービス停止となりかねない場合があり、それぞれ最重要案件。なるべく早く行動を開始したいものですね。