ただいま創作中。

 こりもせず小説を書いています。

 来年の冬コミで二次創作小説同人誌(たぶん18禁)を出すつもりなのでその予習と思っているのですが、まあこれが進まない。元旦あたりから書き始めて、いまようやく30000文字くらい。

 あるいは十分進んでいるじゃんと思われるかもしれませんが、ぼくはほんらい1時間で4000文字とか5000文字を書く人なので、この速度は「遅々として進まない」と呼ぶべきなのです。

 それこそこういうブログに書くような雑文ならいくらでも書けるわけだけれど、小説となるとやっぱり進行速度が半分になる感じ。

 「初稿は完璧にならないものと割り切って書くべき」という意見もあるし、それはじっさいその通りだと思うけれど、そうわかっていてもやはり作品の出来が気になり、ふり返りふり返り書いているから進まないのですね。

 この作品、いままで愚にもつかないしろものをいろいろ書いてきたぼくとしては初めてのシリーズものになる予定で、完結まで最短でも60万文字くらいは書かないと終わらないはずです。なので、たぶん半年くらいはかかるんじゃないかなあ。

 いや、もう、ほんとにそんなに続けられるかどうかまったくわからないし、良くある構想だけ雄大な凡作としてエタるのではないかとこわいのですが、でも、完結させるためには一文字一文字書くしかないんだよなあ。

 執筆とは、どんな速筆の天才作家でも一文字ずつしか進められない行為であるわけで、いやほんとみんなよくやるよ、伝説の神作家のセンセイたち偉すぎるよと思わずにはいられません。

 というか、べつに神作家じゃなくても、「なろう」とかで100万文字とかの長編を書いている人たち、凄すぎる。べつにだれかに高く評価されたりおカネになったりするわけでもないのに100万文字を書ける人は、もうクリエイターとして凄いよ、本物だよ、とぼくは思う。

 それは自分では何ひとつ生み出そうとせずに「なろう小説とか(笑)」みたいに上から目線で笑殺する態度にくらべて、何と尊いのでしょう。素晴らしいですよね。

 自分で小説を書きはじめてつくづくわかったのは、創作という行為はほんとうにわりに合わないということです。

 まあ、それこそどこぞの天才作家だったらすらすらといくらでも傑作を生みだせるかもしれないけれど、凡人以下のぼくではそうはいかない。とにかく、ものすごくものすごく労力がかかるわりに、ほんとうにろくでもないゴミのようなものしかできないのです。

 世の中には、客観的な出来不出来とはべつに自分の作品を愛することができる人もいるけれど、ぼくはそうではないので、「どうしてこんなに労力をかけているのにこの程度の駄作しかできあがらないのか」とうんざりさせられるばかり。

 書けば書くほどに自分の無能がわかり、最愛の神作家たちがいかに神であったか思い知らされるばかり。書きつづけるうち、「才能がない」とはどういうことなのかきわめて具体的にわかる感じがしました。

 書きたい理想の小説のイメージはぼんやりとあるのだけれど、それを具体的なかたちに落とすことがまったくできないんですよ。で、頑張っても頑張っても成長しない。しかも自分で自分が書くものが面白くないとわかっているので、たとえひとに褒めてもらってもぜんぜん嬉しくない。ああ無情……。

 まあ、それでもなお、断続的に書きつづけるわけだけれど、ほんとうにほんとうにつらかった。

 書いては打ちのめされて、打ちのめされてはどうにか立ち上がって書くことのくり返し。それでも生まれてくる作品は生ゴミの日に出そうかな、粗大ゴミの日じゃないとダメかな」みたいなクオリティであるわけです。

 もう、どうしようかと思いましたね。べつにだれからも期待されていないわけで、書くことをやめても何も問題がないのだけれど、困ったことに理想の小説のイメージは自分のなかで(自分のなかだけで)天上の星のように輝いている。

 非常にあいまいで捉えどころがないイメージではあるものの、やっぱりそれはひとつの自分にとっての理想ではあるわけです。だから、どうしてもそれをこの世に生み出したいという気持ちがある。

 手をのばしても、手をのばしても、その星はあまりにも遠く、まったく近づいた気がしないのですが、それでもやっぱり少しでもそこへ近づきたい! 自分にとってもっとも快い物語を自分で書けるようになって読みたい! その呪縛のような想いを捨てられませんでした。

 そうして、散々にへこたれ、泣き言をいいながらも書きつづけること幾星霜。きづくと、ちょっとずつ上手くなっている気がしはじめました。

 それも、文章とか構成といったわかりやすいところだけではなく、自分のなかのどうしようもなくふわっとしたあいまいなイメージをうまく捕まえて物語に落とし込む能力みたいなものまで、少しは向上しているように感じられるようになってきたのですね。

 これは、嬉しい。めちゃくちゃ嬉しい。もちろん、そう思っているのは自分だけで、ひとから見たらあいかわらずゴミ作品を生産しているだけ、という可能性もあるわけなのだけれど、おそらくそうじゃなく、客観的に見たときも技術が成長しているのではないかと。

 いや、もう、ここまで来るまで何十年かかっているんだ! 才能がないってことはつくづくつらいなあと思うのですが、まあそれはそう生まれたのだからしかたない。

 スヌーピーではないけれど、人間、できることは配られたカードで何とか勝利をめざすことしかないのです。それが、どんなに遠い、到達不可能とも思えるほど高いゴールであるとしても。

 そう――めざす「そこ」へたどり着くためには、とにかく一日千本の感謝の正拳突きみたいな地味な地味な地味な努力がどうしても必要になる。でも、ずっとずっとずっと書いていると、やっぱりぼくみたいな才能のかけらもないようなど凡人であっても、少しは上手くなってくるわけですよ。

 ほんとうに少しずつ少しずつ、薄皮をかさねるようにして成長していっているんですね。そのことがここに来て、ようやく実感できるようになってきました。

 で、書くことが少しは楽しくなってきた。初めは「地獄そのもの」だった自分の作品が「何とか我慢できなくはない」になり、「まあ少しは読めなくはないかもね」になり、いま、「ひょっとして少しは面白いか???」にまで達しています。

 ありがたいことです。ここまで至るまで、ほんとうに長かった。この先も長いのだろうけれど、いつかは自作に満足できる日が来るかなあ。まあ、頑張る。それしかできないから。

 その小説はとりあえず全六部のなかの第二部まで完成したらブラッシュアップして公開するつもりなので、おそらく今月中にはお目にかけることができるはずです(15万文字くらいになるのではないかと)。

 もし気になる方がいらっしゃいましたら良ければ読んでみてください。よろしくお願いします。では。

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