物語とはひとつのディスカッションである。
以前にも書いた通り、『ストーリーの解剖学』という本を読んでいるのですが、これが非常に面白いのです。
サブタイトルは「ハリウッドNo.1スクリプトドクターの脚本教室」とあって、まあ、そういう本なのだけれど、物語一般を作ろうとする人に役に立つと思います。
ハリウッドの脚本というと、神話学とかメタファーを凝らすことに重点を置いたものもありますが、この本の内容は、640ページもあるにもかかわらず、人間ドラマの描き方に絞られています。
非常に乱暴に内容を要約してしまうなら、物語とは主人公の変化を描くものである、どう変化させるかがドラマツルギーである、ということが書かれているといって良いでしょう。
もちろん、その変化にはポジティヴな変化(道徳的成長)もあれば、ネガティヴな変化(道徳的堕落)もありえて、たとえば『スター・ウォーズ』のルーク・スカイウォーカーの物語は前者、アナキン・スカイウォーカーの物語は後者であるわけですが、とにかく変化しないものは物語ではない。
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