ボードゲームにおけるリスクとリターン
はじめまして。
株式会社gazでUIデザイナーをやっています。かいえだです。
肩書きはUIデザイナーですが、UIに限らず弊社内でボードゲームを制作したり、ゲーミフィケーションを取り入れたワークショップなども業務として行っています。
そんな中でも、特に重要な要素となっているリスクとリターンについてお話しできればと思います。
リスクとリターンとは
ここで話すリスクとは回避できるかもしれない迫り来る危機や必要以上にベットすること、すなわちイヤなこと。
リターンとはリスクを回避した場合に得られる報酬、すなわち嬉しくてハッピーなこととします。
ボードゲームのみならず、ゲーム全般に上記のリスクとリターンの塩梅をうまく調整することでゲームの深みが増す場合があります。
桜井さんの動画がめちゃんこわかりやすい説明しているのでぜひ観てください。
実際のボードゲームだと、どないなん?
例えば、カタンだと街道を5本以上建設すると最長交易路(2ポイント)を獲得できます。
街道を必要以上に伸ばすことは
資源を使用する(木材とレンガを1つずつ)
もしかしたら他のプレイヤーが街道を自分以上に伸ばして最長交易路を塗り替えられるかもしれない
などのリスクを伴います。
上記のリスクを「2ポイント獲得できる」(カタンでは10ポイント獲得することが勝利条件)というリターンが支えています。
ゲームの難易度によってバランスは異なる
カタンのようなゲームルールが複雑なものと人生ゲームのようなシンプルかつ明快なゲームではリスクとリターンの大きさが異なります。
カタンでは先述の通り、何種類かある資源を使用(リスクを伴う行為)することで
最長交易路などのポイントを獲得したり
はたまた伸ばした街道の先に拠点を建設することができたり
他プレイヤーの侵攻を妨害できる
といった様々なリターンが望めます。
カタンの例を人生ゲームで言い換えるならば自動車保険や火災保険かもしれません。あるマスで事故ったり、家が火事で燃え尽きたりした場合に保険に入っていることで損失を回避できます。
ここでのリターンは
損失が回避できる
ゴールした時に保険が手元にあれば満期で一定の金額を獲得できる
のおそらく2点が挙げられます。
このように、ゲームに運の要素か戦略の要素が関わってくるかでリスクとリターンのバランスは異なります。
Push-Your-Luck(プッシュ・ユア・ラック)とEカード
最近買った本、ゲームメカニクス大全内に書かれていたメカニクスとして以下のようなものがあります。
ここではメカニクスとして紹介されていますが、概念としては今回話している内容にかなり近いものだと思っています。
そのメカニクスが大いに表現されているEカード。カイジを読んだことがある人ならば知っていると思います。
『市民』は『皇帝』に勝てないけれど、『奴隷』は『皇帝』に勝利するカードゲームです。
Eカードのゲームルールはここでは置いておいて、Eカードの勝負を持ちかけられたシチュエーションがリスクとリターンを象徴しています。
確かに1億もらえるチャンスがあるなら目か耳ぐらいの代償は払う必要がありますね。ゲームの盛り上がり的にも『ここで勝てば1億・・・!負ければ視力を失う・・・・!』の臨場感はハラハラします。
つまり、1億ほどの大金欲しければ相応のリスクを払えよ・・・!ということです。
リスク=リターンになるように
ゲーム内でリスクとリターンを導入する(ほとんどのゲームで導入されいている)場合には、リスクとリターンは等価交換であることが必要です。
手元にある資源を活用すれば数ポイント獲得できるとか
いくらかお金を払って火災保険に入っていれば家が燃えても大丈夫(燃えた分のカムバックがある)とか
1億円獲得するチャンスを得るために目か耳を失う覚悟を持つとか
リスクの価値とリターンの価値が同等でないとワクワク感の醸成は難しいですからね。
おしまい
おしまい
(この記事はgaz designers Advent Calendar 2022の16日目の記事です!)
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