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『コーヒーで読み解くSDGs』を読んで

週に1,2本投稿できれば大成功という目標の低さで今後も継続していく。
今回は『コーヒーで読み解くSDGs』を読んで考えたことを書き残していきたいと思う。

■なぜこの本を読んだのか

・SDGsの基本的な知識を付けるため
・コーヒーが好きだから
大きくこの2つの理由から読み始めた。
環境問題やSDGsについて学べそう、かつ易しそうな内容の本はないかと、書店の中は歩きながら探していたところ発見した。ほぼジャケ買いだ。

■本書の紹介

前回の投稿を改めて読み返していると、どんな本かも伝えず、いきなり引用や解釈を書き出していたので、今回からは簡単な本の紹介から始める。

本書は、SDGsで掲げられている17つのゴールそれぞれに対して、大まかに以下の3つの内容に触れながら、世界のコーヒー業界について紹介している。
1. 各ゴールに関連するコーヒー業界の実態
2. どのような問題が存在したのか or 存在するのか
3. どのように改善してきたのか or 改善する必要があるのか

FACTFULLNESSを読まれた方はなんとなく感覚が分かるかもしれないが、コーヒー業界は「まだまだ問題が多く悪い状況ではあるが、少しずつ改善されてきている」ということが各ゴールに関連して説明されている。

そして、コーヒーに関する専門的な説明や、現在流通しているコーヒーの歴史的な背景なども所々紹介してくれているので、シンプルにコーヒーの読み物としても面白い。

・SDGsに関心はあり、世界で具体的にどんなことが行われているのか知りたい
・ただただコーヒーが好き
みたいな方にはオススメの本だと思うので、興味のある方は是非読んでみてほしい。割とサラサラ読める。

■印象に残ったこと

注)以下は本文の引用だけではなく、自分の解釈を含んだ記載である。

「開発」と「環境問題」にどう折り合いをつけるのか、この課題に対する答えとして生まれた妥協の産物が「持続可能な開発」という概念である。

「持続可能」という言葉は、以下の2点を満たすことを意味する。
・今の世代のニーズを満たすこと
・将来世代が今の世代と少なくとも同様のレベルの暮らしができること

MDGsからSDGsへ。
MDGsは、主に発展途上国(←表現が適切か自信はない)を対象にした目標であった。SDGsでは、先進国も含めた全世界で取り組むべき課題として策定されている。
この背景には、経済成長を追求するこれまでの先進国のやり方が、環境を破壊し、所得格差を広げてさらに深刻な貧困問題を作った、ということがある。

目の前のコーヒが、カップテスト(品質鑑定)の結果が申し分ないとしても、それが途上国の生産者の貧困の上に成り立っているとしたら、それは本当に「美味しい」ものと言えるのだろうか?

コーヒーの生産者の取り分は、コーヒー1杯の価格の1%程度である(※1)。
この問題は、消費者が質の悪いコーヒーを飲まされているというだけでなく、低品質・低価格のコーヒー豆に対する需要が高まるとそれに応じて生産者も低品質・低価格のものを大量に作ろうとする、という悪循環を生む。
そして品質の悪いものは、砂糖やクリームなどの添加物を加えて味を誤魔化して消費され、必ずしも健康に良いとは言えない。

京都大学の研究によると、自動販売機で販売されているスチール缶の缶コーヒーは、コーヒーメーカーで淹れるコーヒーと比べると、抽出量1mlあたりのエネルギー使用量は4倍にのぼるとのこと。

日本のプラスチック循環利用協会は、「日本の廃プラスチックの有効利用率は2018年では84%と高い水準」であるとしているが、その有効利用率の半分以上は、廃棄物を焼却して熱エネルギーを得る「サーマルリサイクル」が占めている。
これに関しては、EUの基準に従うなら、日本はリサイクル後進国であると言える(※2)。
(※1) 補足
日本の飲食店でのコーヒーの原価率は、3%以下という暗黙の了解があるらしい。
一般的に飲食店の飲料は原価率が高いと言われており、アルコールは比較的高いく、最も低いとされるサワー系でも10-20%、ビールは30%、ワインは25-40%。ソフトドリンクに関しては本書に記載はなかったため私がネットで適当に調べた数値ではあるが、ソフトドリンクは全体的に低く、5-10%程度だと思われる。
これを踏まえても、コーヒーの原価率は低く抑えられていると思われる。

(※2) 補足
廃棄物に関して、環境省では、以下の3点が記載されている。
・リデュース(reduce) → 物を大切に使い、ゴミを減らす
・リユース(reuse) → 使える物は、繰り返し使う
・リサイクル(recycle) → ゴミを資源として再び利用する
上記の3点に明確な優先順位は付けられていない。

その一方で、EUにおいては廃棄物に関して以下の5段階で明確に優先順位が付けられている。(1から5の順に優先度が高い)
1. Prevention → 廃棄物を出さない
2. Reuse → 元と同じ目的で利用すること
3. Recycling → 廃棄物を原材料として新しい製品を作ること
4. Recovery → 廃棄物を他の有用な目的に用いること
5. Disposal → 埋め立てなどの最も持続可能でない方法
この基準に則ると、日本の廃棄物処理で大部分を占めるサーマルリサイクルは4にあたる。だとすると、日本は廃棄物処理の最先端を走っているとは言えないのではないだろうか。

■今後に活かすこと

・コーヒーを外で飲むような場合は、できる限り自分の家で淹れてタンブラーに入れて持ち歩く
・この消費活動は果たして持続可能なのか、と一瞬考えてみる
・缶コーヒーは飲まない

■余談

コーヒーの品種は奥が深そうで面白そうなので、今後調べてまとめてみようと思う。また、コーヒーの科学的な効能や、そもそものコーヒーの起源や歴史なども関心が湧いた。

おしまい。

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