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『孫氏の兵法』を読んで

また投稿まで少し期間が空いてしまった。
今回は『孫氏の兵法』を読んで、自分の解釈をまとめようと思う。

ビジネスでも部活でも家族でもどんな場面でも、人間関係を通して何かを実現しようとしている人は一度読んでみて損はないと思う。
普段のこの部分で使えそう、という考え方がいくつも書かれていると感じると思う。

■なぜこの本を読んだのか

たまたま「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という言葉を目にして、自分は愚者だと思い歴史を学ぼうと思った。最近は歴史を学べそうな本をペラペラ読んでいる。
以前から複数の知人から本書について勧められていたが、何故か乗り気にならず読まずにいた。このタイミングなので、読むことにしてみた。

■本書の紹介

古典学者(東洋思想研究家)でありながら、ビジネスパーソンとしてコンサルティングの経験もある著者の田口氏が、孫氏の兵法の内容を、現代の生活でも活かせるように現代語訳してくれた内容になっている。

本書の文章は非常に平易で、スラスラ読める。また、細かく章ごとに分けられているため、隙間時間にも分割して読めるのでオススメだ。

■本書のまとめ

本書の内容をまとめる。私の解釈でかなり要素を絞ってまとめているので、気になる方は是非自分でも読んでいただけると幸いである。

下記のまとめで頻繁に用いる言葉の意味を先に記載しておく。
戦い:各々が直面している対人関係(商談、営業、試合、告白など)
勝つ:上記の戦い(対人関係)で、自分の求めている状態になること
を意味してまとめている。

さて、まとめに入る。
本書では、戦わずして勝つ、というスタンスを常に心がけろと説いている。
また、戦うまでのプロセスとして、以下の2つがあると説いている。
1. 徹底的に調べる
2. 速攻で勝つ

それでは、スタンスとプロセスのそれぞれの要素についてまとめていく。

基本スタンス:戦わずして勝つ

まず戦わずして勝つというスタンスには、「無駄に戦わない」という意思が強く現れている。

そもそも戦い自体に目的があることはほとんどない。相手が求めていることは、自分に戦いで勝つことではなく、勝ったことで得られる別の何かであることがほとんどだったりする。もちろん自分もそうだ。そして、相手の得たいものと自分の得たいものが異なることがある。
戦わずに勝つ例で言うと、何か採決を取るためタイミングで、誰かと意見がぶつかったとしよう。自分は採決の最高の成果を出すことが目的で、仮に相手は自分を論破して別の上司に評価されることが目的だった時、この場面の議論(戦い)に真っ向勝負する意味はほとんどない。そんな時は、潔く相手の論理の秀逸性を認め、上司に対しても相手の評価を上げるように仕向け、相手が落ち着いた折を見て自分の意見を通しながら採決を取る、みたいなことである。
つまり、無思考に戦うことは不毛であるということだ。相手の求める勝ちを見極めて相手の求める勝ちを先に譲ろう。自分の求める勝ちを得られるように根回しするのが賢明で、相手が自分に勝ちを譲りたくなるような行動をするのが良い。

また、そもそも勝てない戦いだと判断したら絶対に戦うな、と強調している。勝てない戦いからは、早く逃げることを強く推奨している。
なんとなくイメージはできると思うが、勝とうが負けようが戦いを通して失うもの(体力、時間、金、人間関係など)は非常に大きい。勝てないと分かっているなら、自分の資本を無駄に失う必要はない。さらに、負けてしまうと自信や周りからの信頼も下がることがあるため、不用意に負けることは決してしてはならない

プロセス1:徹底的に調べる

プロセスの1つ目についてまとめる。
徹底的に調べる内容としては、以下の3つである。
・自分
・相手
・環境

自分と相手を調べる時に注意をしたいのは、過小評価も過大評価もしないことだ。とにかく正しく分析せよと説いている。正確でないと正しい戦略を立てることができないからだ。
自分の分析については、周りからのフィードバックももらいながら、より正しく捉えることを心がける。

そして、環境についても言及していることがポイントになる。
単純に自分と相手を比較した時に自分が勝てると判断できたとしても、環境が自分にとって不利ならばその戦いからは逃げろと説いている。環境でも自分が有利だと判断した時に、戦いを始める。
例えば、自分の中で1番英語得意という人が、もし外資系企業や通訳の仕事などの英語を主軸にした仕事をした場合、英語が得意な人の中には上には上がいるため、その環境で英語で勝負するのは厳しいものになる。しかし、その人が2番目に得意なものがファッションがだとすると、ファッション業界で英語を活かして仕事をした場合、その人の優位性が保てるイメージができるのではないだろうか。
その環境で、自分の得意なものが最大限発揮できるかどうかしっかり吟味せよと説いている。

これらの3つの要素を徹底的に調べた上で、相手よりも有利で、かつ環境も自分にとって有利な場合のみ、戦いを挑む。それ以外は戦わない。
絶対に勝てると分かるまでは、決して相手に宣戦布告をしないこと。
とにかく焦らず、急がば回れと説いてくれている。

プロセス2:速攻で勝つ

最後に、プロセスの2つ目についてまとめる。
戦いで失うことはものはとても大きく、勝てないならば戦いという行動自体が無駄である。そして、戦いの時間が長引けば長引くほど、失っていくものも増えていく。
戦いで時間が経て立つほど状況も変わるため、その変化した状況にも対応して戦わないといけない。確実に勝つのではあれば、できるだけ自分がコントロールできる、想定できる部分を多くする必要があるため、短い時間で仕留めることが重要になる。要するに、ここぞとばかりに力を発揮できる勢いのある人が、結局一番強い

また孫氏は、常に相手からは優位な立場を取れるように努めろと説いている。単に肩書きや実績でマウントを取れという意味ではなく、コミュケーションを取る上で自分の意見を通しやすくするためだ。具体的に言うと、遅刻をしない、約束を守る、役割を全うする、などである。これらの人間関係での基本的なことを気をつけながら、戦いで勝とう。

ただし、相手を完膚なきまでに叩き潰すことは絶対にするなと説いている。
戦い終わった後、相手と協力して別の状況で自分にとって優位な立場を取れることもある。その可能性を自分で無くす必要はない。戦いに勝てばそれで良いのである。
完膚なきまでに叩き潰された側から復讐をされないためも、配慮しながら最小限の勝ちを目指そう

余談

完訳版を読んだため、かなり意訳されているのだろうと想像している。そして自分の解釈でかなり簡潔にまとめてしまった。
原文も軽く読んでみたが、まだ腰を据えて読めていないので、今後ゆっくり時間をかけながらさらに理解を深めていければと思う。

おしまい。

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