ブラッシュアップ993
ニューバランス993を買った。
抽選販売で、当選すると代引きで購入できる。
価格は38,500円。さすがに高い。
でも、コイツでもう一回やり直したい気持ちがまさったので致し方ない。
初代993はタダでもらった。
私がはじめて993を手に入れたのは、ちょうど10年前、20代でお金も時間もないころだった。当時の会社の先輩が、ある日突然くれたのだ。
「俺にはちょっとは履きこなせなかったから、おまえにやるよ」と。
受け取ったが、別に993がほしいわけでもなかった。
ニューバランス993を初めて見たのは、たしか2009年ごろ。
池袋のBEAMSでスタッフの方が履いているのを見かけたときだった。
全然良さがわからなくて、オシャレは自分とは縁遠いな、と感じたと記憶している。
それくらい魅力を感じていなかったわけだが、「まあタダだし履いてみるか」と履いてみたらとても履き心地がよくて重宝した。
雑に履いていたらヒールが破けたが、修理をして履き潰した。
スニーカーのタイムリープ
10年前(2014年)のスニーカーのトレンドは私にとって今とすこし似ている。
ゼロ年代前半にNIKEのDUNKが爆発的に流行って落ち着き、シューズはNIKE一強から分散していった。
私は2004年にはじめて買ったDUNKのグランジパックがくたびれたのち、PUMA スウェード、オニツカタイガー メキシコ66といったいわゆるローテクスニーカー、そしてクラークス、サンダース、といった非スニーカーに変遷していたころだった。
一昨年、17年ぶりにDUNKを、そして昨年も15年ぶりにAJ7を手に入れ、おまけにサンダースも10年ぶりに買った私は、スニーカー的には2014年と同じ感覚になっている。
ちかごろ「そういえばDUNKに飽きたころはadidasのSL72がめちゃカッコ良く見えたよな」なんて思っていたら本当に復活して、もしかしてデジャブ? いや、タイムリープ? と頬をつねった。(比喩)
トレンドはマジで繰り返すらしい。
ブラッシュアップ993
スニーカーのトレンドが繰り返すという意味でタイムリープ的な錯覚をしているわけだが、あの頃と今は色々違う。
当時人気だったCHAPTERはAtmosになって、二次流通はSKIT的なショップからスニダン的なマーケットプレイスにシフトし、買う場所は変わった。
携帯はスマホになったし、私はリモートワークで会社にも行かなくなった。
あと、深夜まで働くこともなくなった。
(ジョブズありがとう! インターネット万歳!)
初代993を履いていたのはおおよそ3年。
繰り返しになるがお金も時間もなかった。しかしその間にテレビのADからディレクターになって結婚して子どもができた。なんならはじめて転職もした。
ライフイベントを詰め込みまくっていたのである。
仕事も当時は雑務ばかりで全然楽しくないと思っていたが、今思えばできることが指数関数的に増えていって、とても楽しかったしやりがいがある時期だった。
そう、あのころに戻りたい気持ちがあるのである。
一方で、993を履いていたあのころは楽しかった反面、後悔や失敗もたくさんある。
20代から30代になった私であれば、あのころできなかったことをしっかりクリアしていい感じにブラッシュアップできるのではないだろうか。
シン・993生活はじめ
初代993を譲ってくれた先輩はどういう気持でくれたのだろうか、というのを買ってからずっと考えている。
本当にいらなかったのかもしれないが、かわいがってくれていたのかもしれないし、期待してくれていたのかもしれない。(当時は不遜だったので何も考えなかった)
ちょうどそのときの先輩と同じくらいの年齢になった。だから(?)シン・993は自分で買った。
当然ながら、シン・993の履き心地がいくらよくても感謝を伝える相手はいない。
ブラッシュアップの道のりは長いそうだ。