誰でも貧困になる可能性があると知った
『希望が死んだ夜に』という小説を読んだ。
貧しい女子中学生が同じ学校の女子中学生を殺したが、その動機は不明で、その謎を解き明かしていく物語だ。
意外だった父子家庭の貧困
母子家庭、父子家庭ともに貧困に陥る可能性は往々にしてあるようだ。
シングルマザーがお金に困るというのは、しばしば聞く。
一方でシングルファザーが貧困に陥る現状もあるのだ。
夫、妻、子どもの家庭で、夫は稼ぎに出るサラリーマン。
妻は子どもの面倒をみる主婦。
妻がなんらかの理由でいなくなった。
離婚、事故、病気...
そうなったとき、父子家庭となった父は子どもの面倒を以前よりみなくてはならない。(そもそも子どもの面倒をみるのは、妻の仕事という考えがステレオタイプではあるが)
すると父は会社で働く時間を制限しなくてはならない。(子どもの送り迎え、家事、子どもと触れ合う時間を増やすため...)
会社内でリストラをしなければならない場合、勤務時間に融通が利かない人材が先にリストにあがる。(これもステレオタイプという捉え方もあるが)
すると高い給与を得ていたのも過去の話。
たちまち無職になり、時間に制約がある人材は、なかなか転職できない、契約社員になるしかない。
こうしてシングルファザーとはいえ、あっという間に貧困に陥ってしまうのだ。
生活保護への攻撃
生活保護に頼ることができない。
世間の生活保護への風当たりは強い。
「働かずしてお金をもらうなんて恥ずかしくないのか」
「生活保護をもらっているのに趣味に時間を費やす余裕なんてあるの?」
世間は本当に人の気持ちを考えてみることをしない。思考停止。
健康的で文化的な最低限度の生活を営むための制度だぞ、趣味なんてしている場合かなどよく言えるものだ。そんなの人間ではないではないか。
『希望が死んだ夜に』はミステリーとして非常に面白いので是非読んで欲しい。そして社会派ミステリーと言われるゆえの、国内の貧困という社会問題についても考えてみていただきたい。