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みんなの日本語1「介護編」第9課

授業の導入や会話練習の参考になれば幸いです。

・~ですから・・・

場面1 あついものを出すとき

【補足】朝食、お茶、昼食、お茶、夕食の計5回、飲み物を提供します。1回180ml、1日最低でも900ml水分摂取となるようご提供します。お茶やお水を残しても、汁物を摂取していればいいです。水分補給やそのほかに、ゼリーをお出ししたり、何らかの方法で摂取できるようにしています。
温かい飲み物や汁物、料理などを出すとき必ず一言添えてからお出しします。熱いものやこぼれやすいものは利用者様の症状によって置く場所を(手前にはおかない等)変更しています。
 調理方法が異なるのか勤務した特養では汁物が冷めるとトロミがなくなりサラサラの汁物になっていました。有料ホームでは変化がなかったのですが・・・。片栗粉なのか温度の問題なのかそういうものなのか・・・。
 そんなわけで特養の頃はトロミ汁物を早めに飲んでいただくよう促していました(急がせるわけではありません)。食事介助でも前半で汁物を終わらせていました。サラサラになると誤嚥してむせてしまい、危険なので。

【参考】以前、日本語教師から「お熱い、熱い、はどちらを使っていますか。」と質問がありました。私は「お熱い」を使っていますが、これは日本語教師ならきっと「お熱いですからきをつけてください」のテキスト使用頻度が高いので使ってしまうのかなと思います。ただ注意してきいていると、「あついから気をつけて」「あついよ」という人と「おあついですから気をつけてくださいね」という人は半々ぐらいでしょうか。どちらもいます。距離感でしょうかね~。
 ちなみに「ふーふーしてから飲んでね」というような子ども扱いするオノマトペは聞いたことがありません。「冷ましてから/冷めたら飲んでね」はよくあります。
 子ども扱いしているように聞こえるオノマトペの中でもパ行については音がとおりやすいので使うことがよくあります。

場面2 冷たいものを出すとき

【補足】いつも熱いものをご提供するというわけではありません。入浴後の水分、夏季のデイサービスでしたら到着時の水分、だいたい冷たいものをご提供します(勤務先ではそうでした)。

【授業のご提案】「お熱いですから」を練習しすぎて、飲み物を提供する際になんでもかんでも「お熱いですから」と言ってしまわないように、念のため会話練習の際は冷たい飲み物のときの練習も・・・。
 「ジューズお持ちしました」「冷たいお茶ですよ」という感じで。
 「気をつけて」は特に・・・。

【補足】トロミの飲み物はいつもお茶、というわけではありません。温かい飲み物ですとコーヒーや紅茶、冷たい飲み物ですと炭酸飲料やスポーツドリンクなどにも入れてご提供します。当時の話ですが勤務先(特養)では炭酸飲料はご家族がご用意されていました。1日の水分摂取がお茶だけだとなかなか召し上がらず少ない量になってしまうこともあり、そういった方はご家族が味の異なるものをご用意してくれていました。交互にお出しすると飲んでくれますので、大変助かりました。

【授業のご提案】
 日本語会話テキストに、お茶を飲んだ後「すっきりしましたか」と声をかける練習を見かけますが、とろみの入った飲み物はすっきりしませんので、使う状況を理解して練習させてください。

場面3 お散歩を見送るとき

【補足】
 「から」はよく使います。お散歩へ行く人を見送る場面、そのほか館内でもリハビリや入浴、居室から移動の際「少し肌寒いですから、カーディガンきていったら?」などの声掛けもあります。「です」を略すこともあります。私は勤務した当初、テキストのように「~ですから」という使われ方は本当にあるのかな、と疑っておりました。ですが実際の現場ではテキストどおりの会話も多く、「ですから」を初めてきいたときはかなり印象的でした。

【補足】ただ「座ってください」と言っても、なかなか聞き入れてくれなかったりそのまま移動しようとしたりするので、必ず理由を言っていました。
介:あぶないですから、座りましょうか。
利:あらそう?私歩けるのよ。
介:お元気なのは嬉しいんですが、転んで頭打ったら大変ですから

実際のところ「立っちゃダメ!」「転んだらどうするの!?」「危ないでしょ!」というように少し子どもに言い聞かせるような言い方をする職員さんもいます。介護職の学んだ環境やそもそもの性格によって、こういう表現しかできない方もわりといます。研修ではスピーチロックや子ども扱いはNGと教わるんですが・・・。


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