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まちのえき 歩いて行ける拠点づくり(小紫雅史)

1 タイトル
まちのえき 歩いて行ける拠点づくり(小紫雅史)

2 選んだ理由
友人より、オンラインでのABD(アクティブブックダイアローグ:各自分担してサマリーを作って対話を行う読書会)のお誘いがあったため。

ABDの解説

3 簡単な感想、印象
 ABDに参加するときは、その本を読んでから参加するのですが、今回は実は読む暇がなく、最低限自分の分担分だけを読みました。が、さすがABD、読まなくても、他の方のサマリーでしっかり内容を把握することができました。
 まちのえき、というのは、車が運転できなくても、歩いて行ける場所(自治会館や公園)に、健康づくりや買い物の拠点をつくる、という生駒市の施策です。
 福祉関係だと、高齢者の「サロン」づくりや、子ども食堂などは他自治体でも見られますが、生駒市は、それに限らず、買い物や、図書館や、その他もろもろにどんどん広げていく、しかも、行政主体ではなく、行政と住民の協働によるもの、というところがポイントです。さらに、車を使わない、近くで経済を回すというところから「脱炭素」にも貢献する、というのが面白い視点だと思いました。
 さらに、ABDでは読まなかった後半では、実際の「まちのえき」の立ち上げ方について大変具体的に提示してありました。特に、取り組みやすい事業3つ(まちかど図書館、みんなでスポーツ観戦、まちの総菜屋)は、ほんと、提案してすぐできそうなものでした。
 また、よくある、自治会長の負担が高くなる&すぐ交代する問題や、行政がなんでもやってあげる問題、さらには、お金を稼ぐ方法などまで言及しているのが、現実味があってよい点だと思いました。(詳しくは下のサマリーにて)

 この本の印象として、ちょっと理想のことを書いているかも?と思う部分もないわけではないのですが、一方で、一貫して、前向きで、こんなに楽しいことがたくさんあるよ!というメッセージのシャワーを浴びることになり、読後感として、とてもわくわくした気持ちになれました。  
 この感じはどこかで?と思ったら、かつて、元掛川市長の榛村純一さんの生涯学習によるまちづくりの本を読んだ時と似ていました。こんな、わくわくするまちづくり、また出来たらいいなと思いました。

4 印象に残ったフレーズ
P22 したがって、今、私たちに必要なことは、「問いのデザインを大きく変える」ことです。すなわち、「どのような手段で住民(運転免許のない人、高齢者など)を目的地まで輸送するか」ではなく、「住民が比較的容易にアクセスできる場所で、住民が必要とする生活機能をどのように整備するか」に問いを整理し直しましょう。「住民を動かすのではなく、サービス・機能のほうに、住民の近くまで来てもう」という発想の抜本的な転換が不可欠なのです。

P122 「まちのえき」は地域経済の活性化にも大きな効果を生むのです。
P124 コロナ化の影響や高齢化を地元消費につなげる。
P127 創業した時に、実際に商品やサービスを販売する身近な実践の場として「まちのえき」をどんどん活用していただきたいのです。
P128 既存事業者をただ支援するのではなく、第2創業といわれる、新しい事業に挑戦し、地元雇用を生み、地域経済循環に貢献してくれる企業を応援するのです。
P129 いくつかの事業者は駅前などの基幹店を運営しつつ、「まちのえき」などの小規模な拠点を巡回する移動販売の可能性を探り始めています。

P132 市民が強く課題と感じていることや楽しいと感じるまちづくりを進めた結果として環境もよくなるような仕掛けや工夫をしよう、とアプローチを変えました。
 環境問題への関心や行動が不十分な現在では、市民や事業者が必要とするまちづくりを進めながら、環境保全が「結果として後からついてくる」方法を同時に考えないといけないはずです。

P138 仕事中心の「ベッドタウン」、仕事と家庭のバランスを取る「ワーク・ライフ・バランス」ときて、これからの住宅都市のあるべき姿が「ワーク・ライフ・コミュニティのブレンド」と考えています。「まちのえき」には、「ワーク・ライフ・コミュニティのブレンド」を具体化できる要素がたくさん詰まっているのです。

P171 事業計画を策定するプロセスでいろんなアイディアが出ているので、やりたいことがたくさんあるとは思いますが、それをぐっとこらえてまずは比較的簡単でみんなが面白い、楽しんでくれる取り組みで「小さな成功体験を一つ作る」ことが大切です。

P193 そもそも、自治会長一人の力では、「まちのえき」の事業推進は不可能ですから、自治会長だけでなく多くの関係者が「まちのえき」を支え、楽しんでもらう持続可能な体制作りが不可欠です。
 「まちのえき」のボランティアメンバーを募集することです。
P196 主婦、高齢者、子ども、学生、テレワーク従事者など、社会の変化に応じた形で地域活動に参加してもらう方を増やしていきましょう。

P202 アナログな方法からデジタル技術の活用。そして一人一人の口コミの大切さ。「興味があるけどどうしようかな」というボーダーライン層を出席に導くための一押し。

P208 会費収入や行政からの補助金以外の収益をきちんと確保できている自治会は少ないですが、これからの時代に必要な地域拠点となるためには、収益の確保も自治会自身が考えていかなければなりません。
 寄付を積極的に活用する:地域のご家庭からの寄付・協賛、地域の事業者からの協賛
P211 コーヒーを無料で出さない:カフェやランチでの販売、各家庭にある不用品の販売、講座の受講料など、クラウドファンディングの活用


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