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詩  散文

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2023年6月の記事一覧

乾く街

乾く街

砂漠の
灼熱の乾く街
狭間から狭間が現れ
狭間に消えて
季節のない詩(うた)が落ちる
微かな死の音

感情も感傷も諦めた文字の
憂愁だけがけぶり
空がない

兎に角
急がなくては

砂が舞うから
人の声も遠い

畳みかけられた後悔が
砂漠の砂に埋もれても
辻褄の合わない言い訳は
砂に染みた月の影

温室

温室

昔から透きとおるものが好きでした
透きとおる色が好きでした

君の奏でるギターは透きとおった音でした。
眼をつぶると月夜の麦畑が広がりました。
揺れる穂のずっと向うで君がギターを奏でいました。
宮沢賢治の世界のようでした。

君は「温室」が好きだと教えてくれました。

私はいつも小さな透きとおるものたちを
外側から眺めていました。
大きな透きとおったものに抱かれるのはどんな感じでしょう。

透きと

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青い炎

青い炎

僕は箱庭を燃やさなければいけない。
青い炎にひとつずつ
見えた風景
見えてる風景
出会った旅人
春の小さな花々
細い月
星の調べ
緑濃い草原
暖かな楠木
夏の風
海が見えないまま
青い炎に焚べなくてはいけない
僕も

僕も透明に還る
透明な場所に戻さなくてはいけない

覚悟がいる

優しい風

優しい風

揺れている水面に映る葉の影は
隠しきれないけれど
星をなぞれば星座が生まれ
消えない影も痛みも知って
その涙に正直であれ
癒す景色は確かにあれど
歩みなくては届かない
どうか優しい風をつかまえて
新しい言葉を聞かせて欲しい
泣くものになぐさめを
こだまする言葉はやすらぎになる
みているものに微笑みを
君のみている景色を慥かにつかめ

初夏

初夏

目を閉じて
姿なき君を想い
ただただ
痛みを抱く胸に
月の雫を
満ちる前の欠けた月の涙
やがて
朝陽が照り
夏の勢いに
草原は背を伸ばす
隠してしまえるなら
草原に
されど風は優しく嗜め
前髪を揺らす
私は洞の入り口に立ち
ゆっくり草原に歩み出るだろう
よろめきながら
足元には小さな花の咲き乱れるも
夏の雲が夜を離れ
暁に染まり
春の終わりを悟す

慥か

慥か

慥かな、慥かな足音
あやふやに惑わされず
慥かな声
閉じた瞳の真実
姿なき慥か
伝わるぬくもりに
距離の長さは
はがゆいけれど
慥かに
慥かに
涙も暖める
どこにいても
ここにいる
慥か

波にあらわれ
辿り着く真実
貝のささやき
いつでも
照れくさい言葉は
ヤドカリがからかうから
頬染める真珠になりたい

求めるものの
不確かさに怯え
見失う星

疑心暗鬼の鬼面は誤認識

のうぜんかつらの揺れる

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細い月

細い月

おかしいね。君をずっと前から知っていた気がする。見つけたばかりなのに。知らない街に旅したように不安は隠せないから、細い月を見上げて、おどけるしかないんだ。でも、君をずっと前から知っていた気がする。だからこれからも君をずっと見ているよ。穏やかにゆっくりと満ちる月に。 #散文詩

船出

船出

友人と行き先は同じでも乗る船が違うとわかってしまう事。
行く先に着けば、お互いの無事を喜び、交友は変わらない。
違う船に乗っている間もお互いの状況を伝え、励ましあえる。
だから、今、ここにて私だけが違う切符を持っていたとしても
淋しくはないし、孤独でもない。

手放さなくてはならない思いの中に「何かにこだわる」ということがある。
こだわってるいる自分が好きだから、なかなか手放せない。
「こだわる」

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立つ

立つ

私の小さな足元は
何を求めているのだろう
大きな渦の中で
その渦にまぎれて個の刃を抜く者は
かっての自分だ

小さな足元の小さな涙は知るべき痛み
外から聞こえるシュプレヒコール

個と全体と和
あるいは


私の小さな足元は大きな縁に繋がって
今の私が立っている

失くしたものはもういらない

きっぱりとした強さは必要だ
私の小さな足元はまだ少し震えているけれど
私はここでこうして立っている

のろのろと

のろのろと

詰め込み過ぎたリュックを下ろした
りんごがひとつ転がった
赤いりんごの痛みが伝わる
のろのろと
のろのろと
爪先にまとわる憂鬱

めくる季節
のろのろと
のろのろと
ページをめくる

あどけなさがぼんやりと
ひとつ
朧月夜のごとく

暗闇の訪れない街で
ろくでなしが闇を探す

街灯に群がる
いく頭の蛾の
落ちては 落ちては
死にゆく姿を確認し
のろのろと生きている