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夏風/紅すずめ
2023年6月30日 06:58
砂漠の灼熱の乾く街狭間から狭間が現れ狭間に消えて季節のない詩(うた)が落ちる微かな死の音感情も感傷も諦めた文字の憂愁だけがけぶり空がない兎に角急がなくては砂が舞うから人の声も遠い畳みかけられた後悔が砂漠の砂に埋もれても辻褄の合わない言い訳は砂に染みた月の影
2023年6月29日 19:28
昔から透きとおるものが好きでした透きとおる色が好きでした君の奏でるギターは透きとおった音でした。眼をつぶると月夜の麦畑が広がりました。揺れる穂のずっと向うで君がギターを奏でいました。宮沢賢治の世界のようでした。君は「温室」が好きだと教えてくれました。私はいつも小さな透きとおるものたちを外側から眺めていました。大きな透きとおったものに抱かれるのはどんな感じでしょう。透きと
2023年6月28日 23:17
僕は箱庭を燃やさなければいけない。青い炎にひとつずつ見えた風景見えてる風景出会った旅人春の小さな花々細い月星の調べ緑濃い草原暖かな楠木夏の風海が見えないまま青い炎に焚べなくてはいけない僕も僕も透明に還る透明な場所に戻さなくてはいけない覚悟がいる
2023年6月27日 21:19
揺れている水面に映る葉の影は隠しきれないけれど星をなぞれば星座が生まれ消えない影も痛みも知ってその涙に正直であれ癒す景色は確かにあれど歩みなくては届かないどうか優しい風をつかまえて新しい言葉を聞かせて欲しい泣くものになぐさめをこだまする言葉はやすらぎになるみているものに微笑みを君のみている景色を慥かにつかめ
2023年6月25日 21:01
目を閉じて姿なき君を想いただただ痛みを抱く胸に月の雫を満ちる前の欠けた月の涙やがて朝陽が照り夏の勢いに草原は背を伸ばす隠してしまえるなら草原にされど風は優しく嗜め前髪を揺らす私は洞の入り口に立ちゆっくり草原に歩み出るだろうよろめきながら足元には小さな花の咲き乱れるも夏の雲が夜を離れ暁に染まり春の終わりを悟す
2023年6月22日 23:27
慥かな、慥かな足音あやふやに惑わされず慥かな声閉じた瞳の真実姿なき慥か伝わるぬくもりに距離の長さははがゆいけれど慥かに慥かに涙も暖めるどこにいてもここにいる慥か波にあらわれ辿り着く真実貝のささやきいつでも照れくさい言葉はヤドカリがからかうから頬染める真珠になりたい求めるものの不確かさに怯え見失う星疑心暗鬼の鬼面は誤認識のうぜんかつらの揺れる
2023年6月22日 01:10
おかしいね。君をずっと前から知っていた気がする。見つけたばかりなのに。知らない街に旅したように不安は隠せないから、細い月を見上げて、おどけるしかないんだ。でも、君をずっと前から知っていた気がする。だからこれからも君をずっと見ているよ。穏やかにゆっくりと満ちる月に。 #散文詩
2023年6月12日 18:16
友人と行き先は同じでも乗る船が違うとわかってしまう事。行く先に着けば、お互いの無事を喜び、交友は変わらない。違う船に乗っている間もお互いの状況を伝え、励ましあえる。だから、今、ここにて私だけが違う切符を持っていたとしても淋しくはないし、孤独でもない。手放さなくてはならない思いの中に「何かにこだわる」ということがある。こだわってるいる自分が好きだから、なかなか手放せない。「こだわる」
2023年6月10日 20:31
私の小さな足元は何を求めているのだろう大きな渦の中でその渦にまぎれて個の刃を抜く者はかっての自分だ小さな足元の小さな涙は知るべき痛み外から聞こえるシュプレヒコール個と全体と和あるいは輪私の小さな足元は大きな縁に繋がって今の私が立っている失くしたものはもういらないきっぱりとした強さは必要だ私の小さな足元はまだ少し震えているけれど私はここでこうして立っている
2023年6月6日 19:33
詰め込み過ぎたリュックを下ろしたりんごがひとつ転がった赤いりんごの痛みが伝わるのろのろとのろのろと爪先にまとわる憂鬱めくる季節のろのろとのろのろとページをめくるあどけなさがぼんやりとひとつ朧月夜のごとく暗闇の訪れない街でろくでなしが闇を探す街灯に群がるいく頭の蛾の落ちては 落ちては死にゆく姿を確認しのろのろと生きている