已己巳己に成る。
側溝に設置されるブロックは、かつては全く同じものであったはずだ。
同じ形、同じ色、同じ重さであったはずだ。
それは時間の経過と共に、確かに違うものと成る。
陽当たり具合に、傷や割れ目、削れ方。
必ず個性が現れる。
よく似ているものという意味は、別の言い方をすると似て非なるものである。
その違いこそが面白い。
マンホールにも東京市型、名古屋市型など違いがあるように、いつからか市によってシンボルが描かれ出したように、ブロックも時間と共に唯一無二のものとなる。
側溝だけに限らない。
海岸ブロックだって同じだ。
人の手で作られたピカピカの左と、自然の手で作られた味のある右。
階段の段差だって同じだ。
劣化なのか。成長なのか。どっちもだ。
線路だって同じだ。
左の線路はまだ人のもの。右の線路はもう自然のものだ。
時間は個性を宿す。
自然と共に過ごす中で、必ず傷がつき、そのものだけの形を作る。
その違いこそが面白い。
人間に似ている。
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