2日のズレと睦ぶ。
「ごめんなさいね。東京では今日発売なんだけど、うちに入るのは2日後なのよ」
20年前、楽しみにしていた本の発売日に、本屋さんへ駆け込んだ時に言われた言葉だ。
そうなんだ。東京では今日読めるけど、西日本のうちの県の場合は、2日待たなくちゃいけないんだ。
誰も悪くない物流の壁である。
憤りを感じたりもしたが、ぶつける先など無い。そういうものだ、と認識するようになった。
あれから20年経った。
20年経ったが、未だにそれを言われる。電子書籍では同じ日に読めるようになったが、小説は現物で読みたいなぁという気持ちを萎ませる合言葉だ。
別に2日遅れるのはいいのだ。悲しいのは、本屋さんのPOPには大文字で東京での発売日だけが書かれている事だ。大人の事情だろう。それはわかる。
でもせめて手書きで、「うちの場合はここから2日後!!」と書いてみて欲しい。
ウチはウチ!と誇るようなその文字を見れたなら、少し清々しくなれると思う。
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