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自画自賛。【空想親睦会】

知っているか?人は権威に弱い。なにせ箔が付くし、あぁこの人は世間に認められたんだ。という分かりやすいスタンプマークであるので、安心感があるのだ。

その人が努力して辿り着いた局地の到達点でもあるから、当然眩しく映る。生きた証と言えるだろう。

後は…そうだな。肩書も同じだな。その人の生き様をわかりやすくした表現、とでも呼ぼうか。君もそう思うだろう?

あぁ、とても分かるとも。額縁、と表現できるかもしれないな。その人の縁の部分だ。けして、すべてではない。すべてではないが、他の人が見た際には一番最初に目に留まる部分だ。それは豪華な装飾の方が目立つ。そうだろう?
然り。栄誉と呼べるものだ。誇れるに決まっている。
その人の背骨とも言い換える事ができる。
さぞ、胸を張れるだろうよ。
その人を構成するものとして、まず始めに挙げられるものとなる。
素朴な格好をしていたとしても、それは光輝く。
服装に左右されない輝きだ。当然、目立つ。そうだな?

迷った時に立ち返る事のできる場所、と言えるかもしれないな。そう考えると「家」と言い換える事もできる。そしてその家の一等地に純然と光輝く私。金色に輝くトロフィー。やはり何度確認しても私は素晴らしい。君もそう思うだろう?

分かるとも分かるとも。君も素晴らしいし、私も素晴らしい。家の壁を彩る額縁の数々。そしてそのすべてに私がいる。賞状の私が。いや全く絶景である。そうだろう?
然り。然り。お二方の素晴らしさは言うに及ばず。
だが、私も勿論素晴らしい。
なにせ私はその気になれば外にも出れる。
服装を選ばず渾然と輝く勲章の私。当然、目立つ。
そうだな?

そう考えると我らが持ち主殿は大変優秀であるな。これだけの私達が一堂に会する事はそうありはしないだろう。なぁ、君もそう思うだろう?

うむ、うむ、間違いない。同意見だ。私達の持ち主殿は大変素晴らしい。そうだろう?そうだろう?
然り然り然り。何度でも繰り返そう。
然り然り然り。​優秀な我らを持つ主殿はまぎれもなく優秀である。
そうだな?​な?

先ほどから我々は新人の君に問いかけているのだが。

うむ。なんとか言ったらどうだね?
然り。恐れず口を開くが良い。

…わたし?

そうとも。君だ。

君は昨日、突然現れた。
うむ。一体なんの栄誉であるか教えてくれないか?

わたしは、おじいちゃん元気でいてくれてありがとう賞。首かざりだよ。

なんと。持ち主殿はまた新しい賞を受賞したのか。

さすがであるな。
昨日までは我らが君臨していた、
この部屋の1番のスペースに鎮座しているのだ。
さぞや、権威のある賞とお見受けする。​

よくわからないけど、いままでもらった賞のなかで、1番うれしいって言ってたよ。

…なに?今までで1番!!我らよりもか!

聞き捨てならぬな。
然り。一体何を成せば君は貰えるのだ!?
さぞや偉業を成したのであろう!?

毎日元気でいてくれてありがとうって。だからみんなもらえるよ。

む?だが待つのだ。持ち主どのは誰かから君を貰ったのであろう?だからこそ、1番嬉しいのであろう?

その通りだ。それはまぎれもなく特別な事である。
然り。「みんなもらえる」は聞き捨てならない。
いささか乱暴な理論ではないか?​

うーん。でも、わたし、10つ子なの。

わたしを作った子は、持ち主さんの他にも、おばあちゃん、お父さん、お母さん、それから犬のワンダに、ようちえんのお友達、それから自分自身にも、わたし達をあげてたよ。

わたし、もともとおりがみだし。

その気になれば自分で自分にあげれる。

これって「みんな」じゃない?

なるほど。対象の間口が広い、というわけか。それは確かにみんなかもしれん。

あぁ、特に自分にも上げれるというのがなんだか気に入った。素晴らしい。自分で特別にするという視点。私にはないものだった。
然り。やはり賞はいい。我らの事だが。

いちばんは何個あってもいいよね。

まさに。新入り殿、君は今、良いことを言った。

そうとも。我らはあればあるほどいい。
然り。まぎれもなくその人の生きた証であるからして。
我らはやはり素晴らしい。
それは我らがまぎれもなく特別である証でもある。

すごいよ!って誰かがほめてくれた時にもらえるものだもんね、みんな。

そうだな。その前提を踏まえて考えるとやはり我らはすごい。

あぁ、我らはすごい。自分で褒めていいのだ。我らはすごい。
然り。やはり我らは素晴らしい。

もっと褒めよう。互いを。我ら自身を。

あぁ、同意見だ。
然り然り然り然り然り。然り然り然り然り然り。

わたしもいいの?

もちろんだ。さぁ、一緒に。

「「「「わっはっは!わっはっは!」」」」

おわり



こちらのふみーさんの企画に参加させて頂いております。文字数1898です。

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