カレーに納豆。
この秘伝のレシピは、私が18歳の時に当時下宿していた新聞店に一緒に住んでいた先輩から教わったものである。
新聞奨学生なる学費と光熱費と住む場所を提供してやるから替わりに労働力を寄越せという等価交換制度を使い花の都東京にやって来た私は、初めての給料で先輩と一緒に新聞店の近所にあったCoCo壱番屋に繰り出した。
私の住んでいた田舎にCoCo壱などというハイカラなお店は当時存在せず、いや、あったかもしれないが私は知らなかったので大層キラキラして見えた。
そのカレー屋さんで先輩は唐突にトッピングで納豆をつけた。
私の当時の衝撃は計り知れない。
この記事のタイトルを読んで、
「え!?カレーに納豆!?」
となった方、あなたは正しい。
だが、まさしく同じ言葉を繰り出した私に先輩が言った一言を贈らせて欲しい。
「いや、カレー専門のお店のトッピングメニューにちゃんとあるんやで」
騙されたと思って一回食べてみ?
と。あの偉大なる先輩は仰った。
確かに。お店のトッピングメニューにちゃんとあるという事は信頼できる情報だ。もっともだなと思って私は騙されたつもりで食べた。
カレーに納豆を乗せて食べた。
私はその時に奇跡を見た。奇跡を食べた。
カレーと納豆は口に入れた瞬間にベストフレンドとなり生涯の伴侶となった。永遠の友情と愛はここにあった。
私の中で祝福の鐘が鳴り響き、カレー社と納豆社は完全なる合併を果たした。業務提携や資本提携や経営統合など一切をすっ飛ばして合併された。されたったらされた。
あのね。ここだけの話ね。
完全に中毒になった。
今ではカレーに納豆が無い生活など考えられない。
自分でカレーを作る際にも必ず納豆を用意する。
このわけのわからん組み合わせがなんでこんな絶妙な美味しさを誇るのか、そのメカニズムなど知ったことではない。
とにかくむさぼり食べたくなる。
是非。一度。騙されたと思って。
経験による注意点としては、この組み合わせは完全にハマる人と、食べたけど絶対無理合わないの感想に二分される。世はまさに戦国時代と化す。
でも。
是非。一度。騙されたと思って。
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