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アラビアータのシミは薄まる~初恋の悪魔~

今私ははまっているものがいくつかあります。
その一つがドラマ『初恋の悪魔』です。

<イントロダクション>
小洒落てこじれたミステリアスコメディー
警察署に勤めているが…俺たちには捜査権がない!!
 推理マニアで凶悪犯罪愛好家 鹿浜鈴之助しかはま すずのすけ(林遣都)
 自己犠牲型平和主義者    馬淵悠日まぶち あさひ(仲野太賀)
 ぶっきらぼうだが人情あり  摘木星砂つみき せすな(松岡茉優)
 妄想癖な腰痛持ち      小鳥琉夏ことり るか(柄本佑)
部署もバラバラで、それぞれ訳ありの4人が集まった。
正義感も出世欲も無い、求めているのは、ただ…真実のみ
ひとりひとり、こじれた事情を抱えながら、刑事とは違った感性と推理で難事件を解明する。
いつしか芽生えた4人の友情、そして恋。
やがて4人は、より大きな真実と運命に飲み込まれていくことに…!
先の読めない時代に、先の読めない物語を。

「初恋の悪魔」公式ホームページより


脚本家坂元裕二さんが描く愛しいキャラクターとセリフの大ファンである私にとって、ベスト10にはいること間違いなしの作品です!
(ベスト10って多いでしょうか?とにかくお気に入りなんです!)

毎週録画をして一語一句取りこぼさないように楽しんでいるのですが、
既に何度も再生しているのが第6話。
見えない気持ちに名前を付けてくれたような
そんな日が差すような言葉があふれたお話でした。

特にお気に入りのシーンは序盤の
林遣都さん演じる鹿浜鈴之介しかはま すずのすけさんが、松岡茉優さん演じる摘木星砂つみき せすなさんに
中学生時代に受けたいじめについて打ち明けているところです。
鈴之助さんがいじめてきた友人に何も言い返せなかったこと
「昔のことだ」と言ったことに
摘木星砂つみき せすなさんが代わりに怒ってくれたシーンでした。

星砂:昔のことだからだよ
   言い返せなかったことって残るでしょ
    あなたのしていることは失礼だよ
    私は怒っているんだよって
   言えなかった事って何年経っても残るでしょ
   今となっては言い返せないし
   そういうのってシャツのシミみたいに残るんだよ
   クソ!
鹿浜:もういい 大丈夫
星砂:大丈夫じゃない
鹿浜:君が怒ってくれたから大丈夫
   シャツのシミは消えた

「初恋の悪魔」第6話


このシーンを見た時
私の心はぎゅっと小さくなり、涙があふれてきました。

言葉が好きな私ですが、その分言葉に傷つきやすくもあります。

良い言葉だけ覚えていられればいいものの、
キレイな洋服よりもこびり付いたシミが目を引きます。

より濃く残っているシミは前職での同僚の言葉。
年上だけど部下という難しい関係のあの人に言われた言葉は
まるでアラビアータのソースのように
ピリッと辛い唐辛子が入っていました。
1度跳ねたソースは油分と共に私に何年もシミついています。

ただこのシーンを見た時に
星砂さんが代わりに怒り、鹿浜さんのシミが消えたように
私のシミも少し薄くなったような気がしたのです。

言葉に敏感で弱い私、と思っていたところを
「ただのシミだよ」と教えてくれたからでしょうか。
消せばいいんだ、と簡単な事なのに気づかされたのです。

キズは時間が経つにつれて治っていきます。
けれどシミは時間の経過により濃くなることもあります。
でもシミ取りはいつだってできる。
優秀な洗剤はいっぱいあるので自分で少しずつ消していってもいいし
誰かに落としてもらっても良いし
漂白剤を使って真っ白にリセットしたっていい。

解決策は想像以上にあり、それは時間の経過によって発見できる。
人生の時間って不思議ですね。

シミがあるからこそ響く言葉もある。
シミがあるからこそ共感できることもある。
考えようによっては人生全てに意味がありますよね。

だから今日も私は
アラビアータのシミを恐れずに
でもエプロンはつけて上手に食べようと思います。


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