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好きな人が地球の裏側に住んでいても会いに行きたい
前回のあらすじ👆
静岡に引っ越してしまった歯医者の元同僚に会いに、静岡県までやってきたカホとその同僚!
元同僚に会う前に、日本平の花火を見に来たけど、元同僚と合流する前に二人は山頂でベロベロ!果たして自力で下山できるのか!?私たち、一体どうなっちゃうの~!?
※そこまでベロベロではない。下山してくれるのはシャトルバス。
シャトルバスで山道を普通に下山して、行きに勘違い申し上げたスーパーコンコルドの前で元同僚と待ち合わせた。
そもそも何故元同僚が静岡に引っ越してしまったのかというと、彼氏にとられたのだ。
とられたと言うと人聞きが悪いが、とられたのだ…
八王子に住んでいる頃も、そんなに頻繁に会うわけではなかったけれど、同じ東京に住んでいるというだけで心が繋がっている気がした。
「彼の仕事の都合で静岡に引っ越すことになった」という言葉を聞いた時は、ちびまる子ちゃんがショックを受けたときのような三本線が顔に入った。「ガーン」という文字が石になって頭にぶつかってきた。
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遠距離友情のスタートだった。
彼女が引っ越す前には八王子のラブホテルでお別れ会をして、このズッコケ3人組で「心の瞳」を歌って3人で号泣した。様子がおかしいトリオである。
私的には「いつか若さをなくしても 心だけは決して変わらない絆で結ばれてる」という歌詞で涙腺をツンツンされた。ウチラゎズッ友ダヨ…と私の心の中の中坊が顔を出した。
彼女が東京を離れてしまうのは本当に悲しかったけど、新たな門出を心のどん底から祝福した。マリアナ海溝くらい深いところから祝福した。
そして、待ち合わせ場所で因縁のライバルこと彼氏(仮名)が運転する車で元同僚が現れた。1年ぶりの再会である。
彼氏さんのことを因縁のライバルとか言っているが、こんなすっとこどっこいな私にもとても優しくしてくれる爽やかボーイだ。今日は二人のお宅に一泊させていただく。
今度こそ本物のスーパーで買い出しをして、山頂から下界に帰ってきたことですっかり冷めた頭を再び酔っぱらわそうとしている。
お宅にお邪魔して、お菓子を広げるなどして4人でガールズ&ボーイズトークをした。
一瞬で夜も更けてしまったので、わたしは同僚と同じ布団で朝を待った。(普通に寝ただけ)
目が覚めた時、静岡の夏の朝はちょっと涼しいような気がしたけど、すごく気のせいだった。
外では蝉が生まれたての赤ちゃんのように激しく鳴きじゃくっている。蝉のギャン鳴きである。
身支度を済ませて、「どこ行く?」となって、静岡の遊園地、浜名湖パルパルに遊びに行くことになった。
車を走らせ1時間、浜名湖に到着した。
車から降りた瞬間、湿気で一気にまつげがしおれるのを感じた。
静岡駅付近よりジメジメしているように感じるのは浜名湖があるからだろうか。
アンパンマン以外のやなせたかしのキャラクターと初めて戯れ、アトラクションにも乗った。
わたしも絶叫系が大得意なわけではないが、二人はもっと絶叫系が苦手だ。
数年前に3人でディズニーに行った時、元同僚は「キャー!」とか「ワー!」とかじゃなく、「コワーイ!コワイコワイ!」と泣き叫んでいた。言葉を発することはできる理性が残っていることに爆笑しすぎてヨダレが止まらなくなった。
だが、ここ浜名湖パルパルは、やなせたかしのキャラクター溢れる優しいテーマパーク。と高を括っていたら、意外にもジェットコースターが超ハードモードでわたしたちは腰を抜かした。
叫び疲れた上に、静岡にさんさんと照り付ける日光で我々は疲弊した。空は嫌味なほど青く高い。
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元同僚は、水分を摂らないことで巷では有名だ。そこで「やあ!ボクだよ!」と、やってきたのが熱中症である。
完全に熱中症になったわけではないが、それでも水分を摂ろうとしない元同僚に、わたしは「舐めるだけでもいいから舐めろ」と、半ば暴力的にスポーツ飲料をかちこませた。
元同僚のHP回復を待ち、我々は帰路についた。気候含め全てがハードモードであった。
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途中のSAで休憩をとり、帰りの新幹線の時間が近づいてくるのを感じていたが、誰も口には出さなかった。
昨日はあんなに楽しかった、夏の空が暗くなっていくことがどうしようもなく寂しかった。
元同僚の運転で、わたしと同僚は静岡駅に到着してしまった。
「またすぐに会いに来るからね!」
元同僚がもう二度と東京に帰ってこなくても、もし彼氏がブラジルに転勤になっても、どこにでも会いに行くよ。その時は一緒にブラジリアンダンスを踊ろう。
そんなことを思いながら小さくなっていく車の後ろ姿に最後まで手を振った。
同僚と駅で静岡麦酒を買って、新幹線に乗り込んだ。
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そして本日二度目の別れを新横浜で。一緒に旅をしてくれてありがとう、同僚。
「こんな風に大切に思える人たちに出会えて幸せだあ」
再び一人きりになった新幹線では、しょげないでよbaby…の曲が、頭の中で流れていた。
少ししょっぱくなったような気のする静岡麦酒の缶を握りしめて、また人が溢れかえる東京の街に降り立った。
おしまい