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短編小説

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5分かからず読めるような短編小説のまとめです☺︎
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2020年6月の記事一覧

君となら生きていけそう

君となら生きていけそう

 鼻をくすぐる香りに思わずくしゃみをした。毎年嗅ぐことになるが、好き嫌いの別れる香りだと思う。わたしにとってはむず痒いものだ。
「だめだった?」
 チャッカマンを片手に彼女が言った。
「蚊取り線香」
 もうそんな季節なんだね、と苦笑する。夏はあっという間にわたしたちを包み込んで、たっぷり焦らし過ぎ去っていく。春と秋はもっと主張したらいいのに、全くなにをやっているのだろう。一瞬で消えてしまうから、ま

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夜空に溶ける

 久しぶりに夢をみた。
 最近は日々の疲れからか気絶するように眠っていたから、夢をみるなんて随分珍しいことに思える。記憶の彼方へ放り出されてしまう前に、今のうちに書き留めておかないと。
 ねぇ、行かないでよ。

 そこは一面の星空が広がる丘だった。きっと君とみた星空だ。あの日は確か、一時間も眺めていたんだっけ。
 夢なのにふたりとも無言で、ただただ星空をみつめていた。隣にいるという感覚だけがかろう

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ぜんぶ君のせいだ

ぜんぶ君のせいだ

 坂を登ってくる彼女の姿が見えた。まただ。もう来なくていいって言ったのに。
「ねぇ、この前も言ったけどさ、」
「そーらーをこーえてーらららほーしーのかーなたー……」
「……それなんだっけ」
「ゆくぞーアトムー……。んふふーふーんふーふふー……」
「あぁ」

 彼女はいつみても機嫌がいい。いつもニコニコしていて、なんで僕のところに来るのか不思議なくらいだ。
 毎日のように来ては一方的に喋って帰ってい

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