📖凪良ワールド💞💐
『積木の恋』
男相手の恋愛詐欺師の漣にとって加賀谷は、恰好のカモのはずだった。
有名な病院の息子で、恋愛には慣れていない。口下手で、くそ真面目で少しも楽しくもない。
漣が伏し目がちに借金があるといえば、何の疑いもなく援助を申し出た。
いつもなら、拍手喝采するはずの心ががなぜか息苦しい。
馬鹿がつくほどに漣にぞっこんで、真っ直ぐに見つめてくる視線を今までなら「騙されとけ、バーカ」と毒づいていたのに。
真面目に働いても報われないことのほうが、多かった。
それは神様が降ったサイコロの目が漣には「不幸」のます目にとまったからだ。
人はそれぞれのます目の違いで裕福だったり貧しかったり。
漣にとって、それは抗うことのできない運命で、だからその代償として「幸福」のます目にいる奴らから絞り取ることは罪でもなんでもなかった。加賀谷に出会うまでは…。
何不自由なく幸福だと思っていた加賀谷の中に自分と同じ寂しさや報われないことへのジレンマを見てしまった漣。
もう止めよう、とおもった矢先、漣の前に現れた警察官…‼️
加害者と被害者。ふたりの行く末は…⁉️
詐欺と言う形でしか自分の生きる途を顕せない漣が、初めて触れた包まれる安らぎ。懐かしい母との思い出が重なる。
なのに、期待してはいけないと心が警鐘をならしてしまう漣に共感。
頼りきったあとに無くしてまった時の恐怖。
期待しなければ、傷つきもしないと開き直って、弱いクセに強がって…。
なりふり構わずぶつかって、ダメならその時と割りきれたらどんなに楽だろう。
だから、漣には「もっと、力をぬいて」と応援してしまう🎵
しっとり雨降りの日にぴったりの物語✨
そういえば、加賀谷は「雨降りのあとの森の香り🌳」がするそうです☔️