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「スウェーデンに寝たきりはいないのか?」 〜答えを探しに北欧へ飛んだ理由〜

 2024年8月、学研から『イラストでわかる 高齢者のからだ図鑑』を出版した。

 企画〜構成から本文まで、10年以上の理学療法士経験を反芻しながらの執筆は、出版日まで一抹の不安が募っていた。

「これ、大丈夫?自己満になってない?」と自問自答

 しかし、ありがたいことに想像をはるかに超える反響をいただき、出版1ヶ月足らずで増刷となった。そして私のもとにも多くの感想が寄せられた。
 
 その中で特に印象に残ったのは、

「最後まで自宅で自分らしく過ごしたい」

という読者の切実な思いであった。

 同じ頃、私の頭には90歳を超えた二人の祖母の姿が浮かんでいた。
数年前に夫を亡くした二人の祖母は、最初こそ不安であったが。

いろんな苦悩を乗り越えた今では

散歩に料理、ピアノに脳トレ、庭仕事に恋(これは小声)・・・

と、まるで年齢を感じさせない充実レベルの一人暮らしを続けている。
まさに「自分らしく」生きているのだ。

いくつになっても叶わない「おもてなし力」
ばぁちゃんの煮物を食べる幸せは、この上ない。

 この生活が突然崩れてしまう日がくるのではないか

日本にいると、そんな漠然とした不安が、いつも胸の中に広がっている。

いつも海外に行く前、少し日本を離れる前には、なんでもない日でも会いに行く。どうしても会えない時は、電話をする。

二人は大丈夫だろうか・・・?

日本の現実「だめなら施設」が隣りあわせの不安

 日本では、わたしが漠然と思っている不安である「いつか」は突然訪れる。

 例えば、それまでは元気いっぱいだった高齢者が、インフルエンザや肺炎など、一時的に体調を崩して入院となり、そのまま体力が落ちて自宅での生活が困難にあり、施設へ入所――そして「寝たきり」になってしまう。というケース

 理学療法士として病院や老人施設、在宅介護の現場に身を置いてきた私は、何度もその現実を目の当たりにしてきた。

そこに、本人の意思「家に帰りたい」は、優先できないのが悲しい現状である。

中には、自ら施設の入所を選ぶ人もたくさんいる。

しかし、本人の意思とは裏腹に「家族の都合で」施設入所が決まり、最期の場所を選べない高齢者が本当に多いのも、事実である。

思いが叶わず、最後を施設で過ごすこととなってしまった高齢者の気持ちは、痛いほど聞いてきた

 自分にできることを精一杯やってきたつもりだが、どうしようもない無力感に襲われることも少なくなかった。

そんな景色を見てきたからこそ、漠然とした不安に襲われるのだ。

そんな時ふと、私の脳裏に浮かんだ言葉があった。

「スウェーデンには寝たきりがいない」

本当に北欧スウェーデンには「寝たきり」がいないのか?

夜のストックホルム市庁舎で気合いを入れる

 福祉大国と呼ばれる北欧スウェーデンだからこそ、そうなのだろう

そう思う反面、「本当に?」という疑問も生まれた。

いくら福祉大国といえど、同じように高齢化が進んでいるのが現状である。

医療・介護現場に一度でもたった人ならわかると思うが、人手不足に資金不足、いろんな「不足」が重なる現場は毎日がカオスである

ただ、もしそこに何かヒントがあるのなら、日本に持ち帰り、伝えたい。

一度そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。

行動力だけは人一倍ある私である。
スウェーデン各地の施設や関係者に、手当たり次第に連絡を取った。

当然、一筋縄では行かなかったが、諦めようもないので、もがきまくった

本当にありがたいご縁がつながり、なんとか視察のアポイントメントを取りつけ、2024年12月、気がつけばスウェーデン行きの準備が進んでいた。

スウェーデン視察へ―答えを探しに

この景色を見れるだけで長生きできそう。笑

 「寝たきりはいない」

この言葉の真偽を確かめるため、また、そこにたどり着くための何かしらの工夫を探しに、私はスウェーデンへ向かった。

果たして、その言葉は本当なのか?
そこに隠された「老後を楽しむための工夫」はあるのか?

 そんな私のふんわりとした疑問は、現地の医師や理学療法士、介護関係者や高齢者と交流して「なるほど」と納得した。

 その内容については、次回ゆっくり語っていくこととする。

最後までご拝読いただき、ありがとうございました^^

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kaho|理学療法士・パラレルワーカー
最後まで読んでくださりありがとうございます^^! こんな感じでダイエット・美容からキャリアの話まで、ちょっとためになるようなお話をお伝えしていますので、また読みに来てくださいね❣️