「スウェーデンに寝たきりはいないのか?」 〜答えを探しに北欧へ飛んだ理由〜
2024年8月、学研から『イラストでわかる 高齢者のからだ図鑑』を出版した。
しかし、ありがたいことに想像をはるかに超える反響をいただき、出版1ヶ月足らずで増刷となった。そして私のもとにも多くの感想が寄せられた。
その中で特に印象に残ったのは、
という読者の切実な思いであった。
同じ頃、私の頭には90歳を超えた二人の祖母の姿が浮かんでいた。
数年前に夫を亡くした二人の祖母は、最初こそ不安であったが。
いろんな苦悩を乗り越えた今では
と、まるで年齢を感じさせない充実レベルの一人暮らしを続けている。
まさに「自分らしく」生きているのだ。
日本にいると、そんな漠然とした不安が、いつも胸の中に広がっている。
いつも海外に行く前、少し日本を離れる前には、なんでもない日でも会いに行く。どうしても会えない時は、電話をする。
日本の現実「だめなら施設」が隣りあわせの不安
日本では、わたしが漠然と思っている不安である「いつか」は突然訪れる。
理学療法士として病院や老人施設、在宅介護の現場に身を置いてきた私は、何度もその現実を目の当たりにしてきた。
そこに、本人の意思「家に帰りたい」は、優先できないのが悲しい現状である。
中には、自ら施設の入所を選ぶ人もたくさんいる。
しかし、本人の意思とは裏腹に「家族の都合で」施設入所が決まり、最期の場所を選べない高齢者が本当に多いのも、事実である。
自分にできることを精一杯やってきたつもりだが、どうしようもない無力感に襲われることも少なくなかった。
そんな景色を見てきたからこそ、漠然とした不安に襲われるのだ。
そんな時ふと、私の脳裏に浮かんだ言葉があった。
本当に北欧スウェーデンには「寝たきり」がいないのか?
そう思う反面、「本当に?」という疑問も生まれた。
いくら福祉大国といえど、同じように高齢化が進んでいるのが現状である。
ただ、もしそこに何かヒントがあるのなら、日本に持ち帰り、伝えたい。
一度そう思ったら、いてもたってもいられなくなった。
行動力だけは人一倍ある私である。
スウェーデン各地の施設や関係者に、手当たり次第に連絡を取った。
本当にありがたいご縁がつながり、なんとか視察のアポイントメントを取りつけ、2024年12月、気がつけばスウェーデン行きの準備が進んでいた。
スウェーデン視察へ―答えを探しに
この言葉の真偽を確かめるため、また、そこにたどり着くための何かしらの工夫を探しに、私はスウェーデンへ向かった。
そんな私のふんわりとした疑問は、現地の医師や理学療法士、介護関係者や高齢者と交流して「なるほど」と納得した。
その内容については、次回ゆっくり語っていくこととする。
最後までご拝読いただき、ありがとうございました^^