大豆/枝豆の甘さの正体について
前回までは、タンパク質、脂質と成分の話をしてきた。今回は糖質の話をしようと思う。
枝豆、豆乳、豆腐どれにしても、やっぱり「甘い」という味は、美味しさを決めるかなり大きな要素であることは間違いない。ただ、枝豆の「甘い」と、豆乳の「甘い」は、完全に同じ成分が寄与しているわけではない。糖類にもいくつかの種類があるためだ。
知っている人は絶対に知っている内容ではあるが、豆知識程度にでもなれば。
そもそも大豆に含まれる糖質って何?
大豆にはいろいろな品種があるが、含まれている糖質は、大きく分けて、水に溶ける糖類(水溶性糖類)と、水に溶けない糖類(多糖類)に、ざっくりと分かれる。ちょっと特殊な糖類も存在するが、これはまた別の機会に書こうと思う。
糖質の含有量は、大豆そのものの重量に対して、約30%ほど。そのうちの50~60%は食物繊維となっているので、消化されずに出ていくことになる。
糖質の種類について
ざっくり、下に水溶性糖類と、多糖類についてまとめてみた。
「少糖類」というのが、主に大豆の甘さを決めている成分。ショ糖というのは、いわゆる砂糖で、この含有量が多いと甘さの強い大豆となる。
(日本各地で採れる在来種の大豆は、このショ糖の含有量が高い品種が多いという印象がある。)
糖アルコールは、少糖類の生成に必要なイノシトールなどの成分で、枝豆にすこーしだけ含まれているもの。
多糖類の方に行くと、デンプンはアミロースとアミロペクチンからなる成分。実は、デンプンは枝豆では15~20%ほども存在するのに、大豆には2%も含まれていない。確かに、枝豆ってちょっともちもちとした食感があるが、煮豆にはその食感はほとんどないことからも、わかる気がする。
また、枝豆に含まれているアミロペクチンは、ゆでることで甘み成分に分解されるので、枝豆を食べたときに感じる甘さは、ショ糖のおかげでもあり、デンプンのおかげでもある。(そもそも、デンプンは噛んでるうちに甘くなるのもある。)
で、食物繊維は、言わずと知れた、おからの主成分。大豆の皮だったり子葉にあたる部分の細胞壁の成分が、水に溶けないから「おから」として絞られて出てくるわけだ。
甘さも色々。
新潟県は枝豆の消費量が日本一で、昔は夏になるとほとんど毎日枝豆を食べていたものだが、枝豆が美味しいのはデンプンがあるからで、さらにゆでる処理を加えているからということもわかる。
乾燥させて収穫した大豆にしても、糖類が30%も含まれているというだけあって、どうしても出てくるおからを簡単に有効活用できると良いなあと思っていたりする。
(36週目終わり)
参考文献
Masuda, R. and Harada, K, Proceeding of ISPUC-III, 2000
Masuda, R. et al., J. Appl. Glycosci., 50, 310-311, 2003