豆腐屋の朝はなぜ早いのか

2019年もいよいよ終盤。
12月は不覚にもブログを2週連続で書き溜めてしまったので、この年末で挽回すべく書いていきたい。1年の最後で後悔はしたくない。

さて、年末の年の瀬。
この時期は決まって、一年で最も体力が削られる。

その理由は、超絶肉体労働と、朝の早起きである。
肉体労働は特段珍しいことではないが、朝の早起きは睡眠時間が削られるので、続くと結構しんどいもの。うちの場合は、年末は2時か3時起きが恒例になっている。
今日は、「なんで豆腐屋の朝が早いのか」を自分なりに考察してみる。
(※自分なりの考察なので、特に科学的な内容は含まれていないことだけご了承を。)

考察①:出来立ての豆腐を提供するため

ざる豆腐

出来立ての豆腐・油揚げは美味い。
いきなり直感的なことをいうが、これは本当に間違いない。

昔の町の豆腐屋は、家庭の朝ごはんの時間にちょうど出来立ての豆腐ができるように豆腐を製造していたと聞いたことがある。
昔は製造工場の衛生管理も今ほどの品質ではなかっただろうし、スーパーなどの量販店もなかった時代。出来立ての豆腐を求めて町の豆腐屋に足を運ぶニーズは大きかったのだと思う。

朝ごはんのお味噌汁には豆腐を入れることが多いはずなので、消費者の立場に立って、「朝、出来立ての豆腐を提供するため」というのは理由の一つとしてありそう。

考察②:製造に集中できる

画像2

これは完全に製造者側の問題だが、朝早い時間のほうが製造に集中できるというのは理由として挙げられると思う。(写真は朝3時の工場の様子。写真からも人気のなさがわかりそうな雰囲気だ)

実際、僕も大学~大学院時代に京都の豆腐屋さんで油揚げの修行をしていた時、朝3時~6時の時間帯は特に集中できた。6時を過ぎて人がどんどん増えてくると、集中力が途切れてきてしまうものだった。
実家で親と一緒に作業しているときも同様で、朝早い時間帯は集中できる。
(こういうのをゾーン状態というのだろうか。。)

日が昇ってくると周りの人が動き始めるので、電話が鳴ったり業者さんが来たり、色々と差し込みが増えてくる。
ただ、豆腐製造は一度作り始めたら中断できないので、時間との勝負だったりする。
店番担当が特にいない場合、接客なども全て自分がやることになるので、朝の時間に製造してしまいたいという気持ちはすごくわかる。

考察③:午後の製造、明日の仕込みのための段取り

広く知られていることかと思うが、油揚げや厚揚げ、がんもどきの中身は、紛れもない「豆腐」そのものである。
つまり、これら揚げ系の商品を製造するためには、豆腐を事前に製造し、水を切ったり、さらにこねたりして事前に「ネタ」に加工しておく必要がある
これがなかなか大変で、特に冬場は揚げの製造量が増えるため、午前中にネタを作りきっておかないと午後の揚げ作業に間に合わない可能性がある。

また、豆腐を製造するためには前の日のうちに大豆を水に漬けて吸水させておく必要がある。
町の豆腐屋だと朝の製造が終わって、一息ついてからこの仕込み作業を行うのが通常の流れになるので、次の日の仕込み作業を行うためにも朝早めに豆腐を作っておくのが慣習になっているのかもしれない。

画像4


考察④:「そもそも豆腐屋は早起きであるべき」という先入観

結構直接的なワードになってしまうので、なかなか豆腐屋さんを前にして直接言うのは憚られるが、意外とあるかもしれないと思うのがこれ。色々と考察すると、変えようと思えば変えられることも多くある。
出来立ての豆腐を買いに来る人は今の時代そもそもほとんどいない。
製造に集中できる環境を作りたければ、製造と販売で人を分けてしまうのもあり。
仕込みも、製造工程を見直せばできなくもない。(実際に段取りを変えるのは骨だ折れるのだが。。)

大事だと思うのは、「なんで豆腐屋って早起きなんだっけ?」と原点に立ち戻って考えると、意外と何とかできることも多いのではないか、ということだ。
個人的には朝の時間は集中できるので好きなのだが、年末みたいに朝2時起き、3時起きが続くと少ししんどいので、オペレーションを見直してみることも必要だと思っている。

最後に

年末、実家で作業をしていると、昔からの慣習で続けていることが多いことに気づく。実際に既存のやり方を変えるとなると、なかなか難しいことも知ってはいるのだが、
前提に立ち戻って、「この作業ってこの流れじゃないとダメなんだっけ?」と改めて考えなおしてみると、色々と労働環境も改善できるんじゃないかと思う今日この頃。
少しずつ、改善を積み重ねていきたい。
(40週目終わり)

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