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女性の味方、大豆イソフラボンについてまとめてみる

今週は、糖類の第三弾、大豆の代名詞にもなりつつある「イソフラボン」について、成分の特徴や機能性を、大枠解説しようと思う。
イソフラボンの機能面については、豆腐事業者も消費者も興味関心を寄せるところだろう。今回の記事が少しでもイソフラボンの理解に役に立てば幸いである。

大豆中でのイソフラボン

毎度恒例、種子のどの部分にどれくらい含まれているのかだが、イソフラボンは、このように含まれている。(Tsukamoto et al., 1995)

・大豆の子葉部分に0.2~0.3%
・大豆の胚軸部分に2%
※胚軸にはグリシテインという不快味成分が含まれている

イソフラボンは、加工することによって「ゲニステイン」(50%)、「ダイゼイン」(40%)、「グリシテイン」(10%、こいつが不快味成分...)などの細かい成分に分解される。サポニンAといい、大豆の胚軸には不快味成分が多く含まれるようになっているようだ。

機能としてのイソフラボン

イソフラボンの研究は非常に数が多く多くの機能性があることが分かっているが、代表的な機能性をまとめると下記になる。

①性ホルモン様作用
②発がんリスクの低減

①性ホルモン様作用
イソフラボンが女性の性ホルモン様の作用をするというのは有名だが、じゃあ、具体的には何が良いのだろうか?
まず第一に挙げられるのが、骨密度低下の抑制である。大豆のイソフラボンの摂取量と骨密度に正の相関があると報告した事例(福井ら,1996)や、大豆タンパク質+イソフラボンの摂取により骨量の減少が抑制されたとの報告がある(Arjmandi et al., 1996)。
また、性ホルモン様物質の活性によって、女性の月経前症候群の症状を緩和する機能を持っていることも知られている(Adlercreutz et al., 1992)。

②発がんリスクの低減
イソフラボンには、がん予防の効果があることも知られており、乳がん、前立腺がん、結腸がん、肺がんの発症を抑制する可能性が示唆されている(Pisani et al., 2002、Yan et al., 2009)。

これらの機能は、大豆のイソフラボンの構造が、女性ホルモンであるエストロゲンという物質に似ていることが理由であると考察されている(Harrison et al., 1998)。

イソフラボン構造

ただ、これらの研究に関しては、大豆タンパク質と一緒にイソフラボンを摂取しているケースも多く、イソフラボン単体ではなく大豆のタンパク質と一緒に摂取することによって機能を発揮しているという説もあるので、やみくもにイソフラボンだけ摂取すればいいというわけではなさそうである。

イソフラボン摂取量の上限について

日本では、大豆イソフラボンを特定保健用食品の関与成分と認めているが、2006年から、日常の食事で摂取する以外に上乗せして摂取するイソフラボンの量は、上限一日30mgまでと制限されている。(通常摂取も含めると、トータルで一日70~75mgが目安とされている。)

過剰摂取により女性ホルモンのバランスが崩れると報告されている事例(Casidy et al., 1994)や、乳幼児期にイソフラボンを摂取することにより成長期が遅れたりする可能性も示唆されているので(Chapin R et al., 1996)、摂取量は守るのがよさそう。

ちなみに、豆腐一丁(300g)でイソフラボンの量は61mgとされているので、豆腐を毎日「2丁」食べ「続ける」と、女性ホルモン過多になる可能性があるかもしれない、という考察ができる。
豆腐を毎日食べ続けるにしても、個人的には毎日2丁は結構頑張らないと食べられないので、まあ大丈夫かと。(笑)

最後に

最後に改めてイソフラボンについて調べていて思ったことを一言。
「イソフラボン、すげえな。。そして文献多いな。。」
(38週目終わり)

参考文献
Tsukamoto C. et al., J. Agric. Food Chem., 43, 1184-1192 (1995)
福井ら,第50回日本栄養食糧学会大会講演要旨, p67. (1996)
Arjmandi BH et al., J. Nutr, 126, 161-167 (1996)
Adlercreutz H et al., Lancet, 339, 1233 (1992)
Pisani et al., Int. J. Cancer, 97, 72-81 (2002)
Yan et al., Am. J. Clin. Nutr., 89, 1155-1163 (2009)
Harrison et al., J. Nutr. Sci. Vitaminol, 40, 201-211, (1998)
Casidy et al., Am. J. Clin. Nutr., 60, 333-340 (1994)
Chapin R et al., Found Appl. Toxicol, 29, 1-17 (1996)

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