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須恵器・土器を愉しむ【神々のやどる器 ―中国青銅器の文様―(六本木:泉屋博古館分館 )感想】3000年前の超絶技巧100点超の展示
「須恵器・土器を愉しむ」では、個人的関心事の須恵器・土師器を中心に「考古・郷土全般」に関する都内および近郊の展示に関する感想・情報を綴っていきます。施設側の情報発信が少なく「どこに何が展示されているのか分からない」ことも多いので、参考にしていただければ幸いです。
今回の展示のポイントは次の2点。
■住友家所蔵青銅器・銅鏡の主要コレクション
■器種や紋様など詳細な解説
【住友家所蔵青銅器・銅鏡の主要コレクション】
京都に本館を持つ泉屋博古館は、住友家が蒐集した美術品の保存と展示を目的とした美術館。その分館で開催中の「神々のやどる器 ―中国青銅器の文様―」に、地下鉄・六本木1丁目駅隣接の泉タワーでチラシを見つけ足を運んだ。まったくの前知識なし。同館の存在もこの日にはじめて知った。
「中国青銅器」は、トーハクに展示されている大きなもののイメージがあり、あまり器としての関心は持ってこなかった。しかし、この展示では「器種別」「紋様別」「銅鏡」と100を超える展示でその魅力のポイントをわかりやすく紹介している。入口のビデオ解説から基礎知識を入れ、第一展示室に掲示されている年表を頭に入れるだけでも全体像が把握できる。
各展示物には、解説と写真による見所ポイントも添えられていて、1点1点をじっくり鑑賞することができる。展示物の間隔も絶妙だ。内覧会時の動画が公開されている。実際の照明は、もっと落ち着いたものになっていて、紋様もくっきりと見える。
InternetMuseum動画ニュース(2018.11.6公開)
「中国青銅器の名品を紹介 ── 泉屋博古館分館」
同館Facebookページでは作品紹介を随時アップしている。
京都本館で常設展示されている主要所蔵品の多くが、今回、展示されているようだ。受付では単眼鏡を無料で貸してくれる(要身分確認証)。写真では分からないが、紋様の隙間にさらにミリ単位での細い線がびっしりと詰め込まれている。日本列島では、まだまだ縄文時代。その超絶技巧に息を呑む。
館内は撮影禁止だが、入口に置かれたレプリカは撮影も触ることもできる。器の「厚さ」は本物より厚いようだが、紋様はかなり再現されているらしい。
【器種や紋様など詳細な解説】
第一展示室内に置かれている器種の名称説明と紋様解説のコピーは詳細な内容でとても役立つ。これと見つつ、各展示の解説を読みつつ、単眼鏡で細部を確認していると、ザッと見るだけでも1時間では足りない。
「四神」の龍や鳳凰が、もともとのデザインから時代を経て王の権威を示す存在へと変わってきたことなど、1000年単位の変化を確認できるのも分かりやすい。
個人的には、第二展示室の銅鏡で、久津川車塚古墳出土の三角縁四神四獣鏡が、袋に包まれていた状態だったためか、錆が少なく、銅本来の輝きをもったままであることが印象に残った。古墳期の倭人が、「鏡」にみせられたのが分かる気がする。素材としての「銅」についても、いろいろ考えさせてくれる展示だ。
公式webサイトの展示詳細
フリーランスの編集・ライターとして活動しています。編集・ライター作品紹介webサイト「神楽出版企画」(企画から制作進行・執筆までワンストップ対応)
http://www.kagurasyuppan.com
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