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休職

配属されて2ヶ月半で休職した。適応障害だった。

新卒で入った会社が思っていたよりしんどくて、鬱になりました、休職しました、退職しました、
なんていう話はどこにでも転がっていて。
でもまさか自分がそうなるなんて微塵も思っていなかった。

私が新卒で配属された部署は、営業部。
他の会社の営業と違う点は、セールスだけではなく、企画・提案書作成も自分でやって、クライアントに提案するところ。
私の業務は、先輩が持っている既存顧客の提案資料作成、案件進行、同時並行で新規顧客の開拓(いわゆる架電)を行っていた。

しんどくなった直接的な原因ははっきりとはわからない。
平均50時間の残業に、断られ続ける架電、同期が少しずつ成果を出していく中で何も出来ない自分が嫌になり、病んだ。

6月に配属されて、1ヶ月半くらいはこんなものかと思って頑張った。仕事はしんどいけど、みんなしんどそう。私だけじゃないから、私だけ甘えるわけにはいかない、と思って。

おかしいな、と思い始めたのは7月後半になってからだった。
金曜日の夜が世界でいちばん楽しくて、日曜日の夜は全然寝れない。11時頃に布団に入っても、3時になっても目が冴えていることが続いた。
毎朝メイクしながら泣いた。
通勤時の歩くスピードが半分になって、会社に行くのにものすごく時間がかかるようになった。
会社に着いたらまずはトイレにこもって、心を落ち着かせるようになった。
1度パソコンに向かえば普通に仕事はできるのに、会社を出た瞬間に涙が出た。
毎週設定してもらった人事との1on1で、毎週泣くようになった。
そのうち、直属の上司との1on1でも泣くようになり、パソコンに向かっている時も涙が出るようになった。
そのため、8月に入ってからはずっとマスクをして、泣いているのが分からないようにしていた。
積極的に死のうとしたわけではないが、生を諦めた瞬間は何度もあった。
それくらい限界が近くて、命を守るために退職しようと思っていた。

8月の2週目にお腹が痛すぎて休み、せっかく休んだのでそのまま精神科に行った。適応障害と診断されて、やっぱりな、と思った。

次の日に人事と1on1をして、適応障害と診断されたことと、やめたいと思っていることを伝えた。
人事には、裏で9月から私の異動の話が進んでいることを教えてくれて、部署を変えてみるのはどうか、と提案してくれた。

私は、今の会社の人たちが好きで、人事の人も同期も先輩もいい人ばかりで、できることならこのまま働きたいと思っていたので、嬉しかった。
私が毎週出していたヘルプサインを受け取ってくれて、私のために色々考えてくれたことが嬉しくて、退職は一旦やめて部署異動をする流れになった。

ちょうどお盆前のタイミングだったため、1週間帰省して、ゆっくりして、家族とも話して、2週間だけ営業部で頑張って9月から異動しよう、という話をした(異動が決まっているなら9月まで営業で頑張れると思う旨を人事に伝えた)。

帰省している間はとても楽しかった。
家族にも、精神科に行って薬を飲んでいる人とは思えないくらい、いつもの私だね、と言われた。
会社から離れれば、仕事をしなければ、私はいつも通りの私でいられた。嬉しかった。

帰省が終わって、営業部でまた働き始めた。
1日目はちょうど台風が直撃していて、9割の人がリモートワークに切り替えていた。
かく言う私は、帰省前にパソコンを会社に置きっぱなしにしていたため出社し、昼過ぎに上司の指示でリモートに切りかえた。
その日は「他の会社もリモートが多いだろうから架電はしなくていい」という指示のもと、比較的ゆっくり働き、私の部署も私以外みんなリモートだったため先輩の目を気にせずのんびり働けて、少し気持ちが楽だった。
2日目は台風も過ぎ去りみんな出社して、いつも通りの光景に戻った。やっぱりしんどくて、何のためにこんな辛い思いをして仕事をしているのか分からなくなった。22時過ぎに帰って、何をする気力もなく、明日休もうと思った。

翌日、お腹が痛くて休んだ。
生理痛だと思うが、本当に生理痛なのか、精神的なものからくる腹痛なのかは分からず、とにかく寝た。人事から連絡が来て、社労士さんの判断で異動まで休んでください、と言われ、9月まで休むことになった。
自分で「異動が決まっているなら頑張れる」と伝えたくせに、いざ戻ってみると2週間が死ぬほど長くて、絶対耐えられないと思っていたので、正直ほっとした。
そのまま帰省の準備をして翌日に帰省した。

お盆に帰省したので約1週間しかたっていない帰省だが、とてもゆっくりした。途中で一人暮らしをしている妹が合宿中に倒れたと大学から連絡があり、妹も検査のために実家に帰ってきたので、家族4人(と猫)で10日間楽しく過ごした。

9月になって、東京に戻り、私は新卒採用担当の人事になった。
嬉しい気持ちと、不安な気持ちが半々で、もしここでも上手くいかなかったらやめようと思った。
直属の上司も、マネージャーも、6月の配属の段階で私が人事部に希望出してくれたらいいのに、と思っていたことを教えてくれて、求められていたのが嬉しかった。
元いた営業部の先輩も、そんなに関わりがない人も、たくさんの人が「おかえり」と言ってくれた。
「人事似合ってるじゃん」とも「やめないでくれてよかった」とも。

この会社で活躍してる人は、みんなきらきらしている。みんな優しくて、かっこいい人たちばかりで、尊敬している。
営業部の仕事は本当にしんどかったし、本当にやめようと思ったけど、「人」で選んだ会社で「人」のおかげでやめないで済んだ。この会社の人たちが大好きだ。

人事部の仕事は、今のところ楽しい。
いや、めちゃめちゃ楽しい。
営業の時は強い人が多かったけど、人事部には穏やかな人が多く、仕事で役に立てそうなことも多い。

私が人事の人に助けてもらったように、私も人事として誰かを助けたい。

今回の経験は、私の人生において予想外の出来事だったけれど、自分のキャパがわかってよかった。改めて、私はたくさんの人に助けられて生きているんだなぁと実感したし、私もそうでありたい。

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