彼の名前を覚えている
秋も深まりつつあった高校三年のある日。私はグラウンドのすみで、彼と共に同級生たちがサッカーに興じるのをぼうっと眺めていた。
小・中学校まで通った養護学校から、念願だった普通高校への進学を果たしたが、正直今となっては特にこれといった思い出がない。それなりに友達はできた。一年の時はテスト終わりによくカラオケにも行ったりした。だが二年、三年と進級していくと、一年の時に親しくなった友達とはばらばらになり、もともと社交的ではなかった私は少しずつ孤独になっていた。特に三年の時は進学や就