新型コロナウイルスに対する治療薬(2)　~nature reviews drug discoveryから~

前回に引き続き、新型コロナウイルスに対する治療薬候補について、
"nature reviews drug discovery"という科学雑誌から、新型コロナウイルスに効果のある薬剤候補をご紹介します。
既存の抗ウイルス薬の中から、コロナウイルスにも効きうる可能性を持つ薬が紹介されています。
前回の記事はこちら↓になりますので、こちらも合わせてご覧ください。https://note.com/kagonma/n/nbef75549f865

マラリア治療薬と下痢止めの薬も、
in vitro(培養細胞実験)で新型コロナウイルスの感染を抑制

Chloroquine
免疫調節作用をもち、マラリアに対する治療薬として認可されている薬剤で、培養細胞への感染実験で、新型コロナウイルスに対しても効果があることが確認されています。
現在、ヒトでの効果を検証するべく臨床研究がスタートしています。
2/17のニュースで、Chloroquineが新型肺炎に効果があることが確認されています。↓
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200217-00000104-jij-cn

Nitazoxanide
下痢止めの薬として認可されており、培養細胞への感染実験で新型コロナウイルスに対しても効果があることが確認されています。

多くのSARS・MARSウイルスに対する薬剤が、
新型コロナウイルスへの応用を検討されているが・・・

他にもSARS・MARSウイルスに対する50を超える既存の薬剤が、培養細胞への感染実験において、新型コロナウイルスへの効果が調べられています。

しかし、いずれの薬剤も、新型コロナウイルスの感染を阻止するために、かなりの高濃度を必要とします。

薬というのは高濃度になるほど、病気の標的部位以外にも作用してしまうことで、様々な副作用をもたらしてしまいます。

よって、ヒトでの臨床試験に進める前に、より低い濃度で効果を発揮するように、薬剤の構造を変えて、新型コロナウイルスに最適化するようにしていく必要があります。

いずれにしても、前回ご紹介した"Remdesivir"という薬の臨床試験の結果が4月にはでる予定で、そこで良い結果が出れば、私たち人類は新型コロナウイルスに対する治療オプションを１つ持てることになります。

パンデミックを防ぐためにも、良い結果がでることを心から願います。

紹介文献↓
https://www.nature.com/articles/d41573-020-00016-0